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メールマガジン「週刊KU-MA」 第37号          [2009.3.18]

■目次

(1)YMコラム
     「パリで宇宙教育を思う」

(2)ワンダフル宇宙
     「タバコの煙の快・不快(2)」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」

■YMコラム(37) 2009年3月18日

 パリで宇宙教育を思う

 たった今、若松光一飛行士がスペースシャトル「ディスカバリー」で打 ち上げられたとのニュースを聞きました。パリでそのニュースを耳にする だろうと予想はしていましたが、そのとおりになりました。嬉しいことで す。彼の宇宙での活躍については、追ってご報告します。とりあえず3ヵ 月という長期滞在を無事に立派に過ごしてほしいとの期待だけを述べてお きましょう。

 ひさしぶりのパリです。もうここ十数年、毎年3月には、秋に開かれる 国際宇宙会議(IAC:International Astronautical Congress)の準備 (国際プログラム委員会)のため、必ずパリを訪れるのが習慣になってい ました。昨年どうしても日程が合わなくて欠席したため、2年ぶりですね。 昨日は古い仲間との議論がはずみ、宇宙や宇宙活動の成果が人類のどの部 分に役立つのかという話が、最後に出ました。特に教育への貢献に関して、 前から考えたことを問わず語りに話したのですが、いろいろと興味ある反 応がありました。

 宇宙教育には、ESA(欧), NASA(米), CSA(加), JAXA(日)の宇宙 機関の宇宙教育担当部門からなる国際宇宙教育会議(ISEB:International Space Education Bureau)が、数年前の福岡でのIACで設立されています。 今年は日本がISEBの議長国なので、結構いろいろと議論や活動の調整が大 変なのです。

 Space Education(宇宙教育)という呼び方で普及とは多少異なる切り 口での活動が始まってから、かれこれ20年ぐらい経つでしょうか。その間 に、日本ではそれまでの宇宙関連の3つの機関が統合されて2003年にJAXA ができ、その中に宇宙教育センターが設立されたのは2005年でした。

 「宇宙教育」という言葉からすれば、幼児から大学生までを対象にする というのが直感的な響きでしょう。もちろん生涯教育的な捉え方もまかり 通っています。JAXAの宇宙教育センターでは、活動が総花的になるのを嫌 って、当面小中高生にターゲットを絞って活動しています。一方「ねばな らぬ」とは思いながらも、大学生に対する活動は、ゼロではないにしろ手 薄にならざるをえなくなっています。大学生のことをやろうとすると、現 在の予算や戦力では、小さい子に対する宇宙教育が崩壊することが目に見 えているからです。現在の日本の国の状況から見て、小中高生に重点を置 かざるを得ないと判断したのです。

 ところが、ISEBという国際的な宇宙教育の連携協力においては、大学生 のことが中心にならざるを得ない事情があります。これは、それぞれの機 関の担当者の意識も多分に影響していると思いますが、客観的にそうなら ざるをえない状況もあるのです。

 第一は、ESAです。ヨーロッパの宇宙先進国の集まりであるこの組織で 「教育」ということを考える場合、どうしても小さい子の教育は、ESAと いう枠組みではなく、各国で実施されていくのが、(通貨の統一とは裏腹 に)自然であることは論を待ちません。ところが、大学生という存在は、 彼らにとっては大いに相互に交流して「ヨーロッパ」という単位で育てて いくことが当然の捉え方になっているのです。つまり、大学生ならば、ESA というレベルで宇宙教育における活動を調整する権利も義務もあるわけで す。

 大学生の教育が中心にならざるを得ない第二の理由は、各国の宇宙教育 に寄せる国家としての、あるいは産業としての、あるいは宇宙関係者の思 いが、どうしても「即戦力」に偏らざるを得ないというところにあります。 これは私の見方なので、昨日も、フランス、フィリピン、韓国、ドイツ、 アメリカ、ロシア、イタリアという国籍の人たち数人で議論してもらった のですが、あまり外れてはいないようです。そこには、「教育というのは 宇宙機関がやらなくても別の教育機関が国として存在している」という 「国」の見方、「大学生こそが国と世界の近未来を担う目に見えている存 在」という「産業界」から見れば喉から手を伸ばしたい気持ち(なのにち ゃんと育っていない感じ)、ライフサイエンスなど強力なライバルとの若 者の獲得競争という「宇宙関係者」の熾烈な意識が作用するわけです。

