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メールマガジン「週刊KU-MA」 第62号          [2009.9.9]


■目次

(1)YMコラム
     「インドのチャンドラヤーン・ミッションの終焉」

(2)ワンダフル宇宙
     「H-IIBデビュー、HTVを宇宙へ」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」

■YMコラム   2009年9月9日

 インドのチャンドラヤーン・ミッションの終焉

 沖縄の那覇で宇宙教育指導者セミナーをしてきました。宇宙教育に共鳴 する人たちに、現在日本で展開している宇宙教育の考え方を聞いてもらい、 身につけるべき基本となる事柄を入門的にお話しするセミナーです。全国 どこでやっても、非常に熱心な人たちが大勢駆けつけてくれます。今回集 まったのは40人ぐらい。中には高齢の方もいて、1日中受講生になりきる ことはとても辛抱が要ると思われますが、一生懸命付き合っていただきま した。場合によっては講師よりも経験豊かな人もいるに違いないのですが、 まあ初期条件を整えるためにはある程度我慢していただいているわけです。

 その足で鹿児島へ渡り、薩摩川内市の外れにある小規模な小学校でお話 をしてきました。学年ごとに手を挙げてもらうと、1学年が3人だったりし てびっくりですが、私の話を聞く態度ときたら、もうとても立派で、質問 ハキハキと飛び出してきました。塾に行っている子などはいないそうで、 純朴で礼儀正しく人懐っこい、素敵な子どもたちでした。子どもの様子も 親の様子も、日本全国にわたり地域によってずいぶん違いがあります。 「宇宙の学校」の持ち方についても、一層柔軟な対応が求められることも 痛感しています。体はもちろんですが、頭をもっともっと使わなくてはい けませんね。

   さて、インドの月探査機チャンドラヤーン(図1)との交信が突如途絶 えたというニュースはすでにお聞きになったと思うが、どうやらそれには 熱の問題が深く関わっていたようである。

 さる5月に、チャンドラヤーンの軌道高度を100 kmから200 kmに引き上 げるというISRO(インド宇宙研究機構)の発表を耳にした時、いくぶん 「あれ?」と思った人もいたと思われる。私もその一人である。ISROの説 明によれば、それは「探査機軌道の擾乱や月の重力の変動をもっと調査し、 同時に月の表面をもっと広い視野で観測する必要が出てきたから」という ことだった。「今更何を言っているのだろう?」というのが素朴な感想だ ったのだが、実は月周辺の温度の計算を間違えていたらしい。そしてそれ が探査機の熱制御に思わぬ変調を来して、今回の思わぬ交信断絶につなが った。

 ISROのミッション関係者は、月面の上100 kmあたりの温度を摂氏75度く らいと考えていたのだが、実際はもっと高温で、機器の変調を招いたため に、高度を200 kmまで上げざるを得なかったというのが真相だった。

 ISROがこのたび明らかにしたところによれば、その機器の変調はすでに 昨年の11月25日に始まっていて、ペイロードのいくつかをスウィッチ・オ フせざるを得ない事態となっていた。打上げに先立って行われていたバン ガロアのISRO衛星センターにおける熱真空試験(図2)にも深刻に疑いの 目が向けられていたのである。

 今年になってちょっと状況が改善されかけたが、4月26日に主センサー が、次いで5月の第2週にバックアップのセンサーが故障した。二つのスタ ーセンサー(図3)が、思わぬ高温のために不具合を起こし、探査機の姿 勢制御ができなくなるに及んで、ISROのチームは急遽ジャイロを使って暫 くは巧みにチャンドラヤーンの姿勢を制御していたが、その付け焼刃も長 くは続かず、8月30日、ついにギヴアップ。96%の科学目的を達成した (と言われている)チャンドラヤーンは、そのミッションを閉じたのであ る。

 それにしても、スターセンサーの故障を抱えながら、チャンドラヤーン は、7月22日の皆既日食の際に地球に映じた月の影(図4)を始めとする 素晴らしい画像を送っていたし、8月21日には月の北極の氷を探る仕事を NASAのLRO(ルナー・リコネイサンス・オービター)と一緒に飛びながら 遂行した。見事な切りまわしであった。そのチャンドラヤーンと地上局と の会話が突如として途切れたのは、8月29日の午前1時半のことだった。

