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11月10日「正倉院展」

 帯状疱疹と診断されて10日ぐらい経ちました。当初眼帯と帽子という指 名手配の犯人みたいないでたちだったのが、今では普通の状態に戻りまし た。あの診断の日、「それではこれから1週間は寝たままで安静にしてく ださい」と言われ、「ハイ」と返事して以来、あまり安静とは言い難い毎 日でした。お医者さんと喧嘩しても勝てませんからね。もっとも新幹線や 地下鉄の中では目をつむって「安静」にしてはいたのですが(笑)。リリ カという薬を服用していますが、今は薬が効いているうちは痛みがないの ですが、切れてくると猛烈に痛くなります。安静にしていれば神経痛が残 ることはないとは言われながら、どうも「初動」がよくなかったかも知れ ませんね。

 先週の金曜日には奈良へ。土曜日の昼間に親子を相手に話をしました。 一番後ろの席にどこかで見たような人がいると思ったら宮大工の小川三夫 さんでした。私が佐保川小学校で講演をするというのでやってきたのだそ うです。一緒に「正倉院展」を見学し、その夜、彼の行きつけの料理屋に 行き、久しぶりで二人きりの時間を持ちました。近いうちに中学生相手に 話をしなければいけないのだが、子ども相手に話をするコツをつかみたい と思って、「はやぶさ」や宇宙のことなんて聞きたいとは思わないけど、 佐保川小学校に来たんだということでした━━納得。

 「正倉院展」では、聖武天皇愛用の「螺鈿紫檀五絃琵琶」が圧巻でした (図1)。現存する古代の五弦琵琶としては唯一のものなのだそうで、特 に裏側に細工された夜光貝の立体的な美しさと迫力に圧倒されました(図2)。 漆の技術の起源については日本か中国かということで学界でも論争がある んだそうで、決着は持ち越しているみたいです。中国では河拇渡(かぼと) 遺跡のもので、その7000年以上も前の出土品の中に漆工品があるといいま す。ところが日本では縄文早期の垣ノ島B遺跡(北海道南茅部町)から9000 年前のものが発見されています。遺跡発掘の勝負という段階のようですね。

(図1)聖武天皇愛用の琵琶http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-01.jpg

(図2)その背面http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-02.jpg

 その正倉院の琵琶には、小川三夫さんも唸りを発して見入っていました が、まさに天下一品だという感じ。小川さんはペルシャあたりから運ばれ たのかなと言っていましたが、帰京してから調べてみると、どうも螺鈿と いうのは中国伝来のものらしく、その螺鈿にペルシャの石なども使われて はいますが、やはりこの琵琶は中国から来たものらしいです。深みのある 黒い漆から浮き上がるように輝き出てくる夜光貝(図3)のキラキラとし た姿は、この世のものではないような……。

(図3)夜光貝のきらめきhttp://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-03.jpg

 そうなのです。漆は山育ちの樹木(図4)。夜光貝は言うまでもなく南 海育ち。まったく異なるいのちの営みがここに出会って、素晴らしいハー モニーを奏でているのです。そう言えば先だって大雨の中で小川さんに案 内していただいた法隆寺でも玉虫厨子(図5)に出会いました。これも黒 漆塗りでしたね。夜光貝の代わりなのでしょうか、玉虫が埋め込まれてい て、一瞬漆の木の周りを妖しく飛び交う玉虫(図6)の情景を思い浮かべ たものです。夜光貝と玉虫を比べるとどちらが美しいかは評価の分かれる ところですね。朝鮮半島や日本では、夜光貝の代わりに安価なアワビ貝 (図7)を螺鈿に用いたそうですが、玉虫を使うというアイディアは抜群 ですね。できた当時の玉虫厨子を見てみたかったなあ。

(図4)漆の木http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-04.jpg

(図5)玉虫厨子http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-05.jpg

(図6)玉虫の輝きhttp://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-06.jpg

(図7)あわび貝http://www.ku-ma.or.jp/ym/ym101110-07.jpg

(YM)

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