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メールマガジン「週刊KU-MA」 第9号          [2008.8.27]
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■目次----------------------------------------------------------------
(1)YMコラム
     「去るいのち、躍るいのち」

(2)ワンダフル宇宙
     「火星の「重要な」発見」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」
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■YMコラム(9) 2008年8月27日
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 去るいのち、躍るいのち
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 JAXA(宇宙航空研究開発機構)の初代理事長、山之内秀一郎さんが 亡くなりました。数ヶ月前に丸の内で偶然お会いしたときには、非常に元 気そうでした。床屋へ行った帰りだということでした。「随分お元気そう ですね。また復帰できそうですね」と声をかけたら、「いやいや、復帰し たら翌日からまた調子が悪くなるよ。私は気が小さい男なんでね」と答え て、「あなた、何かNPOを作るという話だったよね」と訊ねてくれまし た。「6月1日の設立になりそうです」と言いましたら、「案内を送ってよ。 私も入会するから」と言って、その通り後日入会申込書を律儀にファック スでいただきました。

 2003年10月1日、立ち上がったばかりのJAXAは、トップダウンで強 引に作った組織でした。そのトップとしてさまざまな難題を処理しながら 隊列を整えていくことは、さぞや大変な仕事だったでしょう。率いていく 部下どものだらしなさ、たよりなさ、「けしからなさ」については、理事 長を引退された後になって、いろいろと本音で愚痴を言われました。執行 役をやっていた私もその「だらしなさ」に含まれていたかと思うと、冷や 汗の回顧ではありましたが、「気が小さい」と言われた自己評価は、本音 であったと感じています。「もっと新しい方向性を出したかったんだが、 いろいろと周りの問題もあってね」とつぶやかれた言葉が、いつまでも印 象に残りました。お疲れ様でした。そして有難うございました。

 オリンピックが終わりました。「いのちの躍動」を精一杯演じながら、 選手たちはまた世界中の祖国へそれぞれ帰って行きました。あんなに魅力 的な生命の輝きが爆発的に出現するわけですから、これを政治的に利用し たいと思うのは当然としても、古代ギリシャの頃のように、「オリンピッ クが始まったら戦いは休止しろ」という要求をオリンピック委員会の権限 で言えるぐらいでないと、人々の心は蒸留されていきません。中国も含め 地球上の多くの地域で残念な事態が背後にいろいろと見えるオリンピック でもありました。

 忙しい日程を抱えながら、性懲りもなく深夜まで体力とスケジュールの 許す限りテレビを見続けた自分も、「まあ何でこんなにスポーツが好きな んだろう」とため息をつくほどの2週間でした。一番感動した瞬間は、女 子のソフトの決勝戦の直後にやってきました。腕も折れよとばかりに投げ 続けた上野投手が、優勝後に「私はずっと、自分が相手打線を抑えなけれ ば、という気持ちでやってきましたが、結果としてはチームのみんなの力 で救われた場面ばかりを思い出します。ソフトボールっていいですねえ」 としぼり出すように語った言葉に、私は泣きました。

 一番びっくりしたのは?と聞かれると、これは間違いなく、陸上の100m と200mを両方とも世界新で制したボルト選手の走りです。私も結構若い頃 はかなりアクティヴなテニスプレイヤーだったのですが、あのボルト選手 の走りを見ていると、「100mの全力疾走を今やれば、途中何回骨折と捻挫 をやるか、知れたものではない」などと馬鹿なことを考えながら、幾分せ つない気持ちになりもしました。さまざまなドラマの中に、全世界の人間 のエネルギーがいっぱい集結したオリンピック──この高揚した気持ちを 宇宙教育にぶつけて、さあ、また前進です。

(YM)

■ワンダフル宇宙(9) 2008年8月27日
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 火星の「重要な」発見
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 NASAがもうじき火星着陸機フェニックスの発見について重大発表を するというニュースが流れていましたが、これはガセネタだったようです。 原因はアメリカの航空宇宙週刊誌“Aviation Week”のフライング。