 貴重な経験であったろう。2013年に打ち上げられるチャンドラヤーン2 号では、摂氏100度に耐える熱設計を行うことが、すでにエンジニアによ って語られている。インド、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデン、 ブルガリアの各国によって製作された11個のペイロードの中には、十分な 成果を残せなかったものもあるだろうが、その成果は、これからの懸命の 解析によって徐々に明らかにされていくだろう。とりあえず来月、韓国の 大田市(Daejeong)で開催される国際宇宙会議(IAC:International Astronautical Congress)でどの程度の発表がなされるか、「かぐや」や 中国の「嫦娥」、アメリカのLROなどの発表とともに楽しみにしていたい。

(YM)

■ワンダフル宇宙

 H-IIBデビュー、HTVを宇宙へ

 9.11という悪夢を吹き払うかのように、種子島宇宙センターから午前2 時1分、日本史上最大の新型ロケットH-IIBが発射台を離れ、南国の闇を切 り裂きながら上昇して行った(図1)。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090911-01.jpg

 フェアリングの中に鎮座しているのは、国際宇宙ステーション(ISS) をめざす宇宙輸送船HTV(H-II Transfer Vehicle)である。

 全長56 m、全備重量531トンのH-IIBロケットは、4本の固体燃料の補助 ブースター(SRB-A)、2基の液体水素/液体酸素エンジン(LE-7A)から 成る1段目の加速を得て、あたり数kmの暗さを美しく染めあげながら上昇 していき、2分後に燃え尽きた補助ブースターを分離、そしてその4分後 には高度190 kmで1段目の燃焼を終了した。1段目を切り離した後、液体 水素/液体酸素エンジンによって加速を続けたロケットは、発射の約15分 後、HTVは2段目ロケットから分離、遠地点200 km×近地点300 kmの軌道に 投入され、1週間にわたるISS追跡の旅に移った。

 エンジンのクラスター化、フェアリングの大型化などなど難題はいくつ かあったが、見事にそれをクリアして、初号機であんな大事なものを運ぶ という大きな挑戦をなしとげた日本の技術陣に、まずは「おめでとう」の 言葉をかけておきたい。韓国の初打上げ失敗、中国の13年ぶりの打上げ失 敗と、ロケットの暗いニュースが駆け巡る中、「よくやった」と報じる数 々の外国のネット・ニュースの口調も極めて明るいものがある。

 1997年から680億円をかけて開発されて来たHTV(図2)は、1機220億円。 直径4.4 m、長さ約10 m、機体重量(dry weight)10.5トンで、ISSへ最大6 トンの物資(食糧・医薬品・水・実験器材など)を運ぶことができる(今 回は4.5トン)。全周面を太陽電池で覆ってある。補給キャリア・電気モジ ュール、推進モジュールから成り、補給キャリアは、与圧室と非与圧の曝 露部を持っているので、ISSに船内用・船外用の2種の物資を運ぶことがで きる(図3)。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090911-02.jpg

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090911-03.jpg

 HTVはまた、ヨーロッパの輸送船「ジュール・ヴェルヌ」(ATV:図4) のように自分でISSにドッキングするのでなく、ISS船内の宇宙飛行士がロ ボットアームを操作してつかみ(図5)、ISSに引き寄せてアメリカのモジ ュール「ハーモニー」(ノード2)に初めてドッキングする(図6)。将 来の商業用の貨物がすべてこの方法を使う予定なので、HTVの作業が絶好の 練習台となるだろう。

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 今回のHTVの与圧部には食糧、ラップトップコンピューター、「きぼう」 の細かい作業で使う小型のロボットアームなど3.6トンが収容され、また曝 露部には「きぼう」の船外実験施設に設置する日米2つの地球観測用機器 (計900 kg)が積まれている。