 第一の「国」の見方は、それならば国の教育機関がもっとちゃんと教育 をしてくれる体制を作ってくれればいいわけで、それならば「宇宙」の側 から意味のある教材を提供するだけで済むからいいのですが、どっこい現 実には各国とも「国に任せられないからこそ、宇宙の魅力を一番よく理解 している(と思われる)宇宙活動に現実に携わっている人間が、教育に直 接寄与しなければならないのだ」ということが、みんなから同意されまし た。

 第二の「産業界」の見方、第三の「宇宙関係者」の見方は、一応うなず ける議論ではあります。確かに優秀な人材を獲得することが、その会社、 その分野にとっては死活の問題であることは確かですから。宇宙活動に従 事したい人材がどんどん輩出して、この魅力ある分野が盛んになり、国の 予算も増えていけば、この方面の産業界はハッピーでしょう。「宇宙関係 者」としても、ライフやナノ、ロボットなど他の分野に進まないで、宇宙 に優秀な人材が来てくれれば、活動もレベルが上がって、ますます盛んに なるという期待は、もっともなことですね。

 この第二、第三の部分にうなずける根拠があることも、大体の人の一致 した見方でした。

 では、小中高生に対する「宇宙教育」というものが、この第二と第三の 「宇宙における優秀な大学生」を育てるための予備軍なのか、という私の 問いに対しては、みんなが「ノー」と言いました。そこの議論は、まだ十 分に煮詰まっているとは言えませんが、「宇宙」と「宇宙活動」というも のの持つ多面性についてもっとみんなで分析・総合しなければならないこ とが確認されたと思います。この宇宙の多面性に関して、とりあえず私が 提起したのは、以下の命題です。

(1) 宇宙には自然科学の動機を構成する存在としての側面、芸術的な インスピレーションを触発する存在としての側面、戦争と平和に深いかか わりを持つ存在としての側面がある。→この世の価値というものを「真・ 美・善」という3つに分類した、いにしえからの哲学を想起すると、宇宙 の3つの側面は、まことに見事にこれに対応しているように見えます。私 はこの方面の素人なので、どなたか造詣の深い方に、いずれはその本当の 意味について教えを請うことになろうかと思います。当面は素人の談義と お聞き捨てください。

(2) 自然科学の動機を構成する宇宙は、科学者のターゲットとなり、 誕生以来の137億年の宇宙の歴史について、一貫したシナリオを、その最 高の知的遺産として描かせた。→そしてこのシナリオの無数の「台詞」を 構成している一つ一つのできごとや事実が、子どもたちの心に潜む「知的 好奇心」を燃え上がらせる絶好の素材を提供していると言えます。これは、 さまざまなことが複雑にからみあっていて、考えれば考えるほど奥が深く 面白い、とてつもなく魅力を放っている世界です。

(3) 芸術的なインスピレーションを触発する宇宙は、数々の芸術家の 独創を助けてきた。音楽・絵画・彫刻・文学など、「宇宙」から発した作 品は無数にある。→これも素人の私には想像もできないことながら、あげ つらうだけでもそれらしいものは、みなさんもいっぱい心の中にお持ちで しょう。あの66億キロメートルの彼方から「ボイジャー1号」が撮った地 球の“Pale, Blue Dot”を見て、即興で作曲をした女の子、詩を作った男 の子がいた中学校の教室を、私は生涯忘れることができないでしょう。

(4) 戦争と平和に深いかかわりを持つ存在としての宇宙は、人類の存 亡に関わる諸問題を内包している。それは、善いにつけ悪いにつけ宇宙の 技術が拓いたものである。→宇宙から他国を攻撃するという発想は、ロケ ット技術が発明されなければ芽生えなかったでしょう。反面、ロケット技 術がなければ、宇宙における地球の位置を自覚することや、あらゆること を宇宙から眺めるという新しい見方(宇宙からの視座)は獲得できなかっ たでしょう。視座も生活も手段もふくめ、活動領域をひろげることができ たのは、宇宙技術が拓いた可能性であり、それとともに、人類は「戦争と 平和の問題」を自身の存亡に関わるレベルにまで引き上げざるをえなくな ったのです。

 こうして私たちは、否応なしに宇宙進出と関わりながら生きていかなけ ればならなくなりました。これから長い人生を生きていく子どもたちにと って、宇宙という存在、宇宙活動という分野は、私たち大人が経験したも のとは比較にならないほど、重要な影響を与えるものになってしまってい ます。