 フェニックスが水の氷を見つけたことは確かなこと。これはすでに先月 報道されましたし、この欄でもすでにとりあげました。火星の低緯度地域 ではいまだにスピリット、オポチュニティの2機のローバーが活躍してい ますが、そのあたりの土壌はすべて酸性だったんですね。ところが今回の フェニックスが地面から掬って分析した土壌のpH(ペーハー)は8〜9で、 見事にアルカリ性ばかり。「アスパラガスを育てるのにいい酸性度」とい う関係者の発言もありました。これも既報。

 http://space.newscientist.com/article/dn14442

 さてその後、フェニックスのチームは、ナトリウム、カリウム、マグネ シウムなど、人体が含んでいる成分も検出し、さらに塩素が「過塩素酸塩」 という化合物の成分として見つかっているようです。「ようです」と濁し たのは、フェニックスの一つの機器では見つかっているんだけど、もう一 つの機器で確認しようとしたところ、確認できなかったということ。これ が確実ということになれば、火星で初めて見つかったということになりま す。以下のページに、そのサンプルの土壌を掬った跡の写真が載っていま す:

  http://space.newscientist.com/article/dn14474-phoenix-soil-results-released-after-
 days-of-speculation.html


 過塩素酸塩とはどんなものでしょうか。酸性であることはもちろんです が、地球ではいわゆる「不毛の地」で見つかる毒性の化合物です。たとえ ば、火星の地形とよく似ているといわれるチリのアタカマ砂漠などにはい っぱいある化合物ですね。地球上では、過塩素酸塩は、太陽の光がエアロ ゾルや塵と接触する際に大気中で作られます。これは水に溶けやすく、流 れさえあれば楽々とあちこちに運ばれていくので、火星の上での過塩素酸 塩の分布が分かると、過去に火星表面を水がどのように移動して行ったか について、貴重なデータが得られることになるのです。

 過塩素酸塩は、固体燃料とかエアバッグとか花火などに用いられており、 人体との関係では、ヨウ素の吸収を妨害するので甲状腺に害を及ぼすとい います。そのため過塩素酸塩は生物の天敵だと思われていたのですが、こ のほかならぬチリのアタカマ砂漠に、微生物が生きていることが分かって きたのです。その中のある種のものは、この毒を食べてさえいるのです。 だから、過塩素酸塩があったからと言って、そこに生き物がいないわけで はなく、学者によっては、むしろ「生命発見のてがかりだ」とまで言って いる人がいるのです。

 http://www.mypress.jp/v2_writers/miyu_desu/story/?story_id=967107

 フェニックスのチームはいま「打上げのときにデルタUロケットの過塩 素酸塩が混じったのでない」ことを証明しようと躍起になっています。火 星に降り立つときのエンジンでは、過塩素酸塩を使っていないので、発射 のときだけ調べればいいのです。

 http://scienceportal.jp/news/daily/0708/0708071.html

Aviation Weekに「近くNASAが火星の生命について重大発表」と報じ られたときは、さすがのNASAも慌てました。そこで、先週急遽「電話 記者会見」を開催し、「今日は何も発表しないために記者会見をします」 と、わけの分からないことを言っていたようです。そしてこの過塩素酸塩 についての情報を少し詳しく話してお茶を濁したのでした。いずれにしろ、 フェニックスには、生命を発見するセンサーは乗っていません。これから 派遣される探査機には、生命探査の特化した機器を中心として搭載される ことでしょう。

 地球外の生命が見つかることは、人類の文明の「進化」の巨大な一歩と なるでしょう。もちろん、生命が見つかった後は、地球外の文明を発見す るという課題が生まれるわけです。その地球外の文明を担う「人間」を想 像すると、私たちの日々の生活に思いをいたすとき、「こうしちゃいられ ない」という気持ちになることは確かなことでしょう。私たちの文明を宇 宙の視座から眺める心が人々に徹底する時代が来るまで、何とか人類が生 き延びなければ──そのような思いを共有できるといいですね。だから、 火星の水の発見も、過塩素酸塩の発見も、それは科学者だけの趣味の問題 ではないのですね。

