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メールマガジン「週刊KU-MA」 第40号          [2009.4.8]

■目次

(1)YMコラム
     「4月5日狂騒曲」

(2)ワンダフル宇宙
     「火星の空」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」

■YMコラム(40) 2009年4月8日

 4月5日狂騒曲

 この日の午前11時50分、私は新千歳空港にいました。12時05分発のJAL で羽田に飛ぶためです。A新聞社のA記者から私の携帯電話へ。

A:11時20分に北朝鮮が打ち上げたそうです!

私:そうですか。それで?

A:詳しくはわかりません。

私:北朝鮮は当然人工衛星の打上げに成功したと発表するでしょうね。

A:まだそこまでは言っていないようです。

私:じゃあ、これから乗りますので・・・。

 羽田に着陸した直後、たまプラーザまでのバスの切符を買おうとしてい た矢先、B新聞社のB記者から私の携帯電話へ。

B:1段目は北が予告していた落下予想区域に落ちた模様です。

私:2段目は?

B:2段目は予告したエリアの外、手前に落ちたそうです。

私:はあ、そうですか。2段目のエネルギーが計画値より小さかったか、エネルギーが合っているなら経路が予想よりも高く上がり過ぎたか、どちらかですね。

B:そういうことになりますか。衛星になっているでしょうかね。

私:そんなこと訊かれても困ります。

B:そうでしょうね、すみません。また電話するかも知れませんから。

私:どうぞどうぞ。ただしこれからバスに乗りますので・・・。

 多摩プラーザでバスを降りた途端、どこかで見ていたかのようにC新聞 社のC記者から私の携帯電話へ。

C:北朝鮮が衛星軌道投入に成功したと発表しました!

私:そうですか。

C:金日成万歳みたいな曲を奏でながら飛んでいるそうです! 信じてい いでしょうかね?

私:さあ? 前科がありますからねえ。NORAD(北米防空司令部)の発表 を待った方がいいんじゃないですか。北は軌道についての数字は何か発表してるんですか。

C:いや、それはまだです。

私:じゃあ、私はこれから田園都市線の駅まで歩きますので・・・。

 約300メートルの道をスーツケースのキャスターを転がしながら歩いて いると、突然D社のD記者から、私の携帯電話へ。

D:北朝鮮が軌道を発表しました!

私:やっぱり。軌道はどんなもんですか?

D:周期が1時間44分だそうです。具体的な数字を出したということは、信憑性が高いような気もしますが、どうですか?

私:あなたのような人ばかりなら信憑性が高いと思われるでしょうね。でも私みたいに疑り深い人間ばかりだと、本人の発表だけでは信じ ないでしょうね。やはりNORADの発表を待ったらいかがですか?

D:NORADは絶対信じていいものですか?

私:これまでの実績から見て、少なくともそのレーダー技術は信じてい いと思いますよ。じゃあ、私は今から田園都市線に乗車しますので・・・。

 田園都市線の急行に乗って南町田駅に到着寸前、E新聞社のE記者から 私の携帯電話へ。

私:ちょっと待ってください。いま降りますから。

 そして途中下車しながら、

私:はい、どうぞ。もう大丈夫です。

E:北朝鮮の軌道情報が入ってきました!

私:ちょっと待ってください。メモしますから。

E:軌道傾斜角40.6度、近地点高度490 km 、遠地点高度1426 km、軌道周期104分20秒だそうです。

私:打上げ場のムスダンリ(舞水端里)の緯度はどれぐらいですか?

E:さあ? ここには地図がないものですから。

私:もうじき家に帰りますから、あと30分ぐらいしたら電話くれますか?

E:じゃあその時に。

 帰宅後、急いで地図帳をめくってムスダンリの位置を調べる。そして電 卓をちょっと弾(はじ)いてみる。ちょうどそこへEさんから電話。

E:どうですか。もうお着きになりましたか?

私:OKです。打上げを行ったムスダンリの位置は、大体40.8度あたりみたいだし、真東に向かって打つとすれば、その発射した場所の緯度を表す数字がそっくりそのまま投入される軌道の傾斜角になるということになります。今回の軌道傾斜角はつじつまは思っていますね。

E:軌道の高さなんかはどうですか?

