KU-MA 子ども・宇宙・未来の会 | 週刊KU-MA 第65号
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メールマガジン「週刊KU-MA」 第65号          [2009.9.30]

■目次

(1)YMコラム
     「HTVの快挙」

(2)ワンダフル宇宙
     「鞆の浦をめぐる判決」

(3)宇宙関連ニュース「宇宙茫茫」

■YMコラム

 HTVの快挙

 NHKの「クローズアップ現代(クロ現)」のスタジオを若田光一飛行士 と一緒に訪ねました。テーマはHTVです。視聴率の高い番組なのでごらん になった人も多いでしょう。今回は、あくまで若田飛行士が主体の番組で、 私は介添えです。彼に率直な経験を語ってもらい、私がそれに社会的意義 等をコメントとして付け加えるかたちで進行しました。いつも「クロ現」 を取り仕切る国谷裕子さんは中国の建国記念日取材のためあちらへ(残念)。 代役として森本健成アナウンサーがお付き合いくださいました。

 若田さんの生々しい話がとても魅力的でした。それは折に触れて思い出 すことにして、HTVについて、「クロ現」では語りきっていないことも含 め、いくつかのことを書きましょう。

1 日本の宇宙開発にとって、今回のHTVの成功は、どのような意味があるか?

 マスコミのとりあげ方の影響もあって、HTVは突如現れたヒーローのよ うな感じで受け止めた人も多かったのですが、ローマは一日にしてならず ──1955年に発射されたペンシル・ロケット以来、技術を蓄積しながら一 つ一つ宇宙技術の階段を駆け上がってきた日本が、また一つ新たな階段を 登ったということです。

 宇宙開発は宇宙空間での活動の自在性の幅をひろげることで成長してい くものでしょうが、かつて宇宙科学、地球環境などの生活に直結する分野 において世界的な業績をあげてきた日本が、世界の国々の荷物を宇宙輸送 するという世界の一級の国としての国際的貢献をできる分野が、また一つ 出現したということです。そしてこれからもどんどん貢献する見通しを与 えたものです。何しろシャトルが引退したら、大きな荷物をステーション へ運べるのは世界中でHTVしか存在していないのですから。

 このたびの快挙は、技術的には、軌道投入や衛星制御などの基本的な技 術の集積に加え、ドッキング方式は異なるが、「おりひめ・ひこぼし」 (1997)のランデブー・ドッキングの経験や「きぼう」の経験などを加え て、これまでの技術の集大成として実現したわけです。決して偶然とか思 いつきのやっつけ仕事で遂行したものではありません。HTVのランデブー の最中にスラスターが過熱状態になるというピンチな事態に、フライトデ ィレクターを軸に冷静に対処できたのも、「おりひめ・ひこぼし」の経験 が全面的に生かされたといっていいでしょう。

2 HTVはランデブー飛行によるドッキングも素晴らしいものだったが、 宇宙船としての素晴らしさとして、どのようなことが挙げられるか?

 今回HTVが無事ドッキングした時、すでに地球に帰還していた若田飛行 士の自宅に、国際宇宙ステーションにいる飛行士たちから、弾んだ調子で 電話がかかってきたそうです──「コーイチ、HTVが着いたよ。金色にき らきら輝いて素晴らしくきれいな宇宙船だね」と。そして「寿司はどこに 隠してあるんだい? いくら探しても見つからないんだけど」と向こうが 言うので、若田飛行士は「ごめんごめん、積むのを忘れちゃったんだ」と 切り返したそうです。気心の知れた仲間同士ですね。

 さて1気圧という圧力を加えてある宇宙船を運ぶのは初めてではありま せん。「きぼう」で経験済みですね。植物など実験のための生き物を運ぶ ためには、宇宙船を与圧して運ぶことが必要です。今回運んだ植物実験装 置は、まもなくソユーズで飛ぶ野口聡一飛行士が行う実験だったようです。 そして1気圧のまま運べば、それは、ドッキングしてからステーションの 飛行士が、面倒な予備作業なしにすぐにその宇宙船に入り込んで作業にか かるためにも有効です。

 ただし、この1気圧が意外と厄介者で、高圧の容器よりもかえってやや こしいのです。たとえば地上でテストをしているとき、高圧ならば内部の ガスが漏れていることはすぐに分かりますが、1気圧だと、外も1気圧な ので容易には分からないとかいった事態となるのです。