 約1週間に及ぶナビゲーション・ランデブー飛行のテストを経て、HTVは ハーモニーから10 mの距離まで接近して「駐車飛行」しながら、予定では day eight(9月18日)にNASAのニコール・スコット飛行士がカナダ製のロ ボットアームでつかむことになる。これらの一連の作業は、茨城県つくば 市の筑波宇宙センターとアメリカ・テキサス州ヒューストンのジョンソン 宇宙センターで見守られる。すべての物資をISSに積み込み終えると、HTV はISS船内のゴミなどを詰め込み、ISSから切り離され、南太平洋上空で大 気圏に突入して消滅する(図7)。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090911-07.jpg

 もし2010年末ないし2011年前半にスペースシャトルが予定通り退役する と、ISSの物資の輸送を担うのは6つの無人輸送機である:

 ・ロシアの「ソユーズ」と「プログレス」

 ・ヨーロッパのATV(ジュール・ヴェルヌ)…すでにデモ飛行を終え、20  10年から始まってあと4機が  予約されている。

・日本のHTV……2010年から2015年まであと6機が予約されている。

・アメリカの民間会社スペースXとオービタルサイエンス社が開発中の 「ドラゴン」と「シグナス」宇宙輸送船。2010年末あたりのデビューが 予定されている。

 なお、上記のうち初めの4機の機体の比較をしておこう(図8)。ATVの 方がHTVよりも大きく見えるが、ATVからISSへ物資を積み込むハッチが直径 80 cmの円形なのに対し、HTVのハッチは四角で一辺が120 cmもあるので、 大型のものだとHTVでないと不可能となる。その点でもHTVは非常に重宝が られるであろう。

 http://www.ku-ma.or.jp/img/wonda090911-08.jpg

 なお、これから先の作業を注意深く進めてほしいことは言うまでもない が、その細かなプロセスは、このコラムで引き続き解説しながら追ってい きたい。JAXAは、これから1年に1機ずつHTVをISSへ運ぶ計画であるが、望 むらくは、JAXAがHTVを回収する技術開発を進め、ここからこれを有人宇宙 輸送の大きな足掛かりにして欲しいものである。

YM

■宇宙茫茫ヘッドライン

【090907-01】中国、長征3号乙によるPalapa-Dの打上げ失敗
【090907-02】STS-128ミッション、ISSでの作業を無事終了
【090907-03】JAXA、9月11日にHTV技術実証機を打上げ予定
【090907-04】ULA、9月8日に機密衛星打上げ予定
【090907-05】NASA、LROが撮影したApollo 12の着陸地点の画像公開
【090907-06】NASA、OrionのPDR終了
【090907-07】ATK、Ares Iの1段の固体ロケットモータの燃焼試験を9月10日に実施予定
【090907-08】SpaceX、COTSでISSに設置する通信装置をKSCに搬入
【090907-09】SpaceX、ORBCOMMの次世代衛星18基の打上げを受注
【090907-10】カナダのNeptec製のセンサ“TriDAR”、Discoveryに試験搭載
【090907-11】英国のQinetiQ、EADS AstriumにBepiColombo向けイオンエンジン供給
【090907-12】XCORAerospace、Lynx用のエンジン“5K18”の一連の燃焼試験を無事終了
【090907-13】フロリダで中高生から火星模擬環境での実験装置の設計提案募集
【090907-14】NASA、アリゾナで月面探査用有人ローバ等の試験実施
【090907-15】Augustine委員会の報告書提出遅れる
【090907-16】宇宙開発戦略本部、2010年度概算要求における宇宙関係予算を公開
【090907-17】JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

【090907-01】
中国、長征3号乙によるPalapa-Dの打上げ失敗

8月31日、中国国家航天局は、四川省の西昌衛星発射センタから長征3号 乙(Chang Zheng-3B:CZ-3B)によりインドネシアの通信衛星Palapa-Dの打 上げを行ったが、所期の軌道への投入に失敗した。

1段目、2段目の作動は正常で、3段目の液酸/液水エンジンも最初の燃焼 では問題無く、衛星は低高度のパーキング軌道に投入されたとされている が、3段の再着火フェーズに不具合が発生した模様で、米空軍の追跡結果 によると衛星は遠地点高度21,158km、近地点高度209.2km、軌道傾斜22度 の軌道上にあるとされている。