私:近地点と遠地点が決まれば、軌道周期が自動的に決まってきます。近地点と遠地点とから計算してみると、軌道周期との整合性はとれていますね。まあ、それぐらいは机の上の計算でできることですから。じゃあ、ちょっと腹が減ったのでそばを食べに行きますので・・・。

 近所のそば屋。これが実にうまいのです。大盛そばを注文して待ってい るところへ、F新聞社のF記者から私の携帯電話へ。

F:NORADが、2段目より上はまるごと太平洋に落ちたそうです。NORADによれば、いかなる物体も軌道には乗っていないとのことです。

私:そうですか。ミサイルの実験をやると発表して、国際世論が厳しそうだという理由で、突然人工衛星を打ち上げることに装いを変えて、ちょいちょいと軌道に乗るほど、人工衛星の打上げは楽ではないということでしょう。

 この最後の言葉は、4月3日に各新聞社からかかってきた問い合わせに 対して私が憶測を述べていた私見だったのですが、実際はロシアや中国の 北朝鮮への技術提供がどの程度のものかが不明なので、「ひょっとしたら」 という気持ちも持っていたのは確かです。あとは雑感。

1.本当に3段目のロケットや衛星が搭載されていたのでしょうか。搭載されていたとしたら、2,3段の切り離しに失敗したのか、あるいは切り離しは成功したが、3段目の点火がうまくいかなかったのか、いろいろと気になることはあります。

2.北朝鮮の技術者たちは、「衛星軌道に乗った」と報告せざるを得ない状況に追い込まれているのではないでしょうか。だって、打上げに失敗したら首が飛ぶかもしれないのでしょう? 軌道に乗らなかったことを本当に知っている人は、北朝鮮の中でも少数しかいなかったりして・・・。

3.現実問題としては、1段目と2段目が予想した地点に落ちていれば、技術者としては大いに満足していると思います。先回の打上げはあまりに惨めだったでしょうから。北朝鮮の中にも、あのフォン・ブラウンたちのように、将来北朝鮮の力で宇宙探査をしたいと夢見ながら、ロケット開発に従事している人が必ずいると、私は信じています。いつの日にか、そんな人たちとひざを突き合わせて話し合いたいものです。

 まずは一件落着ということで。

 ところが、こうして落着したと思った6日も7日も、依然として狂騒曲は 鳴り続けました。その中で最も驚かされた情報は、7日(火曜日)にS新 聞の記者さんからもたらされた、アメリカの衛星が撮ったムスダンリから の発射画像です。提供元から考えて「クイックバード」衛星か「ワールド ビュー」衛星からの画像と思われる発射直後の煙の軌跡が、おそらくは数 十センチと思われる解像度によって、見事にキャッチされています。

 終わってみれば、北朝鮮は、3段目や衛星は結果としては載せていなか ったんじゃないか、だから2段目と3段目の分離などは起きるはずがなか ったのではないか、だから2段目以降が一体となって太平洋に落ちたのは 当たり前だったのではないか、北朝鮮の技術者たちは1段目と2段目の無事 な飛翔を終えて快哉を叫んでいるのではないか、北朝鮮の幹部たちは世界 中が大騒ぎするのを見て、してやったりとほくそ笑んでいるのではないか ──すべて裏づけのない想像ながらそう思いたい、ここ数日の狂騒の調べ でした。

(YM)

■ワンダフル宇宙(40) 2009年4月8日

 火星の空

 ここで火星に舞台を移しましょう。佐藤文隆先生の名著『火星の夕焼け はなぜ青い』(岩波書店)で有名になったように、火星の夕焼けは青いん ですね。

 http://www.sorae.jp/031006/217.html

 考えてみると、あのバイキングが火星表面から送ってきた写真で初めて 見た火星のサーモンピンクの空には、びっくりしましたね。そして、もう あれから30年も経ったんですね。

 http://www.nasm.si.edu/ceps/siimages/image13.gif

 火星の大気は、地球大気の1/100〜1/200しかありません。成分も地球と は異なっており、二酸化炭素が大部分です。それに水蒸気が含まれていな いので、気温の差が簡単には調節されません。必然的に大気の上下方向の 温度差がきちんと存在しており、火星表面の細かい土壌の粒が絶えず吹き 上げられて、まるで砂嵐の状態になっていることが多いと思われます。地 球上の砂粒よりはずっと小さいみたいですから、惑星間空間のダストが落 ちてきたものなのでしょうか。