 「きぼう」もHTVも、空気は入っていますが、酸素発生装置とかベンテ ィレーションは付けてありません。ドッキングしてからアメリカのものを 装備してもらうわけですが、でもそれをつけるのは日本の技術からすれば それほど難しいことではありません。とにかく、そういった一連の装置を つければ、そのまま人間が生活できる環境を提供できるという点で、HTV は素晴らしいわけです。日本の有人宇宙活動は、HTVの完成によって、少 なくとも宇宙で生活するという意味では、すぐそこまで来ていると言えま すね。

3 日本の将来の有人宇宙船に期待する

 ご存知の通り、ロシア(旧ソ連)とアメリカはすでに1960年代から有人 宇宙活動に乗り出しました。中国も最近船出しました。インドも着々と準 備を進めていると言われています。HTVという有人宇宙船の一歩手前のも のの運用が始まった以上、日本もHTVの再突入・回収技術を一日も早く完 成させて、一挙に長い間の空白を埋めたいものですね。

 そうした再突入and/or回収につながる技術は、「ひてん」(1990)、 OREX(りゅうせい)(1994)、EXPRESS(1995)、「ユーザーズ」(2003)、 そして来年に地球帰還を控えている「はやぶさ」その他で経験を積んでは 来ています。

 これまで日本では有人宇宙活動についての議論はタブーになっているよ うなところがありました。その原因は、やはり有人は膨大な金がかかると いう先入観(あるいは神話)があるからでしょう。が、無人技術の先端的 な蓄積が日本にはあります。はっきりと戦略的に有人という目標を設定す れば、そうしたこれまでの蓄積を最大限活用して安上がりに日本独自の有 人宇宙をめざす道が開けてくると私は信じています。

 ただし、「安上がり」といっても、これまでと同じ総予算で有人を始め れば、これまでせっかく世界に伍する水準の活動を築いてきた科学や実用 方面の成果まで食いつぶされ、日本の宇宙開発は根底から崩れ去る危険性 があります。国は、宇宙を「一つの活動分野」ということでなく、「国家 の未来への投資」として位置づけ、有人独自の予算を加えなければならな いでしょう。

 これまで科学、ロケット技術、実利用、このたびの輸送船を作り上げて きた日本の技術者・科学者たちの情熱と能力を、世界に向かって開花させ るための方策を、国はぜひ講じて欲しいと思います。繰り返しますが、多 くなくてもいいから有人独自の予算措置を講じなければ、議論が不毛にな ることは重々心得て欲しい。それこそが真に「国家戦略」と言えるもので しょう。

   なお、「和」のつづきは次回ということでご容赦ください。

(YM)

■ワンダフル宇宙

 鞆の浦をめぐる判決

 広島県の福山市、沼隈半島の南端に「鞆の浦」という美しい港湾があり ます。この沿岸と沖の島々一帯が「名勝・鞆公園」とされ(1925年)1931 年に制定された国立公園法では、「瀬戸内海国立公園」の一地区として、 全国で最初の国立公園の一つとなりました。現在の正しい地名は福山市鞆 町鞆であると、その時に道端にたむろしていた漁師さんから教わりました。

 瀬戸内海は、ご存知のように九州・四国・中国・近畿という四つの地方 に囲まれた内海です。だから、潮が満ちるときは豊後水道や紀伊水道から 水が流れ込み瀬戸内海のほぼ中央に位置する鞆の浦沖でぶつかり、逆に潮 が引くときは鞆の浦沖で東と西に分かれて流れ出して行きます。だから、 かつて沿岸航海が主流だった時代には、瀬戸内海を横断するあらゆる船は 、鞆の浦で潮の流れが変わるのを待たなければなりませんでした。

 このような事情から、鞆は魏志倭人伝に書かれる「投馬国」の推定地の ひとつともなっていますし、太宰帥として赴任していた大伴旅人が、天平 2年(730)冬12月、京へ上がる旅の途次、鞆の浦を過ぎる日に詠んだ歌が 8首も残っています。代表作は、

  吾妹子(わぎもこ)が
  見し鞆の浦のむろの木は
  常世にあれど見し人ぞなき

でしょうか。私の鞆の浦行きでは、通りすがりに大きな石の詩碑を仰ぎ見 ました。九州へ行くときには奥さんを連れて行ったので、ここ鞆の浦に潮 待ちをしながら滞在した時に一緒に「むろの木」を見た。そのむろの木は、 今もあるのだが、それを見ていた妻はもういなくて、私は一人で見ている という歌ですね。「万葉集」巻3に収められています。