 今や、好むと好まざるにかかわらず、「宇宙」というスクリーンを通し て物事をとらえていくことが、生きていくうえで必須のことになったと言 えるのではないか。現在の子どもたちが生きていく、あるいは生かされて いくのは、そういう時代なのではないか──だとすれば、産業界と宇宙関 係者の気持ちは理解できるとしても、「幼い頃から」この時代の空気の只 中に放り込み、「宇宙のスクリーン」を新しい道を切り拓く力の源に仕上 げて行ってほしい。私の偽らざる気持ちはこんな感じです。

 宇宙教育はまだ始まってからたった20年しか経っていない活動領域です。 その実践の中から理論化できるものは理論化し、活動の場を開拓しなけれ ばならないものについては大胆に挑み、臆することなく新しい時代を切り 拓く子どもたちのために働いていきたいものです。先週書いた「古事記」 への挑戦は、その「理論化」の努力の一環です。

 時差ボケで眠れない余勢をかって、パリの孤独な宿で、随分と長いコラ ムを書いてしまいました。お付き合いいただき、有難うございました。

(YM)

■ワンダフル宇宙(37) 2009年3月18日

 タバコの煙の快・不快(2)

 さて、灰皿のタバコから立ち昇る煙は青っぽいけれども、人が吸って吐 き出したタバコの煙は白っぽいという話です。

 光(あるいは一般的に電磁波)の波長よりも短い物体に光がぶつかると、 何が起きるか。光はエネルギーを持っていますから、原子や分子の状態を 大なり小なり変えます。特に電子は軽いですから、外から来たエネルギー の影響を受けて揺すられやすいのです。光の波長が短いと、より速く電子 を揺すります。原子ががっちりしていれば、少々揺すられてもあまり状態 は変えられないのですが、やってきた光の方は逆に原子からの影響を受け て、進行方向が少しばかり変えられます。これが「散乱」です。

 光が原子の状態を大きく変えた場合は、光の方もエネルギーをそのため に使い果たしてしまいます。つまり光がなくなってしまうのです。これが 「吸収」ですね。だから「散乱」というのは、吸収ほどは影響を受けない けれども、ちょっとだけ影響を受けるわけですね。波長が長くなればなる ほど散乱の影響が小さくなります。散乱を受ける確率は波長の4乗に反比 例することが分かっています。光の波長が、当たる粒の大きさよりも長い 散乱は、イギリスのジョン・レイリー卿が大いに論じたので「レイリー散 乱」と呼ばれています。それを一般の場合にグスタフ・ミーが拡張しまし た。こちらは「ミー散乱」です。

 さて、灰皿から立ち昇るタバコの煙に太陽光が当たりますね。すると煙 の粒子よりも光の波長の方がちょっと長いので、レイリー散乱がおこりま す。青から紫にかけての色の方が波長が短いためうんと散乱されるので、 私たちに届くのは「紫煙」になるわけです。この「副流煙」と呼ばれる煙 の方が、ニコチン、タ−ル、一酸化炭素などの有害物質を3〜5倍多く含 んでいるらしいですよ。

 それでは、人がタバコを吸った後に口から吐き出された煙は? 口の中 で水分を与えられたため、吐き出された煙の粒子は、だいぶ大きくなって しまい、可視光線のどの波長よりも大きくなってしまうんですね。可視光 線の中でいちばん長い波長を持っているのは赤い色ですが、口から出た煙 はその赤の波長よりも大きいため、どの波長の光も分け隔てなく跳ね返し てしまうわけです。ということは白く見えることになりますね。

