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YMコラム
12月16日「地球は多神教?!」

 ジングルベルが鳴っている。もちろんそうでない人がおられることは承 知しているが、今はほとんどの日本人の頭からは神社が消え失せているだ ろう。これがやがて大晦日を迎えると、除夜の鐘が大多数の日本人の胸を 打つ。各地のお寺が主役となり、十字架の姿は掻き消える。そして正月。 神社が大繁盛。初詣をする人々は本気で古事記の主人公たちに願い事をす る。こうした、キリスト教→仏教→神道という気持ちの流れは、非常に自 然に行われていき、それほど葛藤や摩擦の起きる気配はない。

 これは、西欧の人々から見ると、大いに不思議な現象である。「不思議」 ぐらいでとどまればいいが、「無節操」とのそしりになることも多い。こ の年末年始の一連の動きだけでなく、門松、七草粥から始まって、四季折 々の日本のしきたりをきちんとたしなんでいる人たちが、ハロウィーンを 楽しんでいたりすると、いささか心の中を覗いてみたくなることもあろう。 そして日本人自身の中にも、こうした事柄を自嘲をこめて「宗教心の希薄 さ」に帰着される向きもおられるだろう。

 私は多少違った感じ方をしている。これはこの列島に住む人々のしなや かさ、あるいは、したたかさではないか。ご存知の通り、(おそらくは) 6世紀に仏教が伝来したとき、すでに流布していた「八百万の神々」との 間に闘いが起きた。それが現実世界では、あの蘇我氏と物部氏の軋轢とな っていった。13世紀には仏教にも革新が起きたが、やがて神仏は習合して いった。今日でも仏教と神道はそれぞれ独自の「教え」を持ってはいるが、 多くの日本人にとっては、その差異は死活の意味を有してはいないだろう。 16世紀のキリスト教伝来によっても、この国にはさまざまな事件が引き起 こされ、歴史を彩った。キリスト教徒の弾圧、隠れキリシタンをめぐる問 題などは、その代表的なものであるが、キリスト教も現代の日本では極め て平和的に受容されているように見える。

 この列島で生活している人たちにとって、宗教とはいかなる意味を有す る社会的存在なのだろうか。こうしたことについては無数の研究がなされ ているだろうし、私なんぞが口を挟む余地のない事象である。ではあるが、 一言言わせてもらえば、この島々に生きてきた人々は、漢字でも、概念で も、風習でも、すべての衣食住にまつわる、海の外から入ってきたものを、 きわめて上手に生活の中にとりこんできた。この列島における文字の歴史 だけにしぼっても、外来のものを受容しつつ数百年をかけてそこから独創 的な日本の文字体系をつくりあげてきたプロセスは、感動的ですらある。 そのダイナミックな姿を「和」と名づけよう。今では「日本人」と呼んで もいいだろうこの民族のこの手法を念頭におけば、現在の私たちの「宗教 心」なるものは、世界でもまれな現象で、文字の体系ほど美しく完成され てはいないし、全くあちこちに綻びの見える荒削りなものであり、またそ れぞれの宗教心篤き人たちからは「とんでもない」とお叱りをうけそうだ が、やはりこれも宗教をめぐる「和」のひとつのかたちなのではないかと 思えてくる。

 先日私の近くにいる小学6年生の男の子が、面白いことを言った──ねえ、 日本は多神教なんでしょ? そしてヨーロッパやイラン・イラクなんかは 一神教だと聞いたけど、宇宙人が地球のことを見たら、多神教の星だって 思うんじゃないかな──

 一理ある。すでにこの私たちの考えるスケールを超えて、この星をグロ ーバルに「感じている」世代が生まれていることを、このとき私は知った。 そんな子どもがこの島国に出現しつつあることに、深い感動と喜びを覚え ている。日本人の「和のこころ」とともに、大事に育んでいかなければな らないセンスである。

YM

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