入会案内
コンテンツ
KU-MAについて
リンク
会員向け
KU-MAの
おすすめ

世界でいちばん素敵な
宇宙の教室


超巨大ブラックホールに迫る
「はるか」が作った3万kmの瞳


自然の謎と
科学のロマン(上)

Newton編集長の実験と工作動くもの浮くものの不思議

Newton編集長の実験と工作─光や電気の不思議─


小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦 太陽系と生命の起源を探る壮大なミッション


新しい宇宙のひみつQ&A


宇宙人に会いたい!: 天文学者が探る地球外生命のなぞ


宇宙の始まりはどこまで見えたか? 137億年、宇宙の旅

他にもおすすめがあります

YMコラム
4月7日「山崎直子さん、出発!」

 4月5日午後7時21分(日本時間)、山崎直子さんら7人の宇宙飛行士たち を乗せたスペースシャトル「ディスカバリー」が国際宇宙ステーション (ISS)に向けて飛び立ちました。

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-01.jpg

   山崎さんは、満面の笑みをたたえ、張り切っている様子が痛いほど分か る美しい姿でした。

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-02.jpg

 そして飛行2日目、シャトルが打上げによって機体に損傷を受けていな いことを確認した後、飛行3日目には早くもISSへのドッキングを完了する ことになっています。

 1 おめでとう、直子さん

 これまで宇宙へ飛んだ日本人も、そろそろ小学生たちには記憶されない 時代が訪れつつあります。それだけ、日本人が宇宙へ行くこと自体は、ま だ有人の輸送手段をもたない国とはいえ、日常的にすらなりつつあると言 えるでしょう。1990年にソユーズで日本人初の宇宙飛行を遂げた秋山豊寛、 1992年に日本で初めてスぺースシャトルに搭乗した毛利衛以来、向井千秋、 若田光一、土井隆雄、野口聡一、星出彰彦と続いてきました。山崎さんは、 だから日本人飛行士としては8人目、シャトル飛行は7人目、日本人女性と しては2人目、そして日本のお母さんとしては初めての宇宙飛行になりま す。そしてISSが完成したら、スペースシャトルは引退することになって いるから、時代を象徴する表現をすれば、「スペースシャトルに搭乗する 最後の日本人」ですね。

 1999年に、ISSの滞在要員として飛行士の候補に選ばれた角野直子さん。 翌年には山崎大地さんと結婚し、2002年には長女優希ちゃんを出産。子育 てをしながらの基礎訓練を経て、もうじき飛べるかと期待していた矢先の、 あの2003年のスペースシャトル「コロンビア」の空中分解。この悲劇があ ったため、スペースシャトルの飛行が凍結される中で、モスクワ郊外の 「星の町」におけるロシアのソユーズでの訓練も増えました。ヒュースト ン、モスクワ、つくばを中心に文字通り訓練も東奔西走で、大変な忙しさ になりました。

 私が2006年にヒューストンを訪れたときに、直子さんと夕食を共にした ことがありましたが、この時に優希ちゃんを伴って現れたのには驚きまし た。子育てをしながらの訓練は、想像を絶するものであったと推察されま す。家庭内でも色々なことがあったでしょう。しかし持ち前の強靭な精神 力で耐え抜き乗り越えて、ついに11年もかかって実現した旅立ち。直子さ んは人生最高の舞台に立ったのです。心からおめでとうと言わせていただ きます。

 2 直子さんのメインミッション

 今回を含めてあと4回を残すのみとなったスペースシャトルの輸送で、 アメリカはできるだけ多くの物資をISSに運び込む計画です。その主役が 3種の再利用・与圧型の「多目的補給モジュール」(MPLM:Multi−Purpose Logistics Modules)で、イタリア宇宙機関(ASI)が設計・開発した大 きな「コンテナー」です。3種とは、「レオナルド」「ラファエッロ」 「ドナテッロ」ですね。いつもながら素敵な命名ですね。

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-03.jpg

 今回直子さんたちと飛行を共にしているのは「レオナルド」です。レオ ナルドは、スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)で運ばれ、シャ トルがISSにドッキングした後に、ISSのロボットアームによって、「ハー モニー」の下側(地球側)に取り付けられます。これが飛行4日目の仕事 になります。

