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 いよいよ7月22日には、日本全土で日食を見ることができるというので、各地で大にぎわいですね。とくに太陽本体がすべて月の陰に隠れてしまう皆既日食帯では、みなさん準備に余念がないでしょう。そういった地域にはたくさんの人々が訪れて、さぞや大変な騒ぎになることでしょう。その意味でも大変ですが、頑張ってください。

1 原理
 【日食はいつ起きるのか】

 日食というのは、地球から見てお月さまのちょうど向こうに太陽がいるときに、お月さまによって太陽が隠される現象ですね。月の向こうに太陽がいるということは、いわゆる新月のときにしか日食は起きないわけですね。では新月の時は必ず日食になるかというと、さにあらず。太陽の通り道と月の通り道とが同じ平面上にあるのではなくて、5度ばかり傾いているので、新月の時でもなかなか一直線上には並んでくれないのです(図1)。


[図1] 出典:武部俊一『皆既日食』(朝日新聞出版)

 【小さい月がなぜ大きい太陽を隠せるのか】

 太陽は地球の100倍くらいの大きさですし、月は地球の4分の1くらいです。ということは太陽は月の400倍も大きいわけです。もし太陽が人間の身長くらい、たとえば160cmくらいだとすると、400分の1ということは、月は4ミリということですから、アリンコぐらいになりますね。アリンコが人間を隠してしまうなんて起きそうもない感じがしますが、実はその月の400倍の太陽は、地球からみると月の400倍遠いところにあるので、一直線上に並ぶと、ちょうど隠れるというわけですね(図2)。


[図2] 出典:『日食観測マニュアル』(別冊星ナビ)

 【皆既と金環】

 日食のときには、太陽をバックにした月の影が地球の上に映ります。図3をご覧ください。その地表に映った月の影を宇宙ステーション「ミール」に搭乗しているロシアの飛行士が撮ったものです。珍しくも感動的な写真ですね。その影が時間とともに地表を移動していきます。その影のあたりから太陽を見上げると、日食が見えているわけです。地球から見る月の大きさは、月の位置によって微妙に変化するのですが、月が地球にちょっとだけ近い時には、月の方が太陽よりもちょっと大きめになって、太陽が月にすっぽりと包まれる「皆既日食」になるし、月がちょっと遠いと太陽の方が月よりもちょっとだけ大きめに見え、「金環日食」といって、月の周りから太陽が輪っかのようにはみ出しているような日食になります。影の薄い部分やその周辺から見上げると、一部欠けた太陽つまり部分日食が見えます(図4)。およそ4年で皆既と金環が3回ずつの割合で地球上のどこかで起きています。


[図3] 宇宙ステーション「ミール」の飛行士がとらえた月の影


[図4] 出典:沼澤茂美「黒い星を追って」(別冊星ナビ)

2 日本における日食

 日本の陸地で皆既日食が見られるのは、実に46年ぶりなんです。でもこの1963年(昭和38年)の「網走皆既日食」と呼ばれた時の日食は北海道の端で朝早く起きたので、ほとんどの人は見ていません。日本全国で日食が話題に上ったのは51年前で、このときは金環日食でした。1958年(昭和33年)のことで、「八丈島金環日食」と呼ばれたもので、この時は日本全国で太陽が大きく欠ける部分日食が見られて話題になりましたので、年配の方の中には、小さい頃に下敷きなどで欠けた太陽をご覧になった方もおられるでしょうね。

3 観測方法

 【見るときのお願い】

 今回の日食を見る際に、みなさんにお願いしておきたいことがあります。肉眼で太陽を見つめることは絶対にしないでください。黒い下敷きも煤の付いたガラスも駄目です。市販の「日食メガネ」や「日食グラス」を使ってください。なぜそんなことを言っているのかを説明します。太陽からくる光には、目に見える可視光線の波長の外側に「紫外線」や「赤外線」と呼ばれる光も含まれています(図5)。太陽観察で厄介なのがこの紫外線と赤外線です。


[図5] いろいろな光(電磁波)

