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12月25日「カッシニが土星の衛星レアを激写」

 土星は60個を超える衛星をもっているが、その中でタイタンに次ぐ大 きさを誇るのが衛星レアである。現在土星を周回中の探査機カッシニによ る、そのレアの画像が発表された。激しい地質学的な歴史を物語る要素を たくさん含む素晴らしい写真である(図1)。


図1 衛星レアの表面(北極側)

 すでに発表された衛星ディオーネ(図2)は、もともと見た目にも大き さや密度などが衛星レアと非常に似ていたのだが、今回の写真であらため てレアの表面を見つめると、これら二つの衛星は、表層だけではない類似 点がありそうである。これは、レアとディオーネが近い軌道を回っている こととも関係しているのであろう。


図2 2010年のディオーネ

 2010年3月、カッシニは衛星レアに100 km以内の至近距離まで近づ いた。その際に、いつも土星に同じ面を向けているレアの反対側の表面 (土星からは決して見られない面)の非常にクリアな画像を獲得した(図3)。 これを見ると、かつて1980年と1981年に2機のボイジャーが最初 に見つけたものと似ている「明るい筋目」が縦横無尽に表面を走っている。


図3 2010年3月のカッシニ接近でとらえたレアの裏面

 かつてボイジャーは、衛星レアだけでなく、その内側を回る衛星ディオ ーネの(土星から見た)裏面にも同様の明るい筋目を見つけており(図4)、 当時はそれが衛星形成時の内部活動で生じたものと考えていた。ボイジャ ーのカメラの解像度ではそれ以上の推定は難しかったに違いない。しかし 2004年7月以来、カッシニのカメラがこの2個の衛星の裏面をはるか に高い解像度で数回にわたってとらえた。その結果、これらの明るい筋目 は、長い急斜面に沿って露出している明るい氷であることが分かってきた。 ということは、これらは形成時に起きていた「極低温の火山」というより は、地質活動の結果できたものであるということである。


図4 ディオーネ(ボイジャー)

 2009年11月のカッシニ接近は、かつてない解像度でレアの裏面を 撮像した(図5)。1時間おきに撮影したものを組み合わせて3D画像を作 成した結果、時にはまっすぐな、時には曲がりくねった溝が、短い間隔を おいて裏面を走っていることが明らかになった。レアの裏面には古い時代 のクレーターがびっしりと存在しているが、3D画像は、その凸凹の地形 を貫いて隆起した岩塊が点在している様子もとらえられた。クレーターで 覆われているということは、レアができた時からそれほど激しい内部活動 を経験していないことを意味しており、他方で、地質活動に呼応してある 地域が最近になって裂けたことも示している。溝や他の断層地形が二つの 大きなクレーターを鋭く横切っているが、小さなクレーターたちを切り裂 いてはいないことも見て取れる。ということは、小さなクレーターができ たのは比較的若いということである。またある場所では、急斜面に沿って 滑り(あるいは転がり)落ちた物質が下の平らな地形に積み重なっている のも見える。


図5 レアの3D画像

 2010年3月のカッシニ接近の際に捉えられた画像では、レアの表面 を明るい氷の割れ目が大きく貫いており、時には互いに直角に交わってい る。土星を向いている方の面の擬似カラー画像(図6)には、幾分青っぽ く描かれている地域がある。これは表面の成分が異なるか、あるいはレア の表面を構成している非常に小さい氷の粒ではないかと考えられている。


図6 レアの土星側の擬似カラー画像

 これらの新たな画像によって、レアの地図(図7)がほぼ完成した。表 面地形には、国際天文学連合が承認した名前がつけられている。カッシニ は、これからも2017年まで、レアその他の土星の衛星の観測を続行す る予定である。2011年1月11日には、レアの表面から76 kmまで接 近するので、数メートルの解像度の写真が撮られることになる。今から楽 しみなことである。

図7 レアの最新地図全図

(YM)

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