■宇宙茫茫ヘッドライン
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【080825-01】 ILS、バイコヌールからProton/Breeze MによるInmarsat-4 F3の打上げ成功
【080825-02】 Cassini、土星の衛星Enceladusの噴出口のピンポイント撮影に成功
【080825-03】 ESAのRosetta、光学観測データに基づく航法計算に従い軌道修正実施
【080825-04】 Phoenix Mars Lander、TEGAでの酸素の存在確認に期待
【080825-05】 ATKの2段式ロケット、発射後27秒で指令破壊
【080825-06】 NASAのOrion回収用のパラシュートの試験、不調に終わる
【080825-07】 JAXA、LNGエンジン用ガス発生器の単体の燃焼実験を実施
【080825-08】 Orbital Sciences、Intelsat-18を受注
【080825-09】 InmarsatのSバンドの衛星Europasat、製造はThales Alenia/打上げはILS
【080825-10】 Ares Iの振動問題対策はアクティブ&パッシブの2本立て
【080825-11】 NASA、月面活動時の通信・航法手段に関し民間のアイデア募集
【080825-12】 ESA、5日間の大学生向けワークショップ開催
【080825-13】 アンゴラ、国有の衛星プロジェクトAngosatでロシアと契約
【080825-14】 米国防省、イランの衛星打上げは失敗しているとの見解を示す
【080825-15】 NASAの新しい宇宙服の開発、入札のやり直しに2社が名乗り
【080825-16】 SpaceDev、Scaled CompositesのSpaceShipTwo用モータの開発に協力
【080825-17】 JSAT、米国のStratos Global Corp.との合弁で移動体衛星通信市場に参入
【080825-18】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク
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【080825-01】 ILS、バイコヌールからProton/Breeze MによるInmarsat-4 F3の打上げ成功
 
関連記事:【080811-02】
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 8月19日、International Launch Services (ILS)は、バイコヌールから Proton/Breeze MによるInmarsat PLCの静止衛星Inmarsat-4 F3の打上げを 行い、所期の静止トランスファ軌道への投入に成功した。

 この打上げは、今年3月の同じProton/Breeze MによるSES AmericomのAMC -14の打上げ失敗後の初の打上げであった。

 衛星はEADS Astrium製で、Eurostar E3000GMプラットフォームをベース としており、質量は約6トンである。静止位置は西経98度とされている。

 今回の打上げ成功で、Inmarsatでは第4世代の衛星(Inmarsat-4)を3基軌 道上に持つことになり、それらの衛星によるBGAN (Broadband Global Area Network)サービスの全世界カバーが実現する。F3を西経98度に置くことに 合わせて、現在大西洋とインド洋をカバーしているF1、F2を東に移動し、 陸域のカバーを充実する予定とされている。

 http://www.ilslaunch.com/news-081908

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【080825-02】 Cassini、土星の衛星Enceladusの噴出口のピンポイント撮影に成功
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 8月14日、NASAのジェット推進研究所(JPL)は、土星を周回している探査 機Cassiniが、地質学的に活性状態にある土星の衛星Enceladusに接近し、 水の氷の結晶などを噴き出す噴出口をピンポイントで撮影することに成功 したことを明らかにした。

 Cassiniは8月11日に、時速6万4,000kmの高速でEnceladusに約50kmまで接 近して通り過ぎ、その間に撮影を行ったもの。撮影は“skeet shooting” と称される特別な手法により行われたもので、これは搭載カメラの焦点を 目標の地点に合わせた上で、高速での移動に合わせてCassiniを回転させる ことで狙いを外さない様にする手法である。

 この撮影によって、Enceladusの割れ目は奥行き約300mで内部はVの字型 の壁になっていることが明らかとなった。また、その両側に細かな物質が 広く堆積していること、周辺には、大きさが数10m以上の氷の塊が散らばっ ていることも判った。

 研究者は現在、噴出の性質や強さ、周辺の地形への影響などを調べてい る。Cassiniが得た鮮明な画像と観測データからEnceladusの地質活動のエ ネルギー源は何か、地下のどこに液体の水が存在するのか、といった疑問 の答えが出ることが期待されている。

 http://saturn.jpl.nasa.gov/news/press-release-details.cfm?newsID=864

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【080825-03】ESAのRosetta、光学観測データに基づく航法計算に従い軌道修正実施
 
関連記事:【080811-04】
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 8月14日、ESAは探査機Rosettaの搭載カメラによって取得した小惑星 Steinsの画像から得られたSteinsの軌道情報を利用して行ったRosettaの軌 道修正が成功したことを明らかにした。

 9月5日に予定している最接近に向けて行われた最初の軌道修正で、修正 が行われた時点で、RosettaはSteinsから1,700万kmの距離を飛行中であっ た。

 Rosettaのスラスタを約2分間作動させ、Steinsとの相対速度を毎秒12.8cm 変えたもの。これにより、最接近時の距離を250km大きくすることができた。 Rosettaは、性能上Steinsとの最接近距離を800km以上とする必要があるが、 今回の修正前にはそれより近付く予測となっていた。