 これで、吸う前の「紫煙」と吸ったあとの「白煙」の違いは分かりまし た。次はいよいよ「空の青さ」に行きましょう。

■宇宙茫茫ヘッドライン

【090316-01】 NASA、STS-119 Discoveryの打上げ成功
【090316-02】 ISSで船外活動
【090316-03】 宇宙デブリの接近に備えISSのクルーが一時的にSoyuzに退避
【090316-04】 NASA、Mars Odysseyの搭載コンピュータの再起動を無事終了
【090316-05】 イランの自前の衛星Omid、予定の50日間のミッション終了へ
【090316-06】 マレーシアのRazakSat、4月21日にクワジェリンからFalcon 1で打ち上げ
【090316-07】 ESA、宇宙望遠鏡HerschelとPlanckの打上げを延期
【090316-08】 韓国、初の人工衛星打上げ用ロケットKSLV1の打上げを7月末まで延期
【090316-09】 NASAとATK、Ares Iの1段の固体ロケットモータの点火器の試験に成功
【090316-10】 SpaceX、Falcon 9の2段用のエンジンの長秒時の燃焼試験に成功
【090316-11】 JAXAとMHI、H-IIBの第1段実機型タンクステージ燃焼試験の計画公表
【090316-12】 ViaSat Inc.、ViaSat-1のArianespaceとの打上げ契約を破棄してILSと契約
【090316-13】 JAXA、第3回国際宇宙探査協働グループ(ISECG)会合の結果公表
【090316-14】 NASAとHoneywell、2009年春の“FMA Live !”のツアー開始
【090316-15】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

【090316-01】(関連記事:【090302-05】)
NASA、STS-119 Discoveryの打上げ成功

 3月15日19:43EDT(16日08:43JST)、NASAはケープカナベラルからSTS- 119ミッションDiscoveryの打上げを行い、ISSへ向かう軌道への投入に成 功した。(注:EDTはケープカナベラルがある米国東部の夏時間)

 クルーは、コマンダーがLee Archambault、パイロットがTony Antone- lli、ミッションスペシャリストがJoseph Acaba、Steve Swanson、Richa- rd Arnold、John Phillips及びJAXAの若田光一宇宙飛行士の合計7人で、 主要ミッションは右舷側のトラスに最後のセグメントS6を取り付け、そこ に最後の4枚目となる太陽電池パドルを設置し、長期滞在クルーが6人にな ることへの最後の備えである電力システムを完成することである。

 ISSとのドッキング後にミッションスペシャリストの若田光一は、ISSに 長期滞在中のSandra Magnusと交替して、約3ヵ月間ISSに滞在し、STS-127 ミッションで帰還の予定となっている。Magnusは他の6人と一緒にDi-sco- veryで地上に帰還する。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/mar/HQ_09-060_Discovery_launches.html

 今回の打上げは、当初2月12日に予定されていたが、水素ガス加圧ライ ン流量調節弁(FCV)の交換に係る確認・評価作業に時間を要したために遅 れ、2月25日になって、漸く打上げターゲット日を仮に3月12日として作業 を続けることが決定されていた。

 その後3月6日に開催された打上げ準備審査会(FRR)で正式に3月11日21: 20EDT(12日10:20JST)に打ち上げることが決定されたが、11日の燃料充填 中に外部燃料タンクの外側にある水素ガスベントシステムでリークが発見 されたために打上げ予定の約6時間40分前に中止が決定された。

 14日までに水素ガスベントラインの地上側のクイックディスコネクタの 交換と機体側のシールの交換が行われ、15日の燃料充填に際して漏れが再 発することがなかったことから、打上げに問題無しと判断され、打上げが 行われた。なお、今回のリークについては、打上げまでに根本原因を特定 することができず、対象療法的処置がとられて、構成部品を交換しただけ で、交換後の実オペレーションでのリークチェックも行わないままでカウ ントダウンを実施している。

 http://www.spaceflightnow.com/shuttle/sts119/090314update/

 また、11日の打上げ中止の決定を受けて12日に米空軍とUnited Launch Allianceは、14日の21:25〜22:03の間に同じケープカナベラルからAtlas 5で打ち上げる予定となっていた通信衛星WGSの打上げを延期することを明 らかにした。新しい打上げ日は決められていない。

 http://www.patrick.af.mil/news/story.asp?id=123139712

【090316-02】
ISSで船外活動

 3月10日、ISSでは、Discoveryの到着を前に長期滞在クルーのコマンダ ーMichael Fincke とフライトエンジニアYury Lonchakovによる船外活動 が行われた。

 この船外活動の主目的は、ESAとロシアの共同プログラムである船外の 実験装置EXPOSE-Rを所定の位置に設置することであり、作業は無事終了し、 地上からロシアのオペレータにより電源の投入が行われた。この装置では、 植物の種子、細菌類、その他の有機物や生物のサンプルが18ヶ月間に亘っ て宇宙環境に曝される。