 【紫外線】

 まず紫外線は、可視光線よりも波長が短い光です。強烈な紫外線を眼に浴びると、短時間でも眼球の表面の角膜に傷ができて痛みを感じる「雪目」になったり、弱い紫外線でも長い時間にわたって浴び続けると白内障などを引き起こしたりします。ただし、紫外線は角膜よりも内側にある水晶体というレンズで吸収されますから、網膜にダメージを与える可能性は少ないでしょう。

 【赤外線】

 もうひとつの厄介者が赤外線です。赤外線は、可視光線より波長が長い光です。赤外線は「熱線」とも呼ばれていて、たくさん受けると人体にも悪いのです。目に入ってきた光が焦点を結ぶ網膜なんて、皮膚などに比べると非常に弱くできていますから、赤外線を受け過ぎると、やけどみたいなダメージを受ける可能性もありますよ。繰り返しますが、可視光・赤外線・紫外線を有効にブロックしてくれる市販の「日食メガネ」や「日食ガラス」を使ってください。もし自分でメガネやグラスを作る場合は、雑誌や書籍に掲載している方法をよく読んで、丁寧に作ってください。

4 木もれ日キャンペーン

 【木もれ日の不思議】

 さて、今回の日食の大きな特徴は、北海道から沖縄まで日本全土で見られるということです(図6)。皆既日食が見られないところでも、部分的に欠けた太陽が見られます。これは部分日食ですね。部分日食はそれなりの楽しみ方があります。木もれ日を使って楽しむのです。「え? 何で木もれ日かって?」みなさん、木洩れ日をしげしげと見たことがありますか?木洩れ日は、葉っぱや枝の作る隙間から太陽の光が洩れてくるのですが、それが地上に映っている形を見ると、そのほとんどが丸いのです(図7)。


[図6] 今回の日食の日本における見え方


[図7] 木もれ日

 【三日月形の太陽を木もれ日で】

 これは考えてみると不思議なことで、葉っぱなどが複雑に絡み合ってできる隙間は、いろいろな形をしているはずですよね。なのに、地上に漏れてきて映っている形は丸いのです。木もれ日は、実は光を発している源である「光源」の形が映っているのです。これはいわゆるピンホールカメラの原理なのですが、ということは、太陽が月に一部隠されて三日月形になっていたら? そうです。地上に落ちる木もれ日は、一斉に三日月形になるということです。

 この三日月形の太陽の木洩れ日というのは、意外とこれまで撮影されたものが少ないのですが、2002年に北マリアナ諸島のテニアン島で、現在和歌山大学にいらっしゃる吉住千亜紀さんが見事に撮影していらっしゃいます(図8)。どうです? こんな珍しい木もれ日を眺めてみたいとは思いませんか? 「木もれ日」とか「陽だまり」という日本語の響きは素敵ですね。皆既日食を見に出かける人たちは、もちろん強烈な体験をされるわけですが、皆既日食に行けない人たちは、せめてこんなに粋で情緒たっぷりの楽しみ方をするのもオツなものですよ。


[図8] 部分日食の木もれ日 2002年6月11日 テニアン島にて撮影:吉住千亜紀先生(和歌山大学)
     PAONET 第1回 イメージ・オブ・ザ・イヤーに輝いた「日食時の木もれ日の写真」

【木もれ日キャンペーンに応募を】

 現在、JAXA宇宙教育センター、子ども・宇宙・未来の会、日本宇宙少年団では、共同して「日食木もれ日キャンペーン」を展開しています。みなさん、7月22日までにご近所で木もれ日のきれいなところを探しておいて、日食の当日に「木もれ日で見た太陽の姿」を、ぜひ写真にとって送ってくれませんか。木の種類などによっては、きれいな木もれ日になっていないものもありますから、やはり前もって準備をしておくに越したことはありません。詳しくはJAXA宇宙教育センターのホームページをご覧ください。

 7月15日更新 
本日、東京町田市芹が谷公園で撮影してきた木もれ日の動画です。(リンク先はだいたいの撮影地点です)
背が高い木の木もれ日なので、図7と比べると大きくてぼやけていますが、風が強い事もあって枝が大きく揺れていたので、 面白い映像ではないかと、撮影者は思っているそうです。

