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10月6日「秋の星座の物語」

 涼しくなってきましたね。肥満の体には快適です。秋の夜空は寂しいで す。これはという明るい星がないのですね。それでもカシオペアのWが毅 然とした姿でいることは嬉しいし、夜の9時ごろに中天を見上げれば、ペ ガススの四辺形が慰めにはなります。ぺガススの四辺形は、他の星座を見 つけるための基準として大変便利なものなのですが、それは措くとして、 秋の星座を彩るギリシャ神話のスペクタクルが最高です(図1)。

(図1)秋の夜空を飾るエチオピア王家の星ぼし

 それは、古代エチオピア王家にまつわる物語です。昔々、エチオピアを 治めていたケフェウス王とその王妃カシオペアとの間には、アンドロメダ という名の美しい娘がおりました。アンドロメダ姫がかわいくてならない カシオペアは、「私の娘はこの世で一番美しい。海の神ネーレウスの娘た ちは美しいって評判だけど、アンドロメダにはかなわないわ」と、いつも 自慢していました(図2)。その自慢話が、海を司る神ポセイドンの耳に 届いたので、海の妖精たちをけなされたポセイドンは、カンカンになりま した。

(図2)ケフェウス、カシオペア、アンドロメダ

 「人間のくせになんて生意気な!思い知らせてやる!!」

 ポセイドンは恐ろしいお化けクジラ、ティアマートをエチオピアに派遣 し、大暴れさせたのです。以来、エチオピアの海は荒れに荒れ、海岸を大 津波が襲いました。家々は流されたり壊れたりして、大勢の人が甚大な被 害を受けました。ケフェウス王は神殿に赴き、なぜこんなひどいことにな ったのか、神々にたずねたところ、

 「ポセイドンが怒っている。この怒りを沈めるには、娘のアンドロメダ をお化けクジラの生け贄として差し出さなければならない。」

というお告げが返ってきました。

 そのお告げを聞いた人々は宮殿に押しかけてアンドロメダ姫をさらい、 海岸の大きな岩に鎖で縛りつけてしまいました(図3)。 やがて遠くの海 が大きく盛りあがり、ティアマートが姿を現しました。この恐ろしい形相 のお化けクジラはアンドロメダ姫を目指して突進してきます。アンドロメ ダ姫は、あまりの恐ろしさに気絶しそうになりました。

(図3)アンドロメダ(ギュスターヴ・ドレ)

 そのとき、空から馬のいななきが聞こえてきました。見上げると、そこ には天馬ペガススにまたがったギリシャのペルセウス王子の勇姿(図4)。 ペルセウスは怪物メドゥーサを退治して、自分の国へ帰る途中だったので す。美しいお姫様がお化けクジラに襲われそうになっているのを見つけ、 ペルセウスは急いで駆け降りてきて、持っていたメドゥーサの首をお化け クジラにつきつけました(図5)。メドゥーサは、その顔を見た者はすべ て石になるという恐ろしい怪物です。さすがのお化けクジラもこれにはた まりません。あっという間に巨大な石になり、海の底へと沈んでいきまし た。

(図4)ペルセウスとペガスス

(図5)ペルセウスとお化けくじら

 無事に助けられたアンドロメダ姫は、その後ペルセウスと結婚し、幸せ な生涯を送ったと言われています。めでたし、めでたし。

 と、こういったあらすじの話を、夜釣りのボートの上で懐中電灯の光を 頼りにして読んでいたわけです。小学生の頃、夜釣りをしながら星を眺め ていた私は、秋の夜空は何だか退屈で仕方ありませんでした。しかしその 寂しげに見える秋の星空も、エチオピア王家の物語を知ってからは、それ を思い浮かべながらの星座探しは楽しくなりました。

 秋の星空の星図(当時私が見ていたのはフラムスティード天球図譜)で は、アンドロメダ姫は岩に鎖で両手を繋がれた姿、また、勇者ペルセウス は右手で剣を振り上げ、左手でメドゥーサの首を持った姿で二人仲良く並 んでおり、天を翔ける白馬ペガススを従えています。そして、傍らにはア ンドロメダ姫の母、王妃カシオペヤ座、父の国王ケフェウスも並び、さら にお化けクジラのティアマートまでも「くじら座」となって南の空に広が っています。

 加えて、メドゥーサの額に輝いているペルセウス座の「アルゴル」とお 化けくじらの心臓にあたる星「ミラ」は明るさが妖しく変わる「変光星」 です。アルゴルは食変光星で、連星が周期的に回り合い隠し合うことによ って変光するもので、2.3等星から3.5等星の範囲を変光周期2.87日で明る さが変わります。また、ミラは脈動変光星で、星全体が膨張したり収縮す ることによって変光するものです。ミラの変光周期は332日で、2.5等星か ら10.5等星まで変わっていくと言います。ただし、アルゴルの方の変光周 期の方は自分の目で確かめたものの、ミラの方は、明るさが変化している ことは確かながら、周期を定量的に数えたことはありませんが……。

 こうした楽しみをゆったりとした時間をかけながら少年少女の時代に持 つという習慣が、いつの間にか日本人の生活から消えていって久しく、そ のことが日本の心を貧しくしていることの象徴のように思える今日この頃 です。お子さんやお孫さんと大きな生活の転換をされてはいかがでしょう か。それは必ず、ご家族の絆に革命を起こすと信じます。その革命が秋の さびしい星座と「エチオピア王家の星ぼし」から始まったなんて、ちょっ とオツではありませんか。

(YM)

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