 鞆には古い町並みが実によく残っており、江戸時代の港湾施設である常 夜燈、雁木、波止場、焚場、船番所などが全て揃って残っています。そん なものがすべて残されているのは全国でも鞆港だけなのだそうです。私が 訪れた時、港のあちこちに「鞆の浦の景観を守れ」というポスターや横断 幕があるので、何だろうと思って訊いたところ、この鞆の浦を埋め立てて、 湾を横断する橋をかける計画があるのだそうで、住民が真っ二つに分かれ て対立しているということでした。

 あの「崖の上のポニョ」の舞台となったところでもあり、心情的にはこ の景色は残してほしいという思いはありましたが、確かに湾の向こう側に 生活している人たちの不便さもあるようなので、その時には複雑な気持ち を胸にしまいこんでいましたが、このたび新聞で「鞆の浦の埋め立て差し 止め」という活字が一面トップに浮いているのを見て、「やっぱり」とい う感じがしました。広島地裁の判決です。

 弥生時代にはすでにある程度の集落が成立していた可能性が高いこの地 は、平安時代には最澄により静観寺、空海により医王寺が創建され、備後 国南部における布教の拠点となったと言われています。足利尊氏、毛利氏、 足利義昭、尼子の山中鹿之助、対潮楼、平賀源内、坂本竜馬、仙酔島、大 可島、宮城道雄などなど、さまざまな歴史の名残をめぐって、すっかりし んみりした私は、丘の上の沼名前(ぬまくま)神社では、能舞台を見まし た。豊臣秀吉が長期にわたる戦場で兵隊さんたちを慰安するために、簡単 に分解して移動できるような能舞台を造ったそうで、ここの舞台は、伏見 城にあったものを、二代将軍徳川秀忠が伏見城取り壊しの時、福山の水野 勝成に譲り渡したものであると書いてありました。こけら板で葺き、楽屋、 鏡の間、橋掛りを常設し、固定舞台となっています。

 それにしても、これほど古代から近代まで華麗な歴史の舞台となった場 所は、日本全国を探してもそれほどたくさんはないでしょう。判決を読ん で、何となくホッとしたというのが、私の偽らざる気持ちです。そう言え ば、来春、山崎直子さんが国際宇宙ステーションに持ち込むかもしれない 小型のお箏の話が持ち上がったのも、ほかならぬこの鞆の浦でのことでし た。

(YM)

■宇宙茫茫ヘッドライン

【090928-01】インド、スリハリコタからPSLVによるOceansat-2他の打上げ成功
【090928-02】ULA、ケープカナベラルからDelta IIによりSSTS Demoの打上げ成功
【090928-03】ISSでHTVから船外実験プラットフォームへの船外実験装置の移設完了
【090928-04】ロシアの無人物資補給船Progress M-67、ISSを離れ大気圏に再突入
【090928-05】NASAの水星探査機MESSENGER、9月29日に最後の水星スイングバイ
【090928-06】NASAの観測ロケットで人工夜光雲発生…地上と宇宙から観測
【090928-07】NASAの観測機器、月の土壌表面に水分子或いは水酸基の存在を確認
【090928-08】NASAのMRO、火星の中緯度の表面直下に水の氷の存在を確認
【090928-09】NASA、Ares I-Xの打上げターゲット日を10月27日と設定
【090928-10】ロシア、Phobos-Gruntの打上げを2011年に延期
【090928-11】SpaceX、Falcon 9の初号機にDragonのプロトタイプを搭載
【090928-12】ボリビア、中国から通信衛星を調達…製造・打上げを一括発注
【090928-13】中国、ラオスの通信衛星の製造・打上げを受注
【090928-14】ウクライナ、ブラジルのアルカンタラからのTsyklon-4の打上げを2010年に
【090928-15】Boeing、商業ベースでの有人打上げシステムの開発に名乗り
【090928-16】DARPA、宇宙デブリの除去方法に関して情報提供要請発行
【090928-17】NASA、中高生からドロップタワーでの実験を募集
【090928-18】NASA、Centennial Challengesの新課題を公募
【090928-19】JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