 なお、今回の軌道修正は、ESAとして、探査機に搭載した光学観測機器 (OSIRIS:Optical, Spectroscopic, and Infrared Remote Imaging System 及びスタートラッカー)の情報を初めて探査機の航法に使用した成果であっ た。9月5日の最接近までに更に数回の軌道修正が計画されている。

 http://www.esa.int/esaCP/SEMC9R6UWJF_index_0.html

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【080825-04】Phoenix Mars Lander、TEGAでの酸素の存在確認に期待
 
関連記事:【080818-04】
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 8月21日までに、NASAのPhoenix Mars Landerは、新しい土壌サンプルを Thermal and Evolved-Gas Analyzer (TEGA)の7番セルに取り込んだ。

 このサンプルは地表と表面下の氷の層の中間の約3cmの深さの所から採取 されたもので、これにより、過去のサンプルと合わせて、表層及び氷層並 びにその中間層の3レベルのサンプルが揃うことになった。

 今回は、先ず最初に水の存在を確認するために摂氏35度まで加熱される こととなっており、その後125度、最後に1,000度まで加熱される。

 今回、期待されているのはTEGAによる分析で、過塩素酸塩(perchlorate) の存在を裏付ける酸素を確認することである。

 http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-163

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【080825-05】ATKの2段式ロケット、発射後27秒で指令破壊
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 8月22日、Alliant?Techsystems (ATK)は、自社製の2段式のロケットALV X-1の打上げをNASAのワロップス飛行施設内にあるMid-Atlantic Regional Spaceportから行ったが、発射後27秒で予測飛行経路から大きく外れたため 射場の飛行安全担当官が送ったコマンドにより破壊され、打上げは失敗に 終わった。経路がずれた原因については未だ明らかにされていない。

 今回の打上げはATKの社内試験の位置付けで高度約470kmへの弾道飛行を 目指しており、ATKはNASAや米軍並びにその他の商業打上げのユーザに対し ての中小型のロケットによる打上げ前の総合的なサービスの提供の実績を 示したいとしていたもので、2種のNASAのペイロードを無償で搭載していた。 1つはNASAのラングレー研究センタの極超音速の境界層の研究用のHYBOLT、 他の1つは大気圏再突入に関した試験を行うエイムズ研究センタのSOAREXで、 飛行経路の頂点で放出されるサッカーボール大のものであった。

 ATKは、このロケットを打上げ市場向けに製造する予定はないとしている が、NASAの次期打上げロケットAres Iの1段開発の主契約者の立場では見過 ごせない事故である。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2008/aug/HQ_08_213_Hybolt_failure.html

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【080825-06】NASAのOrion回収用のパラシュートの試験、不調に終わる
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 8月19日、NASAは7月31日にアリゾナ州ユマの陸軍の試験場上空で行った、 次期の有人宇宙船Orionの回収用のパラシュートの試験が不調に終わったこ とを明らかにし、その際のビデオと画像を公開した。

 この試験は、C-17輸送機の後部からパレットに載せたOrionのモックアッ プを引き出し、火薬を作動させてパレットから分離した後、試験条件を整 えるための補助的なシュート1基と安定用のシュート2基が開く予定であっ たが、条件設定用のシュート(programmer chute)が正常に引き出されたも のの開かずに、モックアップは予定より早い速度で降下したために試験の 本番の前に試験のための条件設定ができない状況となってしまった。

 その状態で、条件設定用のシュートが切り離され、試験シーケンスに入 り2基のドログシュートが放出されたが、設計条件より遙かに高速で低空 (高密度)であったため、大きな荷重を受けて直ちに引きちぎれてしまい、 モックアップはタンブリングをしながらの自由落下を始めた。

 その後、最終降下用の大きなメインシュートを引き出すためのパイロット シュートがタンブリングの影響で自然に放出されたが、3基の内2基はメイン シュート共々ちぎれてしまい、最終的には1基のメインシュートに吊された 状態での降下となったが、そのメインシュートも開いておらず、モックアッ プは地面に激突した。