5 むすび

 次に皆既日食が日本で見られるのは、実に2035年のことです。この時は能登半島から一直線に千葉の銚子の方にまっすぐに皆既日食帯が移動していきます。また金環日食が3年後の2012年に見られます。これは関東から九州までの広い範囲にわたって観測できるので楽しみですね。それにしても、昔は太陽が月に隠される日食というのは日が蝕まれるというので、食ヘンに虫という字を使っていましたよね。現在は日が食べられるという字を書くのですね。それはあの頃は「日本食堂」のことだったんだけどなあ。

 考えてみると、1億5000万km彼方の太陽の光が、38万km彼方の月によって邪魔されて、数m頭上の葉っぱの隙間から三日月形になって漏れて映っている姿を撮影するなんて、なんて宇宙的なんでしょう。そんな雄大な宇宙を心におさめながら、木もれ日を楽しんでください。それではみなさんから寄せられる写真を楽しみにしています。7月22日が晴れるといいですね。

【日食前のお楽しみのために】

 一口に「ピンホールカメラの原理」と言っても分かりにくいかもしれませんね。ここでは、日食を待つ間に、少しそのピンホールカメラの原理を追って、楽しんでみましょう。

 物体から来た光は、小さな穴を通ることによって、反対側で像を結びます。16世紀頃からこの原理を応用して、真っ暗な部屋に外の景色を映して、絵画の下絵を描いたそうです。真っ暗な部屋を作るのは大変なので、自分の部屋やオフィスでこの原理を確認してみましょう。

 まず、厚紙(ポッキーの箱ぐらいの厚さか工作用紙など)に2〜3mmぐらいの大きさの丸、三角、四角などを鉛筆で描いて、その形の穴を空けます。カッターの刃の先を使えば、割と簡単に開けられます。



カッターで穴を開けるのが難しい時は、デザインナイフを使うと綺麗に開けられます。

 次に厚紙を写真のよう手で持って、穴から差し込む光を見てみてください。穴の形とは違う光が差し込んでいるのが見えますか?


ピンボケしていますが、光が2本見えるのが分かりますか?

 さてその穴の形と異なる形の光の正体は? 振り返って天井を見て下さい。
では、穴がひとつだけなのに何個も見える場合は?・・・これも天井を見ると正解がわかります。
光源の形がその正体だということが分かりますね。穴の形と異なることが、何だか不思議ですね。この厚紙細工が面倒だという方は、穴が開いているバスカードやテレホンカードでも見ることができますよ。


穴がふたつ空いているので光が並んで差し込んでいます。

 次に、できるだけ部屋を暗くして、光源として懐中電灯やLEDライトを照らして、早速穴から差し込む光をテーブルや床や壁に映して見てみましょう。厚紙がテーブルや床から遠すぎたり、光源が近すぎたりするとぼやけたり穴の形がそのまま見えるだけなので、厚紙と光源の距離を変えて見ながら、穴の形と異なる光が見える位置を探してください。結果はこうなります。


この光源はLEDライトです。LEDが6個入っています。


光源の形がそのまま映っていることがわかります

 日食当日までに「木もれ日」が見つけられなかったら、この時は5mmぐらいの穴を開けた台紙を持って外で観察したり、日差しが差し込む部屋の中で観察したりできます。この他にも、身のまわりの物で小さい穴が開いている物を見つけたら、晴れている時に外に出て、写真のように丸が映れば「木もれ日」の替わりになります。




晴れている時、外で見るとこうなります。

それでは、みなさんの当日の幸運を祈っています。

ピンホールを使った方法や、他の観察の方法はこちら(国立天文台ウェブサイト)

木もれ日の写真を撮ったら、ここに投稿しよう!!
日本各地から投稿されますので、場所によって太陽の欠け方が違うのが分かります。
「日食の観察−みんなで木もれ日を撮ろう」はこちら(JAXA宇宙教育センターウェブサイト)

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