   付録:【経産省とNEDOによるイベントの案内】

【090928-01】
インド、スリハリコタからPSLVによるOceansat-2他の打上げ成功

9月23日、インドはスリハリコタの射場から極軌道衛星打上げロケット (PSLV)による海洋観測衛星Oceansat-2の打上げを行い、所期の高度720km、 軌道傾斜98度の太陽同期軌道への投入に成功した。

Oceansat-2は、質量960kgで、海洋汚染、魚類分布、堆積物の分布、藻 の繁殖状況等を把握するための可視光から近赤外線による広範囲の画像を 取得するためのカメラ、海面の風向と風速を観測するための散乱計、GPS 衛星の信号の歪みの影響を把握するための大気観測装置を搭載している。

この打上げでは、他にCubeSatとロケットの最終段から分離されないペ イロードを相乗りで打ち上げている。CubeSatは、ドイツのBEESATとUWE-2、 トルコのITUpSat-1、スイスのSwissCubeの4基で、分離されないペイロー ドはドイツのOHB System製のRubin 9.1とRubin 9.2である。

PSLVの打上げは1993年9月の初打上げ以来、今回が16回目であり、初号 機の失敗の後、15回連続成功を達成した。

 http://www.spaceflightnow.com/news/n0909/23pslv/

【090928-02】
ULA、ケープカナベラルからDelta IIによりSSTS Demoの打上げ成功

9月24日、United Launch Alliance(ULA)はケープカナベラルからDelta IIによるアメリカミサイル防衛局(Missile Defense Agency:MDA)が開発 を進めているの次世代の早期警戒システム(Space Tracking and Survei- llance System:STSS)のデモンストレーション用の衛星(SSTS Demo)2基の 打上げを行い、所期の軌道への投入に成功した。

この打上げはULAがNASAから包括的に受けている“NASA Launch Servi- ces Program”の下で、NASAの管理下で行われたものである。

2基の衛星はNorthrop Grumman製で、高度約1,350km、軌道傾斜58度の軌 道上で僅かに離れて配置され、Raytheon製の可視光と赤外線のセンサーに より3次元的な弾道ミサイルの発射探知や追跡のデモンストレーションを 行う。

 http://www.nasa.gov/centers/kennedy/news/releases/2009/release-20090925.html

【090928-03】(関連記事:【090921-01】)
ISSでHTVから船外実験プラットフォームへの船外実験装置の移設完了

9月21日に、3日前にISSに結合されたHTV技術実証機(以下、HTV)の補給 キャリア与圧部内の搭載品をISS内へ移送する作業が開始された。

23日にはHTVの補給キャリア非与圧部に搭載されていた曝露パレットが 「きぼう」船外実験プラットフォームへ移され、24日には、曝露パレット に搭載されて運ばれてきた2台の船外実験装置、超伝導サブミリ波リム放 射サウンダ(SMILES)および沿岸海域用ハイパースペクトル画像装置および 大気圏/電離圏遠隔探査システム実験装置(HREP)が「きぼう」のロボット アームで船外実験プラットフォームへ移設された。

翌25日には、曝露パレットは、「きぼう」のロボットアームで船外実験 プラットフォームから取り外され、ISSのロボットアーム(SSRMS)に引き渡 され、それによりHTVの補給キャリア非与圧部へ戻された。

引き続き、宇宙飛行士による補給キャリア与圧部内の物資の搬出作業が 継続され、その後ISS内で使用済みとなった機材などの不要品を補給キャ リア与圧部内に収容する作業が行われることとなる。

 http://iss.jaxa.jp/htv/news/

【090928-04】
ロシアの無人物資補給船Progress M-67、ISSを離れ大気圏に再突入

9月21日、ロシアは7月29日以来ISSにドッキングしていた無人の物資補 給船Progress M-67をISSから切り離したことを明らかにした。

Progress M-67の大気圏再突入は、9月27日に行われる予定とされており、 それまでの間、軌道上の実験室として活用され、Plasma-Progressプログ ラムの下で地球物理学関係の実験が行われることとなっている。(注:27日 の大気圏再突入は無事終了した。)