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-04.jpg

 取付け後、飛行5日目から9日目にかけて、野口聡一さんたちも加わって、 レオナルドに搭載された物資をISSに搬送していきます。ここで一段落し た飛行10日目、共同記者会見が予定されています。11日目にはレオナルド はロボットアームでISSから取り外され、再びペイロードベイに搭載され ます。12日目、レオナルドをISSから分離し、再び機体の点検を徹底的に やった後、軌道離脱。あとは14日目の帰還(4月18日)まで粛々とシャト ルの操縦がなされていくわけです。

 直子さんは、「ロードマスター」と呼ばれる今回のレオナルドの物資輸 送の責任者であり、6トン以上の大量の実験装置などの搬入・機器設置な どのマネージメントという重責を担います。若田光一さんの果たしている 国際的な役割はすごいものですが、直子さんの仕事も、多国籍ステーショ ンにおいて日本の果たすべき任務として、高い立場で受け止める必要があ るでしょう。日本人が日本だけのために働く時代から脱け出る意識が、私 たちには要求される時代になっていることを、宇宙飛行士ほど痛烈に感じ ているグループは少ないような気もします。

 さて、そのレオナルドの詳細は、以下のホームページをご覧あれ。これ を見ると、彼女の負っている重大な仕事がひしひしと伝わってきます。

 http://iss.jaxa.jp/iss/17a/mission/payload/mplm/

 3 直子さんのサイド・ミッション

 忙しい合間に、直子さんはおまけのミッションも少しこなします。一つ は出身地である松戸市の「カボチャ」の種を運ぶこと。松戸市内の「日本 園芸生産研究所」という財団法人が、「松戸白」というカボチャの品種を 復活させたのですが、もう一種、この松戸白とカンボジアのカボチャとを 交配させた「国際交流カボチャ」もつくりあげたので、この2種類のカボ チャの種を350粒持って行きました。宇宙飛行を経験したカボチャの種が、 帰還後は全国の少年少女の手で育てられることでしょう。

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-05.jpg

 次に注目すべきは、アサガオの種です。「明後日アサガオ」と名づけら れたアサガオです。これは2009年に種子島で始まったプログラムで、その 種が200粒、シャトルに乗り込んでいるのです。これをプロデュースした 日比野克彦さんが、直子さんに託しました。直子さんと一緒に地球に戻っ てきたら、今年の種まきの頃には各地に「宇宙を旅したアサガオの種」が 数粒ずつやってくることでしょう。

 もう一つ、私も多少の関わりのあることとしては、特別製のお箏を宇宙 へ持っていって演奏するというサイド・ミッションがあります。長さが実 に35 cm。個人携行品としてはこれぐらいが持っていける限界で、全国の お箏の70%を生産している広島県福山市の小川楽器の職人さんが見事に作 り上げてくれたものです。

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-06.jpg

 http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym100407-07.jpg

 彼女は5歳ぐらいからお箏の稽古にいそしんでいたそうです。小さいお 箏ですから、弦が短いため低音が出ないという制約がありますが、宇宙か ら妙なる音色を届けてくれることでしょう。彼女の流派は生田流。実は昨 日、その生田流の最高峰である安藤政輝さんとお会いしました。お箏をた しなむ人口は年々減っていそうで、山崎さんがお箏の稽古をしてきたこと を非常に喜んでおられました。お箏の世界では神様みたいな人なので、山 崎さんによれば、この方はあの宮城道雄さんの直弟子で、「雲の上の人」 だそうです。昨夜、「帰還後に会われたらいかがですか」と水を向けて話 しているうち、安藤師は「いやあ、雲の上の人はあちらさんの方ですなあ」 と。考えてみればそのとおり(笑)。いずれにしろ、こんな機会を契機に して、日本文化を代表するお箏に親しむ子どもたちが増えていくといいで すねえ。

(YM)

<<「幼い頭脳の追憶から」TOP「「初心」ということについて」>>
TOPKU-MAについて入会案内リンク会員向け

このサイトの内容の無断転載・複製を禁止します