Palapa-Dは静止衛星なので、3段の燃焼終了時点で遠地点が静止高度に 達していないと言うことは、3段の再着火後の燃焼が予定通りではなかっ たことを示している。

 http://www.spaceflightnow.com/news/n0908/31longmarch/

その後、衛星の製造及び打上げの責任を負っているThales Alenia Spa- ceは、衛星の発注主のインドネシアの通信サービス会社PT Indosat Tbkと の協議に基づいて、衛星搭載の推進系を用いて軌道の修正を行い、3日ま でに近地点での3回の燃焼により、所期の静止トランスファ軌道への移行 に成功したことを明らかにした。

静止軌道への移行は9月中頃になるとされている。衛星の推進系を用い て軌道を修正したことにより、15年とされていた設計寿命が8年〜10年程 度に縮まったのではないかとされている。

 http://www.thalesgroup.com/Press_Releases/space_030909_Thales_Alenia_
 Space_statement_concerning_orbital_positioning_of_the_Palapa-D_satellite/?pid=1575


【090907-02】
STS-128ミッション、ISSでの作業を無事終了

8月31日、前日にDiscoveryがドッキングしたISSでは、ISSのロボットア ームを用いて、“Leonardo” Multi-Purpose Logistics ModuleをDisco- veryのペイロードベイから取り出してISSのHarmony(Node 2)に取り付ける 作業が行われた。その後、ESAの2人の宇宙飛行士Christer Fuglesangと Frank DeWinneがイタリア製のLeonardoの中に入り、翌日からの物資の移 送の準備を行った。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-07.html

9月1日には、John D. OlivasとNicole Stottが6時間35分に亘る船外活 動を行い、3日の第2回船外活動で予定している新しいアンモニアタンク (Ammonia Tank Assembly: ATA)の設置に備えて、P1トラス上に設置され ていた使用済みのATAの移動、欧州技術曝露実験装置(European Techno- logy Exposure Facility:EuTEF)及び材料曝露実験装置6(Materials ISS Experiment:MISSE-6)の取り外しを行った。

この間、ISSの船内では、Leonardoから、2台目のトレッドミルCOLBERT (Combined Operational Load Bearing External Resistance Treadmill)、 新しいクルーの個室、空気浄化システムの移送が行われた。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-09.html

9月2日には、Leonardoから、ISSの流体統合ラック(Fluids Integrated Rack:FIR)、材料科学実験ラック(Material Science Research Rack:MSRR)、 および冷蔵・冷凍庫(Minus Eighty Laboratory Freezer for ISS:MELFI) が移送され、米国実験棟Destinyに設置された。これにより、ISSは軌道 上実験室としての機能を完全に備えたことになった。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-11.html

9月3日には、ISSにスペースデブリが接近する可能性があるという問題 もあったが、見当の結果、ISSの軌道変更の必要性も無いと判断されChri- ster FuglesangとJohn D. OlivasによるSTS-128ミッション2回目の船外 活動は予定通り行われた。2人は6時間39分の船外活動で新しいATAをISS のP1トラスに取り付けると共に前回取り外されたATAをDiscoveryのペイ ロードベイに収納した。アンモニアは冷却ループに送り込まれ、ISSのシ ステム機器類から発生する熱を除去する役目を担っている。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-13.html

9月4日の前半はクルーの休息時間に充てられ、休息時間の最後にはISS とDiscoveryのクルー全員で40分間に亘り地上の記者との会見を行った。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-15.html

9月5日には前回と同じクルーによるSTS-128ミッション最後の船外活動 が7時間1分に亘って行われた。2人はS3トラス上部のペイロード取付シス テム(PAS)の展開作業、レートジャイロ・アセンブリ(RGA)とGPSアンテナ の交換作業、2010年2月に打ち上げられる“Tranquility”(Node 3)の結 合準備作業等を行った。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-17.html