 火星探査機の調査によれば、この細かい粒は、赤い光の波長と同じくら いの大きさのものが多いようです。ということは、ミー散乱によって、赤 い波長がどんどん散乱して行きます。地球の大気は厚いから、太陽の光の 散乱は、原子や分子のような大きさの微粒子のよるレイリー散乱によって、 主として青っぽい光について起こるわけですが、火星の大気はうんと薄い ですから、レイリー散乱ではなく、もっと大きな粒による赤い光のミー散 乱が起きるというわけですね。火星の表面にはそんな大きさのダストがう ようよしているため、火星の空はあのように美しくサーモンピンクに染ま るのでしょう。

 では、火星の夕焼けは? これは地球の夕焼けと同じ理屈で考えれば、 太陽の光から赤っぽい光が引き算される結果になるので、地上に届いてく る光は青っぽくなるのではないか。このように佐藤文隆先生は予測し、そ れが見事に火星探査機の画像で証明されたのです。物理学者というのは、 偉いものですね。

 もしも火星人が存在していると、やはり自分の故郷の空を美しいと感じ るように進化しているでしょうから、地球の昼間の青空と赤い夕焼けを始 めて見た時は、きっと奇異に感じることでしょうね、と、これは雑感。

■宇宙茫茫ヘッドライン

【090406-01】 ILS、バイコヌールからProtonでEutelsatのW2Aの打上げに成功
【090406-02】 ULA、ケープカナベラルからAtlas 5で米空軍のWGS-2の打上げに成功
【090406-03】 ロシア、Soyuz TMA-13でのISSからのクルー帰還を地上の洪水で1日延期
【090406-04】 ISSでラジエータの表面シートのめくれ上がり発生・・・交換も検討
【090406-05】 STS-125 Atlantis、ハッブル宇宙望遠鏡に向けて射点での整備作業に入る
【090406-06】 ESA、Herschelの強度余裕再確認で打上げを数日遅らせて5月初めに
【090406-07】 NASAのLunar Reconnaissance Orbiterの打上げ、6月にずれ込む
【090406-08】 JAXA/MHI、H-IIBの初の第1段実機型タンクステージ燃焼試験成功
【090406-09】 ATK、Orionの緊急離脱用システムの姿勢制御用モータの試験実施
【090406-10】 米国防総省、軌道上で制御可能な衛星800基を追跡し情報提供を計画
【090406-11】 モスクワ郊外で模擬火星往復飛行の準備段階の105日間の隔離開始
【090406-12】 JAXA調布航空宇宙センタで「JAXA統合コンピュータシステム」稼働開始
【090406-13】 ULA、Atlas 5の上段用の膨張展開型太陽光遮蔽板を開発
【090406-14】 スペースデブリの国際会議で積極的な宇宙環境改善策必要との認識強まる
【090406-15】 NASAの監察総監Robert W. Cobb、辞意を表明
【090406-16】 NASA、インターンシップ・プログラムのマネージをUSRAに委託
【090406-17】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

【090406-01】
ILS、バイコヌールからProtonでEutelsatのW2Aの打上げに成功

 4月3日、International Launch Services (ILS)は、バイコヌールから Proton-M/Breeze MによるEutelsat Communications S.A.の衛星W2Aの打上 げを行い、所期の軌道への投入に成功した。

 W2AはThales Alenia SpaceのSpacebus 4000 C4をベースとした質量5,90 0kgの衛星で、東経10度の静止軌道上で運用される予定。

 この打上げは、ILSとしての、50回目のProtonによる打上げで、2009年 の最初の打上げあった。

 http://www.ilslaunch.com/news-040309

【090406-02】(関連記事:【090323-04】)
ULA、ケープカナベラルからAtlas 5で米空軍のWGS-2の打上げに成功

 4月3日、United Launch Alliance(ULA)はケープカナベラルからAtlas 5 による米空軍の次世代の軍事用通信システムWideband Global SATCOMの2 基目の衛星であるWGS-2の打上げを行い、所期の軌道への投入に成功した。

 この打上げは、3月17日に2段への推進薬充填中に漏れが発見されたこと から延期となっていたもので、この間に、Delta IIの打上げ、スペースシ ャトルの地球への帰還があったことから、更なる遅れとなったいた。

 http://news.prnewswire.com/DisplayReleaseContent.aspx?ACCT=104&STORY=/www/story/04-03-2009/0005000797&EDATE