Progress M-67は、ISSへの無人の物資補給船としては最後の旧来のアナ ログ制御方式を採用しているモデルであり、新しいディジタル制御方式を 採用し重量軽減が図られているモデル(号機番号を01から取り直し番号の後 にMを付す)はすでにM-01M、M-02Mが打ち上げられている。

 http://en.rian.ru/science/20090921/156201162.html

【090928-05】
NASAの水星探査機MESSENGER、9月29日に最後の水星スイングバイ

9月23日、NASAは29日に水星探査機MESSENGER (MErcury Surface, Space, ENvironment, GEochemistry and Ranging)の3回目で最後の水星スイング バイ(水星の重力を利用して軌道を変更すること)を予定通り行うことを明 らかにした。

今回の最接近時の高度は228kmで水星に近付く際にはこれまでに撮影さ れたことのない地帯の撮影を行い、離れる際には南半球の高解像度の撮影 を行う。

今回がMESSENGERが行う最後の惑星スイングバイで、今後11月に軌道の 微修正を行い、2011年3月に水星周回軌道に入る予定となっている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-221_Messenger_Final_Flyby.html

【090928-06】
NASAの観測ロケットで人工夜光雲発生…地上と宇宙から観測

9月19日、NASAはワロップス飛行施設から4段式の観測ロケットBlack Brant XIIを打ち上げた。このロケットでは、海軍研究所(NRL)と国防総省 のSpace Test Program (STP)がCharged Aerosol Release Experiment (CARE)と名付けた実験を行った。

CAREはロケットの排気中の粒子を利用して人工夜光雲を発生させ、地上 や人工衛星から観測し、夜光雲を研究することを目的としたもの。

実験では高度約278kmで人工夜光雲の発生に成功し、マサチューセッツ 州からニュージャージー州までの広い範囲で地上から確認され、また、 STPとNRLが2007年3月に打ち上げたSTPSat-1による宇宙からの撮影にも成 功した。夜光雲は中間圏(高度約60〜80km)という高空に出現する雲でISS から撮影されたことはあるが、人工夜光雲が宇宙から観測されたのは今回 が初めてであった。

研究チームでは、今回作られた夜光雲は今後数週間から数ヶ月に亘って 観測できると考えており、夜光雲の発生メカニズムや特徴等の研究に役立 てると共に、高層大気中におけるロケットの排気中の粒子の分散の仕方の シミュレーションモデルの開発に繋げたいとしている。

 http://www.nasa.gov/centers/wallops/CARE.html

【090928-07】
NASAの観測機器、月の土壌表面に水分子或いは水酸基の存在を確認

9月24日、NASAは月の表面の広い範囲に水分子或いは水酸基(OH)が存在 する証拠を発見したことを明らかにした。この発見関連の論文は25日に米 国の科学雑誌“Science”が受領した論文を印刷前に電子情報で公開する “SCIENCEXPRESS”にアップされた。

インド宇宙研究機構(ISRO)が打ち上げた月探査機Chandrayaan-1にNASA が提供して搭載された月の表面の物質をその反射光を捉えて調べる観測機 器Moon Mineralogy Mapper (M3)が、水分子或いは水酸基からと考えられ る反射光を捉えていたことから、他の探査機の観測結果との突き合わせを 行って、水分子或いは水酸基がの存在することは間違いないとの結論を得 て公表に至ったもの。

照合を行ったデータは1999年に月の側を通ったNASAの土星探査機Cassi- niに搭載されているVisual and Infrared Mapping Spectrometer (VIMS) のデータ及び、2009年6月に月の側を通ってHartley 2彗星に向かったEPO- XI(元のDeep Impact)に搭載されているHigh-Resolution Infrared Imag- ing Spectrometerのデータで、何れもM3のデータと良い照合を示している ことが確認されたとしている。

従来から月の極地の太陽が当たらないクレーターの中には水が存在する と考えられていたが、月面の広い範囲の土壌に水分子の形ではあっても水 が存在するとは考えられていなかったために、CassiniやEPOXIのチームで は月の表面の広い範囲の水の存在を示すデータには注目を払っていなかっ たもの。

月面の広い範囲での水の存在の発見は画期的なことであるが、水が分子 とか水酸基の形で月の表面近くで岩石やダストの分子とつながっている状 態であり、そこから水を引き出すとすると、1トンの土壌表層を処理して 得られる水は約900cc程度と考えられており、安易に水が得られるという 話ではない。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-222_Moon_Water_Molecules.html