9月6日には、ISSとDiscoveryのクルーは協力して、Leonardoへの持ち 帰り物資の積み込みを完了し、後半は自由時間を過ごした。これで、共 同作業を終えたクルーは7日の米国中部夏時間の21:30頃(日本時間で8日 の11:30頃)にハッチを閉鎖して別れる予定となっている。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/shuttle/shuttlemissions/sts128/news/STS-128-19.html

【090907-03】
JAXA、9月11日にHTV技術実証機を打上げ予定

9月2日、JAXAは宇宙開発委員会において宇宙ステーション補給機(HTV) 技術実証機(初号機)の打上げ準備状況についての報告を行うと共に、ミッ ションサクセスクライテリア(何が達成できればミッション成功と判断す るかを3段階で示したもの)を明らかにした。

HTV技術実証機は2009年4月22日に種子島宇宙センタに搬入され、その後 全機結合作業、射場搬入後試験を経て、8月18日に納入前審査が行われて、 組立及び試験の結果が確認され、21日に製造元の三菱重工業(株)からJAXA に納入された。

その後、ペイロード分離部との結合、フェアリング装着を経て8月31日 には打上げロケットであるH-IIBとの結合が完了した。

打上げは9月11日の02:04に予定されており、9月5日の最終確認審査を 経てカウントダウンに入る。ISSとのランデブが効率良く行える様に、種 子島宇宙センタがISSの軌道面内にある時に打上げを行う関係で、JAXAの 大型ロケットとしては初めての夜間打上げとなっている(1998年7月にM-V で火星に向かって打ち上げられた“のぞみ”が夜間打上げであった)。打 上げ時刻はその時のISSの軌道の状態である程度前後する可能性がある。

ミッションサクセスクライテリアではミニマムサクセスとして、ISSと ランデブ飛行を行い、ISSのロボットアームで把持可能な領域まで接近が でき、運用機の運用開始に支障がないことが確認できることととしてい る。

ISSと結合し、運んだ物資をISSに移送し、その後分離・離脱して安全 に洋上に投棄ができればフルサクセスで、それに加えて運用機の能力向 上の見通しか、運用の柔軟性拡大の見通しのどちらかが得られればエク ストラサクセスとしている。

 http://www.jaxa.jp/press/2009/09/20090902_sac_htv.pdf

【090907-04】
ULA、9月8日に機密衛星打上げ予定

9月4日付けのFLORIDATODAY.comが伝えるところによると、United Launch Alliance (ULA)は、ケープカナベラルの射場において、完全に機密な衛星 を搭載したAtlas Vの打上げ準備を進めている。

この衛星は米国政府関係機関に属するということだけは明らかにされて いるが、国防総省、空軍、国家偵察局等の如何なる機関も自らの関与を認 めようとしていない。

ミッションのパッチに記載されたミッション名は、“PALLADIUM AT NIGHT” (PAN)となっているが、これが何を表すのかも不明とされている。このパ ッチの最下部にはロケットの噴煙の中に“?”が隠されているのが窺える。

打上げは9月8日の17:35EDTに予定されているが、ULA作成のミッション の説明資料には投入予定軌道は示されていない。打上げシーケンスから類 推して静止の通信衛星かデータリレー衛星であると考えられている。

 http://www.floridatoday.com/content/blogs/space/2009/09/super-secret-atlas-flight-set-for.shtml

【090907-05】(関連記事:【090720-08】)
NASA、LROが撮影したApollo 12の着陸地点の画像公開

9月3日、NASAは月を周回中のLunar Reconnaissance Orbiter (LRO)が撮 影した1969年11月に月に着陸したApollo 12の着陸地点の画像を公開した。

Apollo計画で月への着陸に成功したのは6回で、その内のApollo 12を除 く5回の着陸地点を7月11日から15日の間に撮影したものが既に公開されて おり、今回で全てが揃ったことになる。

2回目の月着陸となるApollo 12では、決められた地点への正確な着陸 (ピンポイント着陸)を目指したもので、着陸地点としては、1967年に“あ らしの海”に軟着陸したSurveyor 3の近くが選定され、200mほど離れた地 点に着陸している。