【090406-03】
ロシア、Soyuz TMA-13でのISSからのクルー帰還を地上の洪水で1日延期

 4月3日、ロシア連邦宇宙庁(Roscosmos)は、ISSから2人の第18次長期滞 在クルーと短期訪問者を乗せて地球に戻るSoyuz TMA-13の帰還予定日を1 日遅らせて4月8日とすることを明らかにした。

 これは、7日に帰還する場合の着陸予定地点であるカザフスタンのアル カルイク(Arkalyk)の北約80kmの地点が、春の洪水で沼の様な状態になっ ており、着陸後のクルーの収容作業に支障を来すことが判ったための処置 である。

 1日遅らせて8日のモスクワ時間11:00(16:00JST)に着陸地点をジェス カズガン(Dzheskazgan)の北西に変えての帰還となる。

 Soyuz TMA-13で帰還するのは、米国人コマンダーMichael Fincke、ロシ ア人フライトエンジニアYuri Lonchakovと短期訪問の米国人Charles Si- monyiである。

 http://en.rian.ru/russia/20090403/120900751.html

【090406-04】
ISSでラジエータの表面シートのめくれ上がり発生・・・交換も検討

 4月1日にNASAの内部事情に詳しいnasaspaceflight.comが伝えるところ によると、ISSのS1トラス部に設置されているラジエータの8枚のパネルの 中の1枚の表面のシートがめくれており、そのままにしておくとExternal Thermal Control System (ETCS)の冷媒であるアンモニアが漏れる恐れが あることが確認された。

 このめくれは2008年の夏の終わりの定期的なISSの外観検査で見つかっ たものであるが、その時は問題となることは無いとの判断が下され、その まま放置された。

 その後、確実を期すためにこのほど終了したSTS-119ミッションの船外 活動で接近して写真を撮ることが計画され、2度目の船外活動の際に撮影 が行われ、画像を地上に持ち帰って詳細検討が行われた。

 その結果、表面のシートがめくれた状態では、パネルのコアのハニカム の強度が不足し、アンモニアのチューブとパネルの表面のシートとの溶接 部で疲労破壊が起こり、結果としてアンモニアが漏れ出す可能性があるこ とが指摘された。

 今回の詳細検討でも、何故シートがめくれてしまったのかは不明のまま で、NASAでは、今後のスペースシャトルのミッションで不具合が起こって いる部分の交換品を運び、めくれている部分を地上に持ち帰って調査する ことを検討し始めている。

 http://www.nasaspaceflight.com/2009/04/iss-concern-s1-radiator-may-require-replacement-shuttle-mission/

【090406-05】
STS-125 Atlantis、ハッブル宇宙望遠鏡に向けて射点での整備作業に入る

 3月31日にケネディ宇宙センタのスペースシャトルの射点39AにAtlantis が据え付けられ、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)のメンテナンスに向かうSTS- 125ミッションの射点での整備作業が開始された。打上げのターゲット日 は5月12日とされている。

 STS-125ミッションは、HSTの5回目のメンテナンス飛行で、予定通りの 作業を終えることができれば、HSTの運用機関を少なくとも2014年までは 延長させることができる。

 この打上げに際して万が一の事態が生じた場合に緊急に救援飛行を行う ことに備えてEndeavourの打上げ準備作業が並行して行われることとなっ ており、Endeavourは4月17日に射点39Bに据え付けられる予定となってい る。

 なお、EndeavourはAtlantisが無事に打ち上げられた場合には、射点39A に移動して、6月中頃に予定しているSTS-127ミッションの打上げ準備に入 ることとなっている。

 また、射点39Bは、STS-125の打上げ後改修して、2009年中には次期打上 げロケットの最初の試験機Ares I-Xの打上げに用いられることとなってい る。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/mar/HQ_09-075_STS-125_Atlantis_at_Pad.html

【090406-06】
ESA、Herschelの強度余裕再確認で打上げを数日遅らせて5月初めに

 4月2日、ESAは地上設備関係のソフトウェアの更新後の確認のために4月 29日に遅れていた2基の宇宙望遠鏡HerschelとPlanckの打上げを更に数日 遅らせることを明らかにした。

