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はるか(遥か、HALCA)(旧名MUSES-B)──世界初のスペースVLBI

 1997年2月12日、Mロケットの最終バージョンM-Vが内之浦の整備棟に雄姿を現した。直径は、先行のM-3SUの1.4 mに対して2.5 m、全長は28mだったのが31 mとなった。重さは61トンのM-3SUから実に140トンへ。まさに世界最大の固体燃料ロケットが誕生したのである(図1)。


(図1)M-V-1

 このM-Vロケットの1号機で打ち上げるのを、火星探査機にするか、スペースVLBI衛星にするかで議論があったが、初フライトで高精度の軌道投入が必要になる惑星探査は控えようということ、スペースVLBIならば、投入精度に少々の誤差が生じても、地球を周回してからの軌道決定を精度高く行えばミッションとしては可能であることから、火星探査は後に回そうということになった。

 Mロケットを使った工学実験衛星(MUSES)シリーズの第2弾MUSES-B(図2)につけられた「はるか」という愛称は、柔らかくしかも切れのよい素敵な響きの名前である。はるか宇宙の彼方を電波でながめる、という意味合いが含まれていることは言うまでもない。恒例の実験関係者による投票では延べ191名の応募があった。アンテナを展開した衛星の佇まいからの連想からだろうか、「おりひめ」「まいづる」など美しい名前が多かったのがこのときの投票の特徴である。「はるか」と投票したのは4名だったのだが、その一人である高校2年生の中田詩子さんは、1991年に亡くなったランチャ班の中田篤の一人娘で、今回の実験期間中に内之浦を訪問された途次の応募だった。


(図2)スペースVLBI衛星「はるか」

 なお、国際的にはHALCA(Highly Advanced Laboratory for Communications and Astronomy)というAcronymが、、実験主任の上杉邦憲と衛星主任の廣澤春任の「わざ」でこじつけられた。また、プログラム名のVSOP(VLBI Space Observatory Programme)は、森本雅樹、西村敏光両酒豪の執念の命名。いわゆる傑作がほとんどない投票だったのも特徴だが、その中で文句無し河本正光さん(松下通信工業:現パナソニック)の「大風呂敷」がISASニュース編集委員長賞に選ばれた。河本さんには、記念品として赤い大風呂敷が贈呈された。

のぞみ(望み、NOZOMI)(旧名PLANET-B)──初めて火星へ

 2号機で打ち上げる予定だった月探査機LUNAR-Aが、苦闘の末に開発が間に合わず、涙を飲んだ後、1998年7月4日、M-Vロケット3号機によって、日本初の火星探査機PLANET-Bが、内之浦の鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げられた。火星上層大気について、太陽風との相互作用に重点をおいた研究を行うことが目的だった。

 日本が太陽系探査に進出する志を表明するということで「のぞみ」と決まった(図3)。他に有力なものとして「みらい」「あかね」があった。投票の中で笑いを誘った傑作は「一機火星」。「一気呵成」のもじりである。


(図3)火星探査機「のぞみ」

 「のぞみ」に決めた後、新幹線「のぞみ」(図4)が気になっていた私が、所長の西田篤弘に「JRに断りを入れる必要はないですかね」と問いかけると、西田が「こっちの方が100倍も速いんだからいいだろ」と言ってチョンになった。


(図4)新幹線「のぞみ」700系

 打ち上げた翌年、1998年12月の地球重力圏離脱時に、燃料供給系に不具合が発生したため、火星への到達軌道を変更し(図5、図6)、火星への到達を11年10月から15年12月に変更したり、2002年4月に通信系・熱制御系機能に不具合が発生したり、波瀾万丈の苦労の末に、火星周回軌道に投入できる軌道までたどり着いたが、通信機能を再度喪失し、ついに軌道投入は断念せざるを得なくなった。しかしその後の惑星探査にさまざまな技術的達成を遺産として遺したミッションであった。


(図5)のぞみの旧軌道


(図6)「のぞみ」の新軌道計画

(YM)

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