 NASAは、この試験は1960年代に行って以来の最も複雑なパラシュートの 試験であったとしている。試験の対象となるパラシュートがドログシュー ト2基、パイロットシュート3基、メインシュート3基の合計8基で、その他 に、パレットをC-17から引き出すシュート、上述の条件設定用及び安定用 のシュート計3基、更にはパレットを地上に回収するためのシュートもあり、 全部で18基の傘が正常に開かなくてはならないものであった。

 NASAは、今後、条件設定用のシュートが開かなかった原因を究明し、試 験のセットアップが確実に行える様に必要な対策を行うとしている。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/constellation/orion/pa_chute_test.html

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【080825-07】JAXA、LNGエンジン用ガス発生器の単体の燃焼実験を実施
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 JAXAは8月20日から能代多目的実験場で、LNG(液化天然ガス)エンジン用 ガス発生器の単体の燃焼実験を実施している。

 全部で7回予定されている実験では、ガス発生器の実フライト時間相当の 作動確認を目的としており、最初の2回が作動確認実験、その後の5回が定 常燃焼実験とされている。

 これまでに、8月20日に5秒間の実験を行い正常に着火することを確認し、 次いで21日の正午過ぎに30秒間の燃焼で正常に作動することを確認した後、 同日夕方に450秒間の燃焼で正常に作動することを確認した。更に、22日に は第4回目の実験で、650秒間の正常燃焼を確認している。

 次の実験は26日に500秒間の定常燃焼実験を行う予定とされている。

 http://www.jaxa.jp/press/2008/08/20080819_lng_j.html
 http://www.jaxa.jp/press/2008/08/20080819_lng_plan_j.html

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【080825-08】Orbital Sciences、Intelsat-18を受注
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 8月21日、Orbital Sciences Corporationは、Intelsat, Ltd.から、通信 衛星Intelsat-18の設計、製造、軌道上納入の発注を受けたことを明らかに した。

 OrbitalのSTAR-2プラットフォームをベースとして、Cバンドのトランスポ ンダを24本、Kuバンドのトランスポンダを12本搭載し、最大電力は4.9kWと なる予定。

 打上げは2010年の後半に予定されており、東経180度に静止して、Intelsat -701の後継機となることが想定されている。

 http://biz.yahoo.com/bw/080821/20080821005628.html?.v=1

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【080825-09】InmarsatのSバンドの衛星Europasat、製造はThales Alenia/打上げはILS
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 8月22日、Thales Alenia SpaceとInternational Launch Services (ILS) は、それぞれが、Inmarsat PLCとの間で、Sバンドの通信衛星EuropaSatの 製造についてのATP(作業着手認可)と、打上げサービス契約のサインを行っ たことを明らかにした。

 EuropaSatはThales AleniaのSpacebus 4000C3をベースとした衛星で、質 量は5.7トン、最大電力8.5kWで、2011年の早い時期にILSのProton/Breeze M で打ち上げられることとなる。

 http://www.thalesgroup.com/space/Print-Press-release.html?link=0b496914-2079-3c3c-
 5a6a-6d6c400c306a:central%20print&locale=EN-
 gb&Title=Thales+Alenia+Space+and+Inmarsat+PLC+sign+an+ATP+for+the+EuropaSat+S-
 Band+satellite+project&dis=1

 http://www.ilslaunch.com/news-082208

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【080825-10】Ares Iの振動問題対策はアクティブ&パッシブの2本立て
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 8月19日、NASAはAres Iで問題になっている1段固体ロケットモータの燃 焼終了間際に発生する縦方向の振動のクルーへの影響を抑える手段として、 2種の対策の併用を考えていることを明らかにした。この振動によって機体 の構造が危険な状態になることはなく、問題はクルーが正常に作業ができ るか否かという点にある。

 一つはアクティブな手段で、既に11日に明らかにされていたロケットの 後端部分にスプリング-マス系(Tuned Mass Damper)を設けるもの(関連記事: 【080818-08】)、もう一つは、パッシブな手段で、1、2段の分離部にクッ ションの役目をするバネとダンパーからなる“compliance structure”を 取り付けるもの。

 これらの手段によって、ロケットの先端に搭載される宇宙船Orionの中の クルーに掛かる縦振動のレベルを5乃至6Gから、0.25Gに減ずることができ、 クルーがコンソールの表示を正しく理解して適切な操作を行うことができ る環境を確保できるとしている。