 遅れの理由は、Herschelの望遠鏡の鏡が打上げ時の荷重に耐えられるこ との再確認を行うことにしたためで、これから数日の間にESAの監察総監 を長とする外部の専門家の検討会で鏡の構造・強度に関する技術文書を点 検し、望遠鏡の強度余裕に問題が無いことを確認するとしている。

 この鏡は12枚のシリコンカーバイド(SiC)の花弁状のピースをロウ付け したもので、直径3.5mとこれまでに軌道上に打ち上げられたものとしては 最大のものである。

 http://www.spaceflightnow.com/ariane/v188/090402delay.html

【090406-07】
NASAのLunar Reconnaissance Orbiterの打上げ、6月にずれ込む

 4月1日、NASAは5月21日にケープカナベラルからAtlas 5で打ち上げる予 定としていた、Lunar Reconnaissance Orbiter (LRO)と相乗りのLunar Crater Observation and Sensing Satellite (LCROSS)の打上げが、6月に ずれ込むことを明らかにした。

 これは、4月3日の同じAtlas 5による米空軍のWGS-2の打上げを待たなけ れば、移動式の打上げプラットフォーム上での垂直状態のロケットの1、2 段の結合ができなかったためで、5月21日では射点での整備中に何か問題 が起こった時の余裕を確保することができないことから、遅らせることが 決まったもの。

 このミッションの打上げ機会は月の周期の関係で2週間毎の3日間か4日 間に限られるため、打上げは6月2日か6月17日のどちらかとなる。

 http://www.spaceflightnow.com/atlas/av020/090401june.html

【090406-08】
JAXA/MHI、H-IIBの初の第1段実機型タンクステージ燃焼試験成功

 4月2日、JAXAと三菱重工業(株)(MHI)は種子島宇宙センタにおいて、H- IIBロケット第1段実機型タンクステージ燃焼試験(Captive Firing Test: CFT)の初回の試験を行い、所期の10秒間の燃焼試験を良好に終了したこと を明らかにした。

 H-IIBは、これまでのH-IIAと比べ、第1段エンジンであるLE-7Aを2基搭 載し、第1段の直径を4mから5.2mに拡大して、能力を向上した新大型ロケ ットで、2009年度中に宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機の打上げ に用いられる計画となっている。

 CFTは実機を使用して、実際に打上げが行われる射点でエンジンを燃焼 させるもので、初回の試験は、エンジン2基同時燃焼に対する安全性の確 認、機体/設備インタフェース確認、リフトオフまでのカウントダウンシ ーケンスの確認を目的として行われた。

 この試験は当初3月27日に行われる予定となっていたが、当日実施した 極低温点検の際に、エンジンの燃焼から設備及び周辺を保護するための 冷却水の注水及び散水が行われないという不具合が発生したために中止 された。そして、対策後に再開された4月1日には射点の防消火系設備配 管の継手部から漏水が発見されたために再び中止となり、2日に延期され ていたもの。

 今回のCFTとしては、更に150秒間の燃焼試験を行う予定とされている が、試験の実施日は明らかにされていない。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/04/20090402_cft_j.html

【090406-09】
ATK、Orionの緊急離脱用システムの姿勢制御用モータの試験実施

 4月1日、Alliant Techsystems(ATK)は、自社の試験場において、NASAの 次期有人カプセルOrionの打上げ時の緊急離脱用システム(Launch Abort System:LAS)に用いられるAttitude Control Motor(ACM)のスラスタのサ ブスケールの試験を無事終了したことを明らかにした。

 試験は、NASA、Orionの主契約者のLockheed Martin及びLASに用いられ る各種のモータの供給責任を持つOrbital Sciencesの立ち会いの下で行わ れた。

 ACMは、固体燃料を用いたガス発生器で得られた高圧のガスを直径約0.9 mのモータの外周8等分の位置に配置した制御バルブを通してノズルから噴 出させて緊急時にOrionを引っ張って飛び出した後のLAS(+Orion)の姿勢 制御を行うもので、LASの先端部分に取り付けられる。高圧ガスの噴出に より最大で約3.2トンの制御力を発生する。

