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「政権交代」

 8月30日、自公政権が崩れた。無駄遣い追放と官僚主導の打破という二 つの公約を中心とする鳩山内閣の船出は9月半ばになる由。民社党自身が 圧勝の原因を何に求めているかが、直接今後の展開に響いてくるだろう が、それと同時に新しく議員になった人たちの本当の意味での資質が試 される日々が始まる。

 さまざまな生活上の要求の中に、この国の出口を見つける課題が普遍 的にのしかかっている。この国を覆ってきた暗雲は、年を追うごとに厚 く黒々としてきているが、議員としての第一歩を踏み出した人々には、 未来を展望し、日本の新しい時代を建設するという挑戦の心を何よりも 持って欲しいものである。それは、私の好きな一登山家の言葉がいつも 気になるからである

  民族が大きくたくましく栄えたのは、
  その息子たちが、冒険を愛したからである。
    そして、民族が衰え没落したとすれば、
    それはその息子たちが危険への喜びを失ったからにすぎない。
                ―― ヘンリー・ヘーク

 宇宙関係であまりよくないニュースが続いている。アメリカのオーガ スティン・レポートが「オバマ政権の提出している宇宙予算では、到底 宇宙進出の未来は論じられないよ」と悲鳴を上げたのを皮切りに、アメ リカは月探査機LCROSSの燃料枯渇問題も抱え、そして転んだ子を蹴飛ば すように、森林火災が惑星探査の牙城JPL(ジェット推進研究所)の周 辺を襲っている。韓国の衛星打上げ失敗、インドの月探査機チャンドラ ヤーンの交信電波途絶など、「悪いことは重なる」ものである。

 そんな中で刮目すべきは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)がロシアのソ ユーズを全面活用して独自の有人飛行への道を開始する構えを見せてい ることである。ソユーズを使って毎年数人の「ヨーロッパ人」を宇宙へ 送る方針をほぼ確立したのではなかろうか。今やESAはEUの執行機関と 化している実態はあるが、一方でヨーロッパには、科学・技術のことは その専門家の議論に注意深く耳を傾ける伝統が、数百年続いている。

 17ヵ国の加盟国を持つESAには知恵者が多い。加盟国がこれだけある と、動きの鈍くなる欠陥はあるが、同時に世界の流れをしっかりと見る こともできる。アメリカの有人飛行への勢いの衰退を感じ取った人たち の大きな流れの存在が推察される。

 日本の有人飛行に関する議論は、「金がない」という単純な表現で一 掃されることが多かったのであるが、それを「一掃」してきたのは官僚 である。どの省の官僚の発言権が一番大きいかは言わずもがなであるが、 財務省の官僚が異常に大きい力を持っているこの国では、他省庁の官僚 は、抵抗は見せるものの最後は屈する。有人飛行にもいろいろなやり方 がある。1960年代にソ連との必死の闘いの中で築かれて来たアメリカ式 の有人飛行は、まさに「行け行けどんどん」で、よく言えばオーソドッ クス、悪く言えば金を湯水のように使う正面突破の有人システムの構築 だった。日本は、日本の独自のやり方で有人飛行への道を頭を使って柔 軟に遂行するべきである。

 この場合、出発点にあるべきは、「官僚の許可」ではなくて、現場か らの具体的で強力な問題提起である。ヨーロッパとの協働という行き方 もある。9月に予定されているHTV(無人宇宙ステーション補給機)の有 人化から出発する選択もある。議論して安上がりの方法を見つけること が肝腎で、それがなければ、自己の分野の予算を削られることに疑心暗 鬼の宇宙部落や「有人は高い」という偏見に凝り固まった財務省を納得 させることは不可能だろう。どんなに非公式な議論でもいい、具体的で 説得力を持つ案を提出することである。予算をつけてもらうことから議 論を始めようとするやり方は、まさに既に「親方日の丸」の考え方が伝 染しているのである。宇宙開発を20世紀の初めのころに立ち上げた貧乏 な先達たちの考え方に回帰して、この国の宇宙進出のやり方を作りなお す時代がやってきているように思う。

 他方、有人を本格的に展開するには上からのアプローチももちろん大 事で、これまで「金がない」の一点張りで阻止されて来た有人飛行の 「具体的なやり方の議論」を、新しい政権が前例にとらわれないで大胆 に広く開放できるか。無駄遣いや官僚主導、年金問題、老人介護、格差 追放、……山積するさまざまな諸問題の中に埋没しがちな日本の「未来 への夢」を、有人飛行を軸にして切り拓いてほしい――新政権の大事な 試金石として暫くは注目していきたい。

(YM)

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