今回公開された画像ではSurveyor 3と共に、Apollo 12の月着陸船Intre- pidの下降用ステージ、月着陸船から持ち出されたApollo Lunar Surface Experiment Package (ALSEP)、宇宙飛行士の足跡等が識別されている。

 http://www.nasa.gov/mission_pages/LRO/multimedia/lroimages/lroc_20090903_apollo12.html

【090907-06】
NASA、OrionのPDR終了

9月1日、NASAは開発中の有人カプセルOrionの予備設計審査(Preliminary Design Review:PDR)が無事終了したことを明らかにした。

開発チームでは、2009年2月から7月に掛けて、サブシステムレベルのPDR を執り行こなっており、全体システムとしての審査では、その後約2ヶ月 間に亘ってNASAの10箇所のフィールドセンタから集められた審査員が、主 契約者であるLockheed Martin以下の企業の設計の成果物を評価した。

PDRは8月31日に、次の詳細設計フェーズのベースが確立されていること を確認して終了した。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-202_Orion_Passes_PDR.html

Orionの開発関連の2009年のこれまでの主たる成果は、ケネディ宇宙セ ンタのチェックアウト施設の改修の完了、地上試験の供試体としてのOri- onの製作、打上げ時の緊急離脱システム用のロケットモータの納入等が上 げられる。

 http://www.nasa.gov/pdf/382800main_Orion_Progress_at_PDR-August_2009.pdf

【090907-07】(関連記事:【090831-06】)
ATK、Ares Iの1段の固体ロケットモータの燃焼試験を9月10日に実施予定

9月4日、NASAとAlliant Techsystems Inc.(ATK)は、8月27日に中止とな ったAres Iの1段の固体ロケットモータの燃焼試験を9月10日に行うことを 明らかにした。

スペースシャトルの固体ロケットモータより長い5セグメントのモータ の初の燃焼試験であり、推力の確認、ロール制御性確認の他、音響データ、 振動データ等のAres Iの設計に必要なデータの取得を目的としている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_M09-170_Ares_DM-1_Reschedule.html

【090907-08】
SpaceX、COTSでISSに設置する通信装置をKSCに搬入

9月1日、Space Exploration Technologies (SpaceX)は、NASAのComme- rcial Orbital Transportation Services (COTS) プログラムの下で開発 したISS搭載用のUHF通信ユニットをNASAのケネディ宇宙センタ(KSC)に運 び込んだことを明らかにした。

この通信ユニットはCOTSプログラムでSpaceXが開発中の宇宙船Dragonが ISSに近付く時にISS、Dragon及び地上の管制センタの間の通信並びにISS にクルーによるモニタに用いられるもので、2009年11月に予定されている Atlantis によるSTS-129ミッションに搭載されてISSに運ばれることにな っている。

SpaceXではCOTSプログラムでDragonをFalcon 9で打ち上げるシステムを 開発しており、2010年中にはISSに向けて打ち上げる予定としている。

この打上げで、DragonのISSとのドッキング及びその後の分離・回収が 旨く行くことが確認されると、その後はISSへの物資輸送に関するComme- rcial Resupply Services (CRS)契約の下で、2015年までの間に12回の打 上げが予定されている。

 http://www.spacex.com/press.php?page=20090901

【090907-09】(関連記事:【080512-13】)
SpaceX、ORBCOMMの次世代衛星18基の打上げを受注

9月3日、ORBCOMM Inc.とSpace Exploration Technologies (SpaceX)は、 ORBCOMMの次世代サービス向けの18基の衛星の打上げをSpaceXが行うこと で合意が成立したことを明らかにした。契約額については明らかにされ ていない。

打上げは2010年の第4四半期から2014年までにSpaceXのFalcon 1を改良 したFalcon 1eで行われる。

ORBCOMMのサービスは、衛星を介してデータがインターネット経由でユ ーザに流れてくる仕組みで、主に車両や船舶など移動体の位置情報や稼 動状況の管理、遠隔地にある計測器や海上のブイなどからのデータ収集 などの用途で利用されている。

 http://www.spacex.com/press.php?page=20090903

【090907-10】
カナダのNeptec製のセンサ“TriDAR”、Discoveryに試験搭載

8月30日のSTS-128ミッションDiscoveryのISSとのランデブ及びドッキン グに際してカナダのNeptec Design Group製の“TriDAR”と名付けられた センサの試用が行われた。