 今回の試験は、ACMとしては地上試験シリーズの5回目で、一部に実機仕 様の部品を用いており、ATKではこの試験が完了したことによって、ACMと してのホワイトサンズで行われるLASの飛行試験(Pad Abort-1 Flight Te- st)への準備は整ったとしている。

 http://atk.mediaroom.com/index.php?s=118&item=911

【090406-10】
米国防総省、軌道上で制御可能な衛星800基を追跡し情報提供を計画

 3月30日、米空軍の高官は、米国戦略軍(U.S. Strategic Command)と空 軍宇宙軍団(Air Force Space Command:AFSPC)が協力して、2009年10月1 日までに、現在軌道上で運用されている約800基の軌道制御可能な衛星の 追跡を行い、それぞれの関連を解析した情報の提供を開始する計画を持っ ていることをことを明らかにした。

 これは、現在対象としている約300基から大幅に対象を増やすもので、 3月24日に国防総省でのハイレベルの会議で決定されたことであるとして いる。

 但し、追跡の対象の大幅増に対処するためには人手を多く必要とし、 AFSPCには十分なマンパワーが無いとしつつも、その拡充のための予算措 置等については触れていない。更に、中国、ロシアに追跡の協力を求め る考え方もあるとしているが、結論は出ていないともしている。

 この計画により拡張された衛星の追跡データの民間での利用を希望す る企業等は、米国政府との間で契約書を交わさなければならず、そこで は衝突を避けるために自社の衛星の軌道変更を行う際のルール等が決め られているので、それ等に従った秩序ある運用が求められることになる。

 http://news.yahoo.com/s/nm/20090331/sc_nm/us_usa_satellites;_ylt=Aiwor1nKhhZeni1OzeJ_TrSHgsgF

【090406-11】
モスクワ郊外で模擬火星往復飛行の準備段階の105日間の隔離開始

 3月31日、モスクワ郊外の生物医学問題研究所(IBMP)で火星への飛行を 地上で模擬する実験の第2段階の実験である105日間の実験が開始された。

 2009年末に開始予定の、往路250日・火星滞在30日・復路240日の火星探 査に要するのと同じ合計520日を地上に置かれた宇宙船の中で過ごす実験 の準備段階の実験で6人の被験者がIBMPに置かれた200uの模擬宇宙船の中 で外部とは通信だけが可能な状態で105日間を過ごす。

 6人は、ロシア人の宇宙飛行士Oleg ArtemyevとSergei Ryazansky、同じ くロシア人で医師のAlexei Baranov及び運動生理学者のAlexei Shpakov並 びにESAによって選ばれたフランス人でエールフランスのパイロットCyri- lle Fournierとドイツ人で陸軍の機械技術者Oliver Knickelであり、1人 当たり15,500ユーロの報酬を得る。

 http://en.rian.ru/science/20090331/120836875.html

【090406-12】
JAXA調布航空宇宙センタで「JAXA統合コンピュータシステム」稼働開始

 4月2日、JAXAは調布航空宇宙センタ内に構築した新型スーパーコンピュ ータ「JAXA統合コンピュータシステム(JSS)」を報道陣に公開した。

 富士通製で総理論ピーク性能は性能が公表されているスーパーコンピュ ータでは国内最速であり、従来システムの約15倍の演算性能になるとして いる。

 新システムの中核であるハイエンドテクニカルコンピューティングサー バ「FX1」は、合計3,392ノード、総理論ピーク性能135テラフロップス、 総メモリ容量100テラバイト、総ストレージ容量11ペタバイトの大規模シ ステムである。

 JAXAではこれまで、調布、角田、相模原の3拠点に設置していたスーパ ーコンピュータシステムをJSSとして1つに統合したもので、4月1日から本 格利用を始めた。

 なお、富士通では本システムで実施したLINPACKベンチマークによる性 能測定では、110.6テラフロップスの実行性能と、91.19%の実行効率を達 成しており、この結果は、最新のTOP500リスト(2008年11月発表)におい て、実行効率で世界1位、実行性能では日本1位(世界17位)に位置付けられ るとしている。

 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090402/327692/

【090406-13】
ULA、Atlas 5の上段用の膨張展開型太陽光遮蔽板を開発

 4月1日、United Launch Alliance (ULA)は、NASAからInnovative Part- nership Program (IPP)の下での資金提供を受けて進めていたAtlas 5の上 段部分に対する宇宙空間で膨らむ太陽光遮蔽板の初期設計と開発試験を終 えたことを明らかにした。この開発作業は、ULAがILC Dover並びにNASAの ケネディ宇宙センタ及びグレン研究センタの技術者の協力を得て進めてい たもの。