 その他には、ロシアの材料曝露装置の設置場所の変更、ISSの中のロシ ア製の部分の外部からの写真撮影等を行った。トータル時間は4時間49分 であった。

 今回の船外活動は、ISSのメンテナンスを目的とした船外活動としては 120回目であり、個人的にはFinckeは6回目、Lonchakovは2回目の船外活動 であった。FinckeはNASAの宇宙飛行士でありながら、これまでの6回の船 外活動を全てロシア製のOrlan宇宙服で行っており、Orlan宇宙服を最もよ く知っている米国人ということになる。

 http://www.space.com/missionlaunches/090310-expedition18-spacewalk-wrap.html

【090316-03】
宇宙デブリの接近に備えISSのクルーが一時的にSoyuzに退避

 3月12日、ISSに滞在中の3人のクルーに対して一時的にドッキングして ある地球帰還用の宇宙船Soyuz TMA-13に移るようにとの指示が地上から出 された。

 米空軍が行っている宇宙デブリの観測結果から、直径10cm程度の物体が ISSに接近することが明らかになり、万一ISSに衝突して与圧室の壁に孔が 開く事態となった場合には、そのままISSを離れて緊急帰還することを想 定しての処置であった。

 実際には、衝突することなく約7km離れて通り過ぎ、クルーは10分程度 Soyuzの中に居ただけで通常作業に戻っている。また、この間、Soyuzのハ ッチは必要な時には直ぐに閉じることができる状態の仮閉め状態とされて いた。

 デブリの接近が予測された場合には、ISSの軌道を変更して衝突を避け るのが通常の手段であり、今回の処置が取られることとなったのには、何 か特殊事情があるものと考えられるが明らかにはされていない。

 今回問題となったデブリは、空軍の管理リスト上では、過去に衛星の打 上げに用いられたDelta IIロケットの3段目の固体ロケットモータから、 衛星分離後の追突を避ける目的でスピンしている3段目に大きな首振り運 動を起こさせるために放出された“ヨーウェイト”とされている。

 http://www.spaceflightnow.com/shuttle/sts119/090312soyuz/index3.html

【090316-04】(関連記事:【090309-04】)
NASA、Mars Odysseyの搭載コンピュータの再起動を無事終了

 3月11日、NASAは火星周回中のMars Odysseyの搭載コンピュータの再起 動を無事終了し、前回の再起動以来の5年以上の間に蓄積された不良メモ リーがクリアされた。

 計画では10日に行うとされていたが、Odysseyの星を捉えるカメラの温 度が上昇したためにその原因究明が済むまで延期された。カメラの温度上 昇は保温用のヒーターのスイッチがオンままになってしまったためと判明 し、再起動の前にオフにされ問題はなかった。

 また、この再起動により、健全性が不明なままとなっていたバックアッ プ系の“B-side”の健全性も確認され、今後の万一の事態への備えも十分 なものとなった。

 http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2009-046

【090316-05】(関連記事:【090209-06】)
イランの自前の衛星Omid、予定の50日間のミッション終了へ

 3月11日、イランが2月3日に打ち上げた衛星Omidのプロジェクトの責任 者は、Omidが13日後(3月24日=打上げから50日後)には大気圏に再突入し て燃え尽きることになると語った。

 Omidは当初から“50日ミッション”と想定されていたとされており、投 入された軌道は200km×400kmと報じられていた。これまでに、リモートセ ンシングや衛星テレメータ、地理情報システムの実験が行われたとしてい る。

 http://www.payvand.com/news/09/mar/1148.html

【090316-06】
マレーシアのRazakSat、4月21日にクワジェリンからFalcon 1で打ち上げ

 3月12日、マレーシアの科学技術環境省の副大臣は、当初の打上げ計画 から大幅に遅れていた地球観測衛星RazakSatの打上げが漸く4月21日に行 われることになったと語った。3月21日には衛星がマレーシアから同国空 軍のC-130輸送機で打上げが行われるマーシャル諸島のクワジェリン環礁 に向けて送り出されるとしている。

 打上げはSpace Exploration Technology (SpaceX)のFalcon 1によるも のであるが、未だSpaceXからの打上げ予定の発表はない。

 RazakSatは質量180kgの小型の衛星でほぼ赤道上を周回する軌道に投入 される予定で、白黒で2.5m、カラーで5mの分解能の画像を取得することが できる“Medium-sized Aperture Camera (MAC)”を搭載しており、MACSat と称されることもある。

 http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2009/3/12/nation/20090312151304&sec=nation