このセンサは光のパルスを対象物に当てて反射光によって対象物の形状 等を把握する    LIDAR (Light Detection and Ranging)と、レーザを 使用した3D画像取得システム(Laser Camera System:LCS)とを組み合わせ たもので、ランデブ/ドッキングの対象物にターゲットとなるマーカが無 くても或いは対象物を照らす明かりがなくても正確に対象物の位置と姿勢 の情報を把握できるものである。

LCSはNeptecがシャトルの打上げ時の耐熱シールの損傷の有無を確認す るために開発したもので、Columbiaの事故後の飛行再開以降毎号機の点検 に使用されている。

TriDARの開発は当初、ハッブル宇宙望遠鏡のロボットによるメンテナン スを行うミッションを目指して始まったもので、シャトルによるメンテナ ンスとなったために実用化されなかったものであるが、カナダ宇宙庁と NASAが興味を示し、今回のミッションでの試用が決まったもの。将来的に は、ランデブ/ドッキングだけではなく幅広い応用が期待できるセンサで ある。

 http://license.icopyright.net/user/viewFreeUse.act?fuid=NDcyMzYwNQ%3D%3D

【090907-11】
英国のQinetiQ、EADS AstriumにBepiColombo向けイオンエンジン供給

9月2日、英国の軍需主体の企業であるQinetiQは、EADS Astriumとの間 でESAの水星探査機BepiColombo向けに4基のT6イオンエンジンを収める契 約を結んだことを明らかにした。契約額は2,300万ポンドとされている。

T6イオンエンジンはキセノンガスを燃料とするイオンエンジンで、200 9年3月に打ち上げられたESAのGOCEに用いられたT5イオンエンジンの実績 をベースとした大型のイオンエンジンで、従来の化学エンジンの10倍の効 率を有するとしている。

 http://www.qinetiq.com/home/newsroom/news_releases_homepage/2009/3rd_quarter/
 European_mission_to_Mercury.html


【090907-12】
XCOR Aerospace、Lynx用のエンジン“5K18”の一連の燃焼試験を無事終了

9月2日、XCOR Aerospaceは、2008年12月から行っていた(関連記事: 【081222-15】)、同社が開発しているLynxに用いるロケットエンジン “5K18”の一連の燃焼試験が無事終了し、開発の一つのマイルストーンを クリアしたことを明らかにした。

このエンジンの推進薬はケロシン/液体酸素で推力は約1,200kgfとされ ている。

これまでの試験で、独自設計の安全で信頼性の高いスパークトーチ方式 の点火装置を使用して、安定した燃焼を実現すると共に、停止後の再着火 にも問題無く成功しており、今後、開発は第2フェーズに入り、チューニ ングと最適化の段階へと移行するとしている。

 http://www.xcor.com/press-releases/2009/09-09-02_XCOR_reaches_significant_milestones_in_lynx_engine_program.html

【090907-13】
フロリダで中高生から火星模擬環境での実験装置の設計提案募集

9月1日、Space Florida、The Mars Society、NASAのケネディ宇宙セン タ(KSC)及び、フロリダ州の教育局(DoE)は、フロリダ州の中学生、高校生 を対象とした提案競争を共同で実施することを明らかにした。

Space FloridaとDoEが州内の中学、高校に呼びかけて、ユタ州にある火 星の環境を模擬したMars Desert Research Station (MDRS)に持ち込む科 学実験装置の設計を競わせるもので、優秀な設計には装置の制作費とMDRS への運搬費用がSpace Floridaから支給される。応募期間は10月30日まで で、3件の優秀設計が11月27日までに公表されることとなっている。

2009年12月から2010年5月のMDRSでの試験の際に、クルーが送り込まれ た装置での実験を行い、設計チームに対して、そのデータ、ライブカメラ の映像、インターネット上のブログでの情報等を提供する。MDRSの運用は The Mars Societyが行っている。