9月25日、ISROは、2008年11月にChandrayaan-1から切り離されて月面に 突入したMoon Impact Probe (MIP)が水の存在を示すデータを取得してい たとの発表を行った。

 http://economictimes.indiatimes.com/news/news-by-industry/et-cetera/Indias-own-probe-also-found-water-on-moon-ISRO/articleshow/5055595.cms

【090928-08】
NASAのMRO、火星の中緯度の表面直下に水の氷の存在を確認

9月24日、NASAのは、火星周回中の探査機Mars Reconnaissance Orbiter (MRO)の観測により火星の中緯度の表面の直ぐ下に水の氷が発見されたこ とを明らかにした。この発見についての報告は25日付けの米国の科学雑誌 “Science”に掲載された。

MROに搭載されているHigh Resolution Imaging Science Experiment (HiRISE)カメラによる同一地点の時間を隔てた撮影結果から、火星表面に 隕石が衝突した際その下の氷が露出したことが確認できたとしている。

氷が確認されたのは深さ0.5mから2.5mの5つのいずれも以前撮影した画 像からは確認できない新しいクレーターで、隕石が衝突して新たにクレー ターができ、表面下の氷が露出して白く輝き、その氷の白い輝きが数日間 から数ヶ月間で昇華して消えてしまうというプロセスが確認できている。

火星での水の存在は、これまでに火星の北極近くに軟着陸したPhoenix Mars Landerによって確認されているが、今回のMROによる発見は、中緯度 地方であるという点で注目すべきことである。

 http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2009-148

【090928-09】(関連記事:【090817-08】)
NASA、Ares I-Xの打上げターゲット日を10月27日と設定

9月22日、NASAは前日にNASA本部で開催した会議において、これまで10 月31日としていた次期有人打上げロケットAres Iの最初の試験機である Ares I-Xの打上げターゲット日を10月27日とする決定が行われたことを明 らかにした。

ケネディ宇宙センタからの打上げを支援する米空軍との調整を踏まえて 確認されたもので、打上げ可能時間帯は午前8時から正午までとされてい る。また、27日に打上げを行えなかった場合には、28日の打上げが可能と されている。

打上げ日時の最終決定は10月23日にケネディ宇宙センタで開催される飛 行試験準備審査会で行われることとなる。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09-219_Ares_I-X_Launch_Date.html

【090928-10】
ロシア、Phobos-Gruntの打上げを2011年に延期

9月21日、ロシア連邦宇宙局は、2009年10月に行うとしていた火星及び その衛星フォボスを観測する探査機Phobos-Gruntの打上げを2011年に延期 する決定を下したことを明らかにした。

探査機は現在、製造元であるLavochkin Science and Production Asso- ciationで全体システムの試験中であるが、その試験の終了が遅れ、打上 げに間に合わなくなったとしている。地球から火星への効率的な打上げは 2年毎に可能となることから、次の機会まで延期をせざるを得ないことと なった。

この打上げには、中国初の火星探査機“螢火一號”(Yinghuo-1)が相乗 りすることとなっており、既にロシアに向けて送り出されている。

 http://www.spacenews.com/civil/russia-delays-phobos-grunt-mars-mission-until-2011.html

【090928-11】
SpaceX、Falcon 9の初号機にDragonのプロトタイプを搭載

9月24日、Space Exploration Technologies Corp. (SpaceX)は、同社が 開発している大型の打上げロケットFalcon 9の初号機に、同じく開発中の ISSへの物資輸送に用いる再使用型のカプセルDragonのプロトタイプを搭 載する決定を下したことを明らかにした。

SpaceXでは、2005年当時にはFalcon 9の初号機には政府関係のペイロー ドを搭載する予定であるとしていたが、今回の決定に際しては、初号機の 打上げ時のコンフィギュレーションは、その後に続くミッションの打上げ 時に合わせることが望ましいとして、Dragonのプロトタイプを搭載するこ ととしたとしている。

SpaceXではNASAとのCommercial Orbital Transportation Servicesのデ モンストレーション契約(COTS Demo)で、ISSへ物資を運ぶシステムとして Falcon 9+Dragonの開発を進めており、この契約下で3回の試験飛行を行 うこととなっているが、それに先立つロケットの初号機の打上げで、同じ コンフィギュレーションでの打上げを行うことにしたもの。

