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7月13日「科学衛星の命名ものがたり(9)」

すざく(朱雀、SUZAKU)(旧名ASTRO-EU)──日本の5代目のX線天文衛星

 2005年7月10日 12時30分、あの2000年の口惜しいASTRO-Eの雪辱の打ち上げが敢行された。M-Vロケット6号機。衛星は高度550 kmの円軌道に投入された。打ち上げの数日前、愛称選定委員会が開かれた。

 例によっていろいろな愛称が投票箱に入っていた。大きく羽をひろげた姿から「おおとり」などが評判だったが、プロジェクトマネジャーの井上一が、「どうしても“すざく”」と言い張った。あの初代X線天文衛星「はくちょう」の時の小田稔の時と同じだなと思った。「このASTRO-EU(図1)は、搭載したを中心として、新しい時代を開くX線衛星だ。“はくちょう”の“白い鳥”の伝統を継ぐ“朱い鳥”にどうしてもして欲しい」という主張だった。

 言うまでもなく、東西南北をそれぞれ受け持つ青龍・白虎・朱雀・玄武(図2)は、この世の守り神である。さすがX線天文学の伝統を受け継ぐ井上一らしい発言だなと、委員会のみんなは結局、この承認した。「すざく」搭載の世界に誇るマイクロカロリメータは残念ながら不調に終わったが、他の機器が非常に頑張って多くの実績を上げていることはご存知の通り(図3)。


(図1)クリーンルームのASTRO-EII.


(図2)青龍・白虎・朱雀・玄武


(図3)「すざく」によるペルセウス座銀河団の観測

あかり(明かり、AKARI)(旧名ASTRO-F)━━日本初の赤外線天文衛星

 日本人の手による宇宙での赤外線観測はSFU(Space Flyer Unit)に搭載したIRTSで初めて実現した。しかしながら、共用のプラットフォームから来る様々な制約のため、口径は15cmが精一杯であった。それでも、ヘリウム3の冷凍機を使ったサブK温度ボロメターの初採用など新機軸を出すことに努め、打上げ後は信じられないほど全てが順調に進み、約4週間にわたる観測は大成功に終わった。

 そして長年の苦労が実を結び、2006年2月22日午前6時28分、日本初の赤外線天文衛星ASTRO-F(図4)を搭載したM-Vロケット8号機が、内之浦の闇空を衝いて飛翔し、952kgの衛星は、日本初の太陽同期軌道(高度700 km、軌道傾斜角98.2度)に見事に投入された。

 命名「あかり」。「あかり」とは、遠いところから暗い中に認められる光を言う。宇宙の塵で隠されている部分を赤外線によって見通すことが、その語感と重なることから適当と判断した。チームは、この衛星によって宇宙の謎の解明に大きな貢献をしたいと考え、その努力が、ささやかながら未来を照らす「あかり」になればとの思いもこめたつもりであった。

 最多得票は「あかつき」だった。参考までにライバルだった他の名前を列挙すれば、「ひとみ」「みらい」「せいら」(星羅:星がずっとつながったもの)、「ゆりかご」「いにしえ」。笑いを誘ったのは、「こたつ」。「こたつ」と言っても外国の人にはピンと来ないだろうが、日本独特の暖房具である。命名委員会で、「報道で、“赤外線天文衛星こたつを乗せたM-Vロケットは”などと言うと、本当にあのこたつを載せてあるように聞こえる」などという発言が出て大爆笑だった。以後、2011年の観測停止まで、数々の輝かしい成果を収めたことは周知のことである(図5〜7)。


(図4)「すざく」と「あかり」の珍しいツーショット


(図5)「あかり」がとらえたケフェウス座の散光星雲IC1396


(図6)「あかり」による赤外線全天マップ


(図7)「あかり」がとらえたM81

ひので(日の出、HINODE) 旧名SOLAR-B━━日本で3代目の太陽観測衛星

 当初は「あかり」よりもこちらが先に打ち上げられることになっていたので、打ち上げに利用するロケットは、この太陽観測衛星の方が7号機で、「あかり」は8号機となっていた。そのロケットの呼び名は、いろいろな事情で打ち上げ順序が変更になっても維持された。

 約900 kgのSOLAR-B衛星(図8)は、2006年9月23日 6時36分に打ち上げられ、「あかり」につづいて、高度約680 km、軌道傾斜角98度の太陽同期軌道に入った。M-Vロケット最後の打ち上げだった(図9)。

 命名委員会は真っ二つに分かれた。「ほむら」と「ひので」。思い切り大和言葉である「ほむら」は、日本人の情緒をくすぐる名前であるが、プロジェクトマネージャーの小杉健郎は、一般に分かりやすい「ひので」を主張した。そして、「聖徳太子の“日出づるところの天子、日没するところの天子云々”の言葉を高く掲げたい。日本の誇りとなる衛星だから」と言い張った。最後はプロマネの粘り勝ち。

 「ひので」が今日まで挙げている数々の成果(図10)は、確かに日本の宇宙科学が誇る素晴らしいものとなった。


(図8)SOLAR-Bのイメージ


(図9)M-V最後の打ち上げ(7号機、ひので)


(図10)「ひので」がとらえた太陽風の源

れいめい(黎明、REIMEI) 旧名INDEX━━小型衛星の実証

 次世代の先進的な衛星技術を軌道上で実証し、小規模、高頻度の科学観測ミッションの実現をめざすINDEX衛星(図11)。これは2005年8月24日 6時10分(日本標準時)に、バイコヌール宇宙基地からドニエプルロケットによって打ち上げられた。

 軌道上で、オーロラの時間変動など素敵なデータを送り届けているこの衛星の重量はわずか60 kg。宇宙科学研究所の若手技術者たちが、総力を挙げて作り上げた。

 打ち上げの1ヵ月くらい前だっただろうか。私のところへプロジェクトマネージャーとサブプロマネの二人が、揃ってやってきた。INDEXチームの中で、愛称についてもめているというのである。候補は「いぶき」と「れいめい」。プロマネの齋藤宏文は後者を、他の若手は「いぶき」をおしているらしい。

 私は個人的には「いぶき」の方が語感がいいと感じていたが、それは主観的なもの。その感情を隠して齋藤に訊ねた、「どうして“黎明”がいいの?」ところが齋藤の答えが何ともオドオドしていて歯切れが悪い。ついには「この黎明の“黎”という漢字が好きなんです」などとほざく。「ハハア」と閃いて問い詰めたら、最後に白状した。「実は初恋の子が“黎子”だったんです」。苦笑いの中で最後は情が勝って、「れいめい」に。私は今でも「いぶき」の方が好きなのだが(図12)。


(図11)テスト中の「れいめい」(INDEX)衛星


(図12)「れいめい」のイメージ

あかつき(暁、AKATSUKI) 旧名PLANET-C━━日本初の金星探査機

 金星の大気圏深部の運動などを観測するPLANET-Cは、2010年5月21日 6時58分、種子島宇宙センターからH-UAロケットによって打ち上げられた。重量500 kg。

 金星を包む高速の風(スーパーローテーション)の観測は、その主目的の一つである。そこから連想された「はやて」(疾風)という名前が、命名委員会では「あかつき」と並走した。プロマネは「ひばり」という名前を推したと聞いたが、その真意はいまだに不明である。PLANET-Cが到着する頃、金星は暁の空に美しい姿を見せる。そこから「あかつき」の採用につながった(図13)。


(図13)金星探査機「あかつき」

(YM)

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