実験が行われている間、装置を提供した生徒達はNASAのKSCの技術者と 情報のやりとりを行い、支援を受けることができる。

 http://blogs.orlandosentinel.com/news_space_thewritestuff/2009/09/space-florida-state-educators-mars-society-nasa-create-contest.html

【090907-14】
NASA、アリゾナで月面探査用有人ローバ等の試験実施

8月28日から9月18日までの予定で、アリゾナ州フラッグスタッフ(Flag- staff)の約65km北の“Black Point Lava Flow”と呼ばれている場所で、 NASAを中心とした科学者・技術者のチームが“Desert Research and Tech- nology Studies”(D-RATS)と称される月面に近い環境での月の有人探査ミ ッションに向けた観測システムの試験を行っている。

この試験は、毎年行われているものであるが、今年は試験期間の中の2 週間に亘って2人乗りのLunar Electric Rover (LER)に宇宙飛行士と地質 学者が乗り込んで、月面に居ることを想定した生活を続けることとなって いる。この2人は、LERの外に宇宙服を着用して出て、地質の調査等のシミ ュレーションを行う。

宇宙服は、室内での着脱をしなくても良い様に、LERのハッチの部分に 結合できる形で、室内から宇宙服の後から入る形で入り込むことができる もの(suit portsと称されている)が用いられている。これを使用すること によって、室内に外部の塵が入ることも防げる。

LERの他に、K-10 Roverと称する小型の無人のローバが地形の探査やマ ッピングに、Tri-ATHLETEと称する大型のローバが居住施設の設置に使わ れている。

 http://www.technologyreview.com/blog/deltav/24071/?a=f

【090907-15】(関連記事:【090817-11】)
Augustine委員会の報告書提出遅れる

9月3日、オバマ大統領の指示により米国の有人宇宙飛行計画の評価・見 直しを行っているReview of United States Human Space Flight Plans Committee (通称Augustine委員会)は8月31日までに求められていた最終報 告書の提出が遅れていることに関し、同委員会のウェブサイトで以下のこ とを明らかにした。

先ず、9月8日にサマリーレポートをホワイトハウスのOffice of Science and Technology Policy (OSTP)とNASAのBolden長官に提出し、正式のレポ ートは、9月中旬から末の間にOSTPとNASAに提出する。

 http://www.floridatoday.com/content/blogs/space/2009/09/augustine-summary-to-white-house-on.shtml?GID=ue8mkxIB+ogPtYr01qQHge4eoZL1yinKFjD35Lkkt+A%3D

【090907-16】
宇宙開発戦略本部、2010年度概算要求における宇宙関係予算を公開

8月31日、宇宙開発戦略本部事務局は、2010年度概算要求における宇宙 関係予算のとりまとめの速報値を明らかにした。

総額4,360億円と対前年度で863億円(25%)増となっている。

内訳は各省庁別に示されているが、添付の説明用資料では、宇宙基本計 画との関係が示されている。

(注:速報値は以下のURLの宇宙開発戦略本部のサイトの中の「お知らせ」 の中で参照できるが、民主党政権が概算要求の見直しを行うとしているこ とを念頭に置いた上で参照願いたい。)

 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/index.html

【090907-17】
JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

8/31JAXA宇宙飛行士活動レポート2009年7月
9/1地球観測センター「宇宙の日ふれあい月間」一般公開のお知らせ
9/1だいち画像:日本の都市シリーズや世界の都市シリーズなど計64点の画像を追加
9/1第11回LNG(液化天然ガス)実機型エンジン燃焼試験の結果について
9/1研究開発本部サイトリニューアル
9/1ISS・きぼうウィークリーニュース第352号
9/1JAXAシンポジウム2009「きぼう」から遥かなる宇宙へ
9/1大気球放球実験B09-08号機終了
9/2技術試験衛星VIII型「きく8号」(ETS-VIII)の 最近の成果と現状
9/2地球が見える:砂漠化防止の研究に使われる鳥取砂丘
9/3EarthCAREシンポジウム「地球温暖化を見つめる目」 開催のお知らせ
9/3HTV/H-IIB打ち上げの模様を、11日(金)1:30からインターネット中継!
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