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3月30日「大きなお月さま──3月19日に「スーパームーン」」

1 さる3月19日の夜、日本時間で正確に言えば3月20日の午前1〜4時頃、いつもより大きなお月さまが見られました。時刻が遅かったので、見た人は少なかったかも知れませんが、電気が不自由な被災地の人たちが見れば、周りが暗いのでかえって際立っただろうに、という想いでした。あの圧倒的な美しさ・大きさは、人間界では作り出せないスケールの異なる世界のことだと、あらためて感じるからこそ、宇宙への憧れというものが、私たち「小さな」人間たちの共有するものになっていくのだと思います。そういう感情は、山への崇高な感じ方、海への広大な思慕などにも見ることができます。

2 しかしその同じ私たちのエネルギーを遥かに凌駕する規模の力が、人間を攻める側に回った時、これほどの悲劇と試練を与えることになるということですね。それはよく考えると、自然に責任があるわけではありません。やはりそれを未然に予測し、それに対する十分な対策を講じるよう助言することのできなかった人間の側に、でっかい反省材料はあるのだと思います。時には心躍る美しさと荘厳さを見せ、また時には絶望的な怪物となって押し寄せてくる自然──私たちの知恵は、まだまだその大自然との共生を十分に楽しむところまで至っていないのですね。

 地震学者、あるいは津波学者(という呼称が存在するのかどうかは知りませんが)の中には、警告を発していた人がいたことは知っています。しかしテレビなどで登場している人たちは、「予測をはるかに超えていた」と、ほとんどの人が言っています。稀に、それを発言した後に、悔恨の情も露わに涙をこぼす科学者がいると、「きっと現在の私たちの持っている科学のレベルを、もっともっと伸ばさなければ」という想いに駆られているのだろうな、という気持ちが伝わります。

 予測は、大げさに言えばいいというものではなく、それなりの科学的な根拠を示さなければ「科学界」では認められないし、また認められても、それに対する対策ということになると行政の壁が立ちはだかることもあるでしょう。今回の大震災をめぐるそうした攻防の構図は、(いつのことやら分かりませんが)少し落ち着いたらぜひとも未来のためにしっかりと見つめておかなければならないのでしょう。

3 さて3月19日の月は、なぜいつもより大きく見えたのでしょうか。実は、月が地球に非常に近づき、そのうえ満月だったので、特別に大きく見えたのです。この日のような月は「スーパームーン」と呼ばれます。

 月が地球の周りをまわる軌道は、わずかながら円からずれています。厳密には楕円軌道なのですね。平均すれば、地球からの距離は約38.4万kmだということは憶えている人が多いでしょう。しかし詳しく見ると、地球に近づいたり遠ざかったりしているのです。近地点にいる時は地球から(36.2±0.4)万km、遠地点では40.5万kmにあります(図1)。つまり一番近い時と遠い時とでは、大体5万km以上もの差があるのですね(図2)。


(図1)月の軌道


(図2)近地点と遠地点の月

 今回の19年ぶりの最接近は約35万6577km。日本時間のピークは午前3時頃で、4時頃に満月となるようです。この日は、近地点を過ぎてから1時間以内に満月になったので、ほぼ完璧な「スーパームーン」になったのです。

 普段は月の大きさや明るさを意識することは少ないと思いますが、世界各地の人々がこの日の「スーパームーン」を見つめました。必ずしも近地点の瞬間ではありませんが、一番遠いときと比べると大きさで14%、明るさは30%も増すことになったので、やはり肉眼でも大きく見えたようです(図3〜)。


(図3)Supermoons in the World


(図4)Supermoons in the World


(図5)Supermoons in the World


(図6)Supermoons in the World


(図7)Supermoons in the World


(図8)Supermoons in the World

  4 ちなみにスーパームーンは過去にも地震や噴火と関連があると言われ、今回の東北を襲った震災も関連を指摘する人もいますが、それは科学者たちによって、はっきり否定されています。理由は地震の起きた11日の時点では月の位置はむしろ遠くにあり、直接的な影響を与えようがないからです。被災地の人たちの目に、この美しく大きな月の光が届いているといいなという想いが、自然への畏敬の念と、少しでも被災の苦しさを和らげることができたらという想いが重なって、起きてきました。近くにいる人たちにこの「スーパームーン」のことを話すと、「もっと早く言ってくれればよかったのに」となじられました。本当にそうですね。そしてこれは、一部の天文学を専門にする人たちも共有できる気持ちだと期待しています。

(YM)

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