打上げ時期は明確にはされていないが、2009年11月にFalcon 9の初号機 の射点での組立が終わる予定となっており、その終了後3ヶ月以内となる であろうとされている。

 http://www.spacenews.com/launch/spacex-says-dragon-prototype-will-fly-first-falcon.html

【090928-12】
ボリビア、中国から通信衛星を調達…製造・打上げを一括発注

9月24日、ボリビアのEvo Morales大統領は、中国から通信衛星を購入し、 その打上げも依頼することを明らかにした。この発表の3日前に同大統領 はニューヨークで中国の胡錦濤国家主席と会談をし、両国の基本的な協力 関係について合意している。

また、同大統領は、この衛星打上げのプロジェクトでの中国への支払額 は3億ドルであることを明らかにし、同時にこのプロジェクトに対し中国 からの融資が期待できると語っている。なお、打上げ時期については明ら かにされていない。

 http://www.chinadaily.com.cn/china/2009-09/25/content_8736008.htm

【090928-13】
中国、ラオスの通信衛星の製造・打上げを受注

9月25日、中国航天科技集団公司(CASTEC)傘下の中国ロケット技術研究 院(CALT)はラオスの通信衛星“Laos-1”を製造し打ち上げることを明らか にした。

打上げは長征シリーズのロケットで行うとしているが、時期については 触れていない。

CASTでは、地上のトラッキング基地及びラオス国内の地上の放送通信の ネットワークの建設も行うとしている。

この衛星の製造・打上げ契約は中国として、アセアンのメンバー国から の初の受注である。

 http://news.xinhuanet.com/english/2009-09/26/content_12113434.htm

【090928-14】
ウクライナ、ブラジルのアルカンタラからのTsyklon-4の打上げを2010年に

9月22日、ウクライナのViktor Yushchenko大統領は訪問先のニューヨー クで同行の記者団に、2010年にはウクライナのTsyklon(Cyclone)-4ロケッ トによる衛星打上げをブラジルのアルカンタラ(Alcantara)射場から行う ことを明らかにした。アルカンタラ射場は緯度が低い(南緯2度17分)ため に東方に向けた衛星の打上げには有利な射場である。

また、同大統領は、ブラジルのLuiz Inacio Lula da Silva大統領に対 し、ブラジル国立経済社会開発銀行からウクライナ国立宇宙機関への2億 6,000万ドルの融資の実現に向けての支援を要請したことを明らかにして いる。

 http://www.kyivpost.com/world/49240

【090928-15】(関連記事:【090817-12】)
Boeing、商業ベースでの有人打上げシステムの開発に名乗り

 9月23日、Boeing Companyは、去る8月にNASAが発行した商業ベースでの 有人打上げシステムの開発(Commercial Crew Development:CCDev)に興味 を持っている企業からの提案要請に応えて提案書を提出したことを明らか にした。

提案書提出に際して、Boeingは軌道上で膨らませることにより形をなす 構造体を用いたOrbital Space Complex(宇宙ホテル)の建設を目指してい るBigelow Aerospace, LLC.と組んでおり、NASAが打上げシステムの目的 地としているISSの他にこの宇宙ホテルへの人員輸送を視野に入れたシス テムを提案している。

NASAは、今後11月までに企業選定を行いCCDev Space Act Agreementを 結んで、企業の開発業務を支援する形をとるとしている。(注:Boeingの 他にも数社が興味を示しているとの報道もあったが、提出期限を迎えて、 他に提案提出をしたことを公にしている企業は無い。)

 http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=43&item=849

【090928-16】
DARPA、宇宙デブリの除去方法に関して情報提供要請発行

9月17日、米国防総省の国防高等研究計画局(Defense Advanced Resea- rchProjects Agency:DARPA) のTactical Technology Office (TTO)は、 “Orbital Debris Removal”に関する情報提供要請(RFI)を発行した。提 出期限は10月30日とされている。

増加の一途をたどる地球周回軌道上の不要物(Debris:デブリ)を取り除 く方法について経済的にも成り立つ可能性のある提案(情報)を求めるもの で、広く、大学、研究機関、企業からの提案を期待している。

今回のRFIに応えて提供された情報についてはDARPA側での計画立案の参 考に用いるだけで、今回の提案に基づいた契約を起こす予定はなく、且つ、 提供された情報に対価を支払うこともないとし、契約に繋がる提案要請 (RFP)は別途発するとしている。