 後端部分のスプリング-マス系は、内周に沿って配置する16個のスプリン グに取り付けた質量50kg程度の錘を、検知した振動に応じてコンピュータ 制御で動かして振動を吸収する動きをさせるものである。

 また、1、2段の分離部のcompliance structureは、結合部の剛性を下げ て上段部分の固有振動数を燃焼によって生ずる振動の周波数から離すこと を目的としたものである。

 なお、NASAでは今後のスペースシャトルの打上げの際に固体ロケットモ ータの燃焼終了時点近くでの振動データの取得、構造体に掛かる負荷の把 握等を行って、Ares Iの設計に反映するとしている。

 http://www.spaceflightnow.com/news/n0808/19ares1/

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【080825-11】NASA、月面活動時の通信・航法手段に関し民間のアイデア募集
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 8月18日、NASAは今後25年の月面での各種の活動を支援する通信と航法の 手段の提供についての提案を求める情報提供要請(Request for Information :RFI)を発した。

 NASAでは2013年から月に観測拠点を設け、2020年には月面基地を建設する 計画を持っており、このRFIはそのために必要となる通信、ネットワーキン グ及び航法機能等のインフラ整備に関して、私企業の意欲表明と提案を求め るもので、今後NASAが行おうとしている官民共同開発体制の検討に際しての 参考情報として取り扱われることになる。

 対象とする通信と航法のサービスの範囲は、例えば地球上のネットワーク サービス、地上局、地球周回軌道上の機能、月周回軌道上の機能、月面の設 備等が考えられる。

 情報提供の期限は2008年9月15日とされている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2008/aug/HQ_08207_RFI_Lunar_Comm.html

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【080825-12】ESA、5日間の大学生向けワークショップ開催
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 8月25日から29日の5日間、ESAはオランダにある欧州宇宙研究センタ (ESTEC)において、ESA Student Training Workshopを開催する。

 ESAの教育局が主催するもので、メンバー国と協力国の大学生を対象とし ておりワークショップのタイトルは“System Engineering and Technology for Space Missions”で、参加者に宇宙開発、探査に関するミッションデ ザイン、システムエンジニアリング、技術等の実際が如何なるものかを体 験して貰うことを目的としている。

 18歳から28歳までの興味を持っている大学生は誰でも申し込むことはで きるとしているが、ワークショップは、ESAのハンズオンプロジェクトへの 参加に興味を持っている学生、或いは宇宙関連企業への就職を考えている 学生向きであるとしている。

 http://www.congrex.nl/08c35/

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【080825-13】アンゴラ、国有の衛星プロジェクトAngosatでロシアと契約
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 8月24日、中国の通信社新華社が伝えるところによると、アンゴラ共和 国の国営通信社Angora Press(Angop)が、アンゴラ政府は国有の衛星“Angosat” プロジェクトを公式に認めたと報じている。

 同国の郵政省とロシアの国営の軍事品輸出入企業Rosoboronexportの間で、 衛星の製造、打上げ、運用の契約を結ぶことが許可されたというもの。

 このプロジェクトには、人材の育成及び必要なインフラストラクチャの 整備も含まれており、情報技術を活用して情報化社会の中での地位を確保 したいとするアンゴラ政府の思いが込められている。

 http://news.xinhuanet.com/english/2008-08/24/content_9686188.htm

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【080825-14】米国防省、イランの衛星打上げは失敗しているとの見解を示す
 
関連記事:【080818-06】
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 イランは8月17日に国産ロケットSafiaによりダミーペイロードを軌道に 投入したと発表した後も、人工衛星打上げの成果を誇り、18日には宇宙機 関の長がアラブの友好国の衛星を打ち上げる準備があると語ったとの報道 もされている。(また、打ち上げたのはダミーペイロードではなく国産の 通信衛星だとする報道も続いている。)

 http://www.nytimes.com/2008/08/19/world/middleeast/19iran.html?
 _r=2&ref=world&oref=slogin&oref=slogin


 一方、米国防省は、地中海に展開している艦艇のレーダーによる観測及 びミサイル発射の早期警戒用の衛星からの観測により、イランのロケット は2段の途中で飛行経路がおかしくなり、軌道には達していないという見解 を示していると報じられている。

 http://edition.cnn.com/2008/WORLD/meast/08/18/us.iran.rocket/

 これに対して、19日にはイラン外務省の広報官が、米国の反応は正に予 想していた通りの反応だとして受け流し、今回の国産ロケットの打上げ成 功により、国産の通信衛星“Omid”の打上げへの道が拓けたとして、同衛 星の打上げが近いことを示唆する談話を発している。

 http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=67007§ionid=351020101

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【080825-15】NASAの新しい宇宙服の開発、入札のやり直しに2社が名乗り
 
