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2月10日「オバマ大統領の予算教書」

 オバマ大統領の予算教書が発表されましたね。NASAについては、2011年度からの5年間にこれまでよりも合計60億ドルの予算増加をすることが決定されました。他の分野の予算が凍結される中で、増加という配慮が注目されますが、戦略的には、有人飛行を民間で開発されるロケットに頼る方向性を出したことに、一番大きな特徴があります。

有人用のアレースT、貨物用のアレースX、有人宇宙船オライオンの3つを主軸とする「コンステレーション計画」はキャンセルしようという提案となりました。オーガスティン報告の示した選択肢の中では、“Flexible Path”を選んだことになりますね。私の意見では、月から火星へという一本道の強引な「コンステレーション」と比べると、より現実的で着実な道を選んだように見えます。そして従来よりも一層バラエティに富んだ太陽系探査が実行されていくことになるでしょう。(早速カッシニ土星ミッションの運用延長が発表されましたね。)

 1980年代末には、アメリカの疲弊が目立っていました。議会でも「大型計画ばかり追求するのは愚の骨頂だ。小さくても着実に一歩一歩進んでいる日本の宇宙科学の手法に学ぶべきだ」というFreeman Dyson博士の証言が飛び出し、日本を“Small, but quick is beautiful.”と絶賛していたアメリカ。ソ連が崩壊しても、Francis Fukuyamaのアメリカ絶頂論が出ても、勝利感の薄かったアメリカでしたが、1990年代に情報通信革命で完全に息を吹き返しました。そしてあの忌まわしい9.11に始まる金融資本主義の終焉。

 1980年代末には、アメリカの疲弊が目立っていました。議会でも「大型計画ばかり追求するのは愚の骨頂だ。小さくても着実に一歩一歩進んでいる日本の宇宙科学の手法に学ぶべきだ」というFreeman Dyson博士の証言が飛び出し、日本を“Small, but quick is beautiful.”と絶賛していたアメリカ。ソ連が崩壊しても、Francis Fukuyamaのアメリカ絶頂論が出ても、勝利感の薄かったアメリカでしたが、1990年代に情報通信革命で完全に息を吹き返しました。そしてあの忌まわしい9.11に始まる金融資本主義の終焉。

片方の手で戦争を遂行し、他方の手で宇宙分野の平和を演じるアメリカ大統領の2正面作戦から、オバマ大統領は大きく舵を切ったと言えます。人類社会が直面する問題として「核兵器を含む環境とエネルギー」を据え、アメリカ国内では「雇用」をクロースアップさせました。ケネディ宇宙センターの施設設備の拡充整備を大きく掲げたのは、民間ロケットの頻度を挙げることと相俟って、シャトルを引退させるのに伴って生じる「雇用の空白」をできるだけ埋めることが顧慮されているのでしょう。

 20世紀の東西対立を軸とする戦略から、人類が抱える最大の課題に目を向け、宇宙戦略もそのために動員するセンスは、これまでの大統領にはなかった重層的なものに映りますが、いかがですか。しかとは言い切れませんが、オバマとともに、人類は新しい時代に入りつつあるのかもしれません。そんな予感がしています。

 宇宙について、オバマの提出したその他の骨組は、
・ISSへのアクセスとして(ソユーズ以外では)民間ロケットに期待する。
・ISSの運用は(2015年までという期限を)少なくとも2020年まで延長する。
・重量物運搬ロケットに5年間で31億ドル投じることにより、有人太陽系探査をめざすいくつかの新たな技術開発プログラムを開始する。
・有人太陽系探査につながる無人探査プログラムを、いくつかの新たな目標に向けて開始する。
・火星探査、ジェームズ・ウェブ宇宙望遠鏡を含む無人宇宙探査を継続するとともに、エウロパ探査ミッションを開始する初期予算を確保する。
・地球観測を引き続き協力に支援し、地球温暖化をモニターし理解する努力を加速する。
・有人・無人のより野心的な宇宙ミッションを遂行するための宇宙先進諸国との国際連携を強化する。

 さてそこで、日本の宇宙戦略への影響はどのように出てくるでしょうか。それは次週に論じることにしましょう。アメリカの宇宙戦略に対する日本政府の反応の鈍さから見て、それでも全く差し支えないだろうと思うからです。

 

(YM)

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