 開発した太陽光遮蔽板は、ロケットの打上げ時に、衛星フェアリングが 分離された後に膨らみ且つ展開して、極低温推進薬が入っている上段のタ ンクに太陽光が当たるのを防いで、推進薬の蒸発を抑えることを目的とし ている。

 ULAではこれまでの成果に基づき次のステップでは実際のロケットにプ ロトタイプを搭載して、膨張・展開の実験を行いたいとしている。

 なお、今回の開発の対象はAtlas 5としているが、同じコンセプトは Delta IVや将来考えられている軌道上の推進薬基地にも用いることができ る。

 IPPは資金提供と、産業界、学会、政府機関、国立研究所との技術協力 を通じて、NASAの各局、各プログラム及び各プロジェクトに対して必要と される技術を確保することを目的としているプログラムである。

 http://sev.prnewswire.com/aerospace-defense/20090401/SF9287601042009-1.html

【090406-14】
スペースデブリの国際会議で積極的な宇宙環境改善策必要との認識強まる

 4月2日、ESAは3月30日からドイツのダルムシュタットのEuropean Space Operations Centre (ESOC)で行われていた第5回のスペースデブリに関す る欧州会議(European Conference on Space Debris)の成果を明らかにし た。

 参加者は21ヵ国から約330人で、100件のプレゼンテーション、40件余り のポスターセッションを通じてスペースデブリに関する最新の研究成果が 披露された。

 研究の課題は、デブリの観測、モデリングと軌道予測、軌道上及び大気 圏再突入によるリスク解析、デブリの発生抑制、高速衝突と防御策、宇宙 環境の監視等で何れも活発な議論が行われた。

 この会議での最大の認識事項は、デブリの発生抑制だけでは長期に亘っ て安全且つ安定した宇宙環境を維持することは不可能であり、積極的なデ ブリ環境改善策を考えて実際に適用していかなければならないということ である。その様な策には、技術開発を必要とし、コストが掛かることは当 然であるが、他に宇宙を有効に利用し続けて行く手立ては無いとしている。

 http://www.esa.int/esaCP/SEMKO5EH1TF_index_0.html

【090406-15】(関連記事:【090323-16】)
NASAの監察総監Robert W. Cobb、辞意を表明

 4月2日、NASAは監察総監(Inspector General)であるRobert W. Cobb が同日付のオバマ大統領宛の書簡で、辞意を表明し、大統領に受理された ことを明らかにした。これにより、Cobbは4月11日限りで現職を去ること となった。

 Cobbは、2002年に当時のブッシュ大統領によってNASAの監察総監に任命 されたが、その任務遂行に関しては多くの疑問が呈されており、2007年に は米議会の上下両院の科学技術に関する委員会等の小委員長が連名の書簡 でブッシュ大統領に罷免を求める事態も生じていたが、罷免を免れ今日に 至っていた。大統領が替わった2009年3月には改めて超党派の議員からの 罷免要求が出されていた。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/apr/HQ_09-078_Cobb_Resigns.html

【090406-16】
NASA、インターンシップ・プログラムのマネージをUSRAに委託

 3月30日、NASAのエイムズ研究センタは、同センタが進めているEduca- tion Associates Program (EAP)の管理業務の委託先として米国内95校、 国外9校の宇宙関係の科学または工学の学科を有する大学がメンバーとな っているUniversities Space Research Association (USRA)を選定したこ とを明らかにした。

 このプログラムは将来のNASAの働き手を確保することを目的としたプロ グラムで、Science, Technology, Engineering and Mathematics(STEM)の 分野の大学生、大学院生、博士課程修了者及び教員を対象として、NASAの 研究所での実務を経験させるインターンシップ・プログラムである。

 USRAとの契約期間は5年間で、この間USRAには、教育現場での経験を生 かしてプログラムのマネージを行うと共に、多くの大学との繋がりを利用 してプログラムの発展を図ることが期待されている。

 参加を希望する学生、教員は、NASAが提示する作業項目別に個々に応募 をすることができ、開始・終了の時期に特に定めはなく、拘束時間も週に 8時間のパートタイムから週40時間のフルタイムまでの自由度があり、報 酬としてフルタイムで働いた場合で月に約2,000ドルが支給される。また、 希望者には低廉な家賃の宿舎の提供もある。

 http://www.usra.edu/cs/news/news_detail?pressrelease.id=156

【090406-17】
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