【090316-07】
ESA、宇宙望遠鏡HerschelとPlanckの打上げを延期

 3月13日、ESAは4月16日の打上げを予定していた2基の宇宙望遠鏡Hers- chelとPlanckの打上げを遅らせることを明らかにした。

 最近行われた地上設備関係のソフトウェアの更新により、打上げ後のオ ペレーションの手順の確認に数週間の時間が必要となったための延期で、 新たな打上げ予定日は3月末に明らかにするとしている。

 打上げはギアナの射場からAriane 5 ECAで行われ、2基の宇宙望遠鏡は、 地球から太陽と反対方向に150万km離れた太陽〜地球系の第2ラグランジュ 点周りの軌道上での観測によって前者は銀河及び星の誕生を後者は宇宙の 誕生を探ることを目的としている。2基合わせて、質量は5.3トンであるが、 第2ラグランジュ点周りの軌道への遷移軌道投入のために強力なロケット による打上げとなる。

 http://www.esa.int/esaCP/SEMJXQITYRF_index_0.html

【090316-08】
韓国、初の人工衛星打上げ用ロケットKSLV1の打上げを7月末まで延期

 3月12日、韓国政府は韓国初の人工衛星打上げ用ロケットKSLV1の打上げ を6月末の予定から1ヶ月遅らせて7月末とすることを明らかにした。

 当初、2008年中にも打上げが行われる予定であったが、中国で起こった 四川省の大地震のために主要部品の調達遅れが生じて、6月末まで延期さ れていたもの。今回の更なる遅れは、射点の安全システムの確認項目が大 幅に増えた(99項目から348項目)ことから、確認のための時間が必要とな ったとしている。

 http://www.spacedaily.com/2006/090312065039.vpfax0mg.html

【090316-09】
NASAとATK、Ares Iの1段の固体ロケットモータの点火器の試験に成功

 3月10日、NASAとAlliant Techsystems(ATK)は、開発中のAres Iの1段の 固体ロケットモータの点火器の試験を成功裏に終了したことを明らかにし た。

 試験は、1段ロケットの主契約者であるATKの子会社のATK Launch Sys- temsのユタ州の施設で行われたもので、点火器から噴出した火炎は60mに も達し、データのクイックルックの結果からは、期待した性能が得られて いることが確認できている。

 この点火器は、スペースシャトルの固体補助ロケットモータの点火器を ベースとしたもので、直径457mm、長さ914mmの燃焼速度が大きい小型の固 体ロケットモータと言えるものであり、Ares Iの1段の固体ロケットモータ の先端に装着されて、点火信号を受けた瞬間に長さ43m余りの固体ロケット 燃料の内面の端から端までをその火炎で点火する能力が求められている。 シャトル用の点火器からは、ライナーやインシュレーションの改良が行わ れており、より強く、より軽くなっている。

 NASAでは、今回の試験の成功により、Ares Iの1段の固体ロケットモータ の地上燃焼試験へとステップを進めることができるとしている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/mar/HQ_09055_ARES_igniter_test.html

【090316-10】
SpaceX、Falcon 9の2段用のエンジンの長秒時の燃焼試験に成功

 3月10日、Space Exploration Technologies (SpaceX)は、開発中の大型 ロケットFalcon 9の2段用のエンジンの長秒時の燃焼試験に成功したこと を明らかにした。

 試験は7日にテキサス州にある同社の試験場で行われたもので、打上げ 時に必要とされる6分間の燃焼に成功し、推力42tonf、真空中比推力(Isp) 342秒を達成した。

 エンジンは、同社のFalcon 1の1段目に使用され、打上げに成功してい るMerlin 1Cエンジン(ガスジェネレータ方式、再生冷却方式の燃焼室・ノ ズル)をベースとしてノズルの延長部分(放射冷却方式)を加えた“Merlin Vacuum”と称されるエンジンで、燃料はケロシン、酸化剤は液体酸素であ り、今回達成した342秒というIspは、これまで米国内で開発・製造された 石油系燃料(ケロシン)を用いるエンジンとしては最高のものである。

 このエンジンは、多数回の再着火能力と推力レベルを絞る能力を有して おり、今回の試験では最大推力の75%まで推力を絞ることにも成功してい る。

 http://www.spacex.com/press.php?page=20090310

【090316-11】
JAXAとMHI、H-IIBの第1段実機型タンクステージ燃焼試験の計画公表

 3月13日、JAXAと三菱重工業(株)(MHI)はH-IIBロケット開発試験の一環 として行う、第1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)の実施計画を明 らかにした。

