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YMコラム
7月7日「「はやぶさ」プロローグ」

 種子島や内之浦のロケット発射場から打ち上げると、補助ブースターや 1段目は太平洋に落下する。そこはいい漁場である。漁をしているときに 頭上からロケットが降ってきたら仕事にならないのは当然なので、漁業者 としては、「宇宙開発は漁業権の侵害だ」と言う。四方が海に囲まれてい る国であってみれば、どこに発射場を移しても同じ問題が生じるであろう。 「移動式発射台」とか「海上発射」などが検討される由縁である。

 1967年以来、ロケットの年間のスケジュールを決めたら、種子島沖にた くさんの船を出している5つの県(鹿児島、宮崎、大分、愛媛、高知)を 回って、そのスケジュールの了解を得る、いわゆる「漁業交渉」なるもの が定例化している。最初の頃は広島も入っていたのだが、途中で「ウチは 出している船が少ないから、もうええです」ということになって、交渉の 枠から自ら辞退された。

 「はやぶさ」の打上げは2003年5月に設定されたが、これがマグロ・カ ツオの豊漁期に当たっており、漁業側にははなはだ都合が悪い。何しろ獲 れる時は一晩で2億円もの水揚げがあるらしいから、ロケットに協力して 漁を休んだら、影響は深刻である。おまけにあの時はちょうど情報収集衛 星の打上げチャンスをねらっていた頃でもあって、国策で打ち上げるこの 衛星と「はやぶさ」とを、漁業の合間をかいくぐるライバルとして比較す ると、お役人の目から見れば勝負は明らかである。

 「はやぶさ」の打上げ交渉は難航を極めた。そして2週間にわたる下交 渉では、ついに糖尿病の重症患者を約一人生み出して、ついにこの難関を 乗り切ったのである。「宇宙」のことを研究したくてこの分野にやってき て、なぜ「海」の問題に必死にならなくてはならないのか? 島国ならで はの特殊な問題ではあるが、「はやぶさ」が波瀾万丈の7年間を耐えに耐 えて、工夫に工夫を重ねて、有終の美を飾った今となっては、限りなく懐 かしいあの5県周りの2週間であった。

 森伊蔵、魔王、百年の孤独、甕雫、千羽鶴、西の関、東一、獺祭、初雪盃、 梅錦、酔鯨、司牡丹、南、……必ずしも5県のものではないが、めくるめ くようなラベルの思い出。

(YM)

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