関連記事:【080818-01】
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 8月15日にNASAが6月に締結したばかりのOceaneering International Inc.との契約を突然解消したConstellation Programでの宇宙服システム (Constellation Space Suit System:CSSS)の開発に関して、その後NASAが どの様に動こうとしているのかは見えて来ないが、企業側には動きが生じ ている。

 先ず、20日にはOceaneering International Inc.が改めてNASAに提案書 を提出する意向を明らかにしており、翌21日には6月の選定に漏れ、NASAの 決定に対して異議を申し立てていたExploration Systems & Technology (Hamilton SundstrandとILC Doverの合弁)も新しいプロポーザルを出すこ とを明らかにしている。

 http://www.oceaneering.com/pressrelease.asp?id=1838
 http://www.chron.com/disp/story.mpl/ap/business/5958771.html

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【080825-16】SpaceDev、Scaled CompositesのSpaceShipTwo用モータの開発に協力
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 8月18日、SpaceDev, Inc.はScaled Compositesとの間で、Scaled Composites が開発しているSpaceShipTwoに用いるハイブリッドロケットモータの 開発に関してSpaceDevが支援を行う形の契約を結んだことを明らかにした。

 契約期間はSpaceShipTwoの就航が予定されている2012年までとされてい るが、当面は2年間で契約額1,500万ドルでスタートする。

 この契約の下でSpaceDevはSpaceShipTwoのロケットモータチームのメン バーをリードし、Scaled Compositesの内部の設計チームと協力して量産に 耐えるハイブリッドロケットモータを開発する。また、システムのキーと なる構成品の開発、製造及びその試験を担当すると共に、Scaled Compositesが 行う、フルスケールのロケットモータの地上燃焼試験及び飛行試験の 支援を行う。なお、この形の両社の協力関係は、2001年から2004年の間の SpaceShipOneの開発の時にも持たれたものである。

 http://www.marketwire.com/press-release/Spacedev-Inc-890438.html

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【080825-17】JSAT、米国のStratos Global Corp.との合弁で移動体衛星通信市場に参入
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 8月21日、ジェイサット株式会社(JSAT)は、米国のStratos Global Corporation との間で、日本及びアジアでのInmarsatのサービスの拡充を目指し、 合弁会社JSAT MOBILE Communicationsの設立に合意したことを明らかにし た。出資比率はJSATが66.7%、Stratosが33.3%である。

 Inmarsatは10基の静止衛星により衛星電話、データ通信、救難通信サービ スを各種の移動体ユーザや地上網、携帯電話網が届かないエリアでの官公庁 や報道機関に提供しており、Stratosは、このサービスの世界最大級の代理 店として日本の顧客へもサービスを提供してきているが、JSATとの合弁会社 の設立によりサービス提供体制の強化を図ることができるとしている。

 JSATはJSAT MOBILEの設立により、これまでの固定向け衛星通信に加えて 移動体衛星通信市場への本格参入を果たすこととなり、アジアでNo.1の衛星 通信事業者としての事業領域を更に拡大する足掛かりを得ることができると している。

 また、JSAT MOBILEでは、8月19日に打ち上げられたInmarsatの第4世代の 衛星Inmarsat-4の3号機(関連記事:【080825-01】)の運用が開始される時 点で、日本でも全面的に利用可能となる高速大容量移動体衛星通信サービ スであるInmarsat BGAN(海上用はInmarsat FB)の事業展開を視野に入れて いる。第4世代の衛星では従来の最大64kbpsに対し最大492kbpsが実現でき る。

 http://www.jsat.net/renewal/release/release/files/20080821.pdf

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【080825-18】JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク
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8/18  「かぐや」打ち上げ1周年記念イベント
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8/18  陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による北極圏、南極圏画像の一般公開について
8/19  「きぼう」の利用状況と今後の予定
8/19  「SELENEの人々」第十回
8/19  ISS・きぼうウィークリーニュース第307号
8/20  H-IIBロケット試験機用LE-5B-2エンジン領収燃焼試験の実施について
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