DARPAでは、この半世紀間の宇宙開発で軌道上に打ち上げられた人工物 体は35,000個を超え、その内20,000個程度が未だ軌道上にあるが、その94 %はデブリであるとし、これらのデブリは減少することなく、特に2007年 の初めから約50%の増加を示しており、このまま放置することは宇宙利用 の大きな妨げになるとしている。(注:2007年以降の増加の主要因として、 2007年1月の中国による自国の使用済み衛星のミサイルによる破壊実験と、 2009年2月の機能停止となったロシアの衛星と運用中のIridiumの衛星の衝 突を上げている。)

今回の提案では、対象とするデブリを、低軌道上の1〜10mmの小型デブリ、 1〜10cmの中型デブリ及び静止軌道も含めた軌道上の機能が停止した衛星、 打上げロケットの最終段等の大型デブリの中から特定して提案をすること が求められている。

 https://www.fbo.gov/?s=opportunity&mode=form&id=a55fd6e5721284ee7df2068d2b300b5f&tab=core&_cview=0

【090928-17】
NASA、中高生からドロップタワーでの実験を募集

9月24日、NASAは中高生を対象として、自由落下によって短時間の微小 重力状態を作り出すドロップタワーでの実験計画を募集することを明らか にした。

高校生を対象とした“Dropping In a Microgravity Environment”(DI- ME)と称するプログラムと6〜9年次を対象とした“What If No Gravity?” (WING)と称するプログラムで、何れも学校のクラス或いはクラブまたはボ ーイスカウトの隊等をベースとしたチームで応募することができる。各チ ームには教師、親、技術コンサルタント等の大人のアドバイザーが居なく てはいけないとされている。

各チームは、ドロップタワーを利用して行う実験を提案して、選に入っ た場合にはその実験装置を製作して、実験を行うこととなるが、実際に自 分達でNASAのグレン研究センタ(GRC)での2.2秒間のドロップタワーを使用 した実験を行えるのはDIMEのトップ4チームに限られている。この4チーム に対しては、来所の際のGRCの施設見学の機会と、NASAの専門家による実 験結果のレビューも提供される。

DIMEの5位以下の数チームと、最大50チームのWINGの優秀チームは製作 した実験装置をGRCへ送り、NASAのスタッフに実験を行って貰って結果を 入手することができるだけとされている。

参加資格は米国内各州とワシントンDC及びプエルトリコの在住者とされ ているが、DIMEのトップ4チームに入ってGRCを訪れることができるのは米 国民に限るとされている。

応募期限は11月2日で、GRCの技術者、科学者で構成するパネルで12月10 日までに優秀チームを決定し、GRCでの実験は2010年4月に予定されている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09_223_Ed_DIME_WING.html

【090928-18】
NASA、Centennial Challengesの新課題を公募

9月25日、NASAは2005年から始めたCentennial Challengesプログラム (新しい宇宙探査計画のサポートとなる様な技術ブレークスルーへ賞を出 すプログラム)の新しい課題を公募することを明らかにした。

Centennial Challenges は種々の課題を決められた期限までにクリアし たチーム(または個人)に賞金を出すもので、既に宇宙エレベータ、宇宙服 の手袋、月への着陸船等の課題で競われている。今回の公募では2010年以 降の新しい課題を求めている。

応募期限は11月8日で、提案されたアイディアはより優れたものにする ためにNASAのウェブサイト上で公開され、広く意見を求めるとされている。

 http://www.nasa.gov/home/hqnews/2009/sep/HQ_09_225_NASA_IPP_Ideas.html

【090928-19】 JAXAのウェブサイト内の注目記事へのリンク

9/24広報誌「空と宙(そらとそら)」No.32
9/24小型望遠鏡で撮影されたHTV技術実証機
9/24光 衛星間通信実験衛星「きらり」(OICETS)の運用終了につい
9/24宇宙への夢を語ろう!「第40回JAXAタウンミーティング」in 大分の開催について
9/25SMILESの紹介ページを開設しました
 付録:【経産省とNEDOによるイベントの案内】

 経済産業省と(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月8 日、「宇宙産業利用促進フォーラム 〜拡大する世界市場を狙う産業政策 ・企業戦略を明らかにする〜」を、よみうりホールで開催する。この様 なフォーラムの開催は初めて。

 http://www.meti.go.jp/press/20090918001/20090918001.pdf

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