 この試験は、実機型タンクを用いた第1段推進系システム等の総合確認 と、コア機体及び設備のインタフェース確認を目的として行うもので、種 子島宇宙センタにおいて、H-IIBロケット試験機コア機体と射点設備を使 用して行われる。

 燃焼時間10秒と150秒の2回の燃焼試験を行う予定で、1回目の試験を3月 27日に行うとしている。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/03/20090313_h2b_j.html

【090316-12】
ViaSat Inc.、ViaSat-1のArianespaceとの打上げ契約を破棄してILSと契約

 3月11日、International Launch Services (ILS)は、米国の衛星通信機 器メーカViaSat Inc.との間で、高機能のKaバンドのスポットビームを装 備した衛星ViaSat-1の打上げサービス契約を結んだことを明らかにした。 ILSが提供するProtonにより、2011年の前半にバイコヌールから打ち上げ る予定とされている。

 この打上げ契約の締結は、ViaSat Inc.が2008年12月にArianespaceとの 間で締結した契約(関連記事:【081108-09】)を破棄して行ったもので、 特にArianespace側に打上げ時期が遅れる等の問題があったとされている 訳ではない中での変更であり、衛星打上げビジネスとしては注目すべきケ ースである。

 ViaSat Inc.のCEOは、ILSを選定したことは、同社のビジネスにとって オーバーオールで最高の価値を与えてくれるとしており、このミッション 専用で、大型の衛星を打ち上げる能力があり(ViaSat-1は6トン超とされて いる)、要求通りの時に打ち上げる実績を有しているロケットを求めた結 果だとしている。

 同社ではArianespaceに違約金を払ってでも、Ariane 5からProtonに乗 り換えることが有利と判断したものと考えられるが、詳細は明らかにされ ていない。

 http://www.ilslaunch.com/news-031109

【090316-13】
JAXA、第3回国際宇宙探査協働グループ(ISECG)会合の結果公表

 3月13日、JAXAは3月10日〜12日に横浜で開催された第3回の国際宇宙探 査協働グループ(International Space Exploration Coordination Gro- up:ISECG)の会合の結果を明らかにした。

 この会合には世界の10宇宙機関(アルファベット順で、ASI(イタリア宇 宙機関)、BNSC(英国国立宇宙センタ)、CNES(フランス国立宇宙研究セ ンタ)、CNSA(中国国家航天局)、CSA(カナダ宇宙庁)、DLR(ドイツ航 空宇宙センタ)、ESA(欧州宇宙機関)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、 KARI(韓国航空宇宙研究所)、NASA(米国航空宇宙局)が参加し、JAXAが 議長を務めた。

 会合では、宇宙探査の国際協働を様々な見地から検討するために設置さ れた複数の作業グループ活動のこれまでの進捗の確認並びに今後の作業の 進め方等が検討され、将来の無人及び有人月探査活動に向け、国際的な規 範構想をまとめることを目指して引き続き議論を重ねることが合意された。

 無人及び有人の月探査を国際協力によって実施するための3つのシナリオ (@極有人拠点、A短期滞在、B中期滞在)を更に検討することが合意され た。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/03/20090313_isecg_j.html

【090316-14】
NASAとHoneywell、2009年春の“FMA Live !”のツアー開始

 3月9日、NASA とHoneywellは2009年春の“FMA Live!”のツアーを開始 することを明らかにした。

 “FMA Live!”は2004年からNASAとHoneywellの共同プログラムとして始 められた中学生向けの科学教育プログラムで、ニュートンの3つの運動の 法則等を舞台の上のエンターテイナのパフォーマンスを通じて学ばせよう というプログラムであり、春秋2回ツアーを行っている。“FMA Live!”の “FMA”はニュートンの第2法則F=mα(力=質量×加速度)に由来している。

 春のツアーは10週間掛けて19の都市を回り、17,000人以上の中学生を集 め、ヒップホップのコンサートに絡めて、慣性の法則、運動方程式、作用 ・反作用の法則及び万有引力の法則を実感させる。

 このツアーは2004年のスタート以来これまでに、101,790kmを移動し、 米国とカナダの43州の593校の中学の生徒200,060人をカバーしている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/mar/HQ_09052_FMALIVE!.html

【090316-15】
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