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YMコラム
9月28日「爪痕再訪──大船渡の「はやぶさ」試写会」

 いま大船渡に来ています。「はやぶさ」の試写会があるので、その前座で20世紀フォックスの井上潔プロデューサーとトークをするためです。市内のリアスホールという会場ですが、実に豪勢なホールですね。千数百人は入れるでしょう。新居千秋という人の設計になる建物で、ユニークなデザイン先行で、冷暖房の効率は多分あまりよくないものと思われます。音響効果などは素晴らしそうですね。

 昨日夜に秋田市内から一関に移動しました。朝9時半に大船渡市役所の職員の方2名(千葉さん、金野さん)が、車で周辺の地域を回ってくれました。気仙沼市→陸前高田市→大船渡市という経路でした。

 5月にやって来た時、気仙沼の港に斜めにもたれかかっていた大船渡の大きな船は片づけられていました。気仙沼の市場が再開したとのニュースは、驚くほど早くテレビのニュースで観ましたが、実際に人々が港で働いている様子を目にすると、何だか幾分でも安堵する気持ちが湧き上がってきました。でも気仙沼の港の近所は、まだまだ水の引いていないところも多く、先回目にしたまま片づけられていない大きな建物がたくさんありました。ヘドロの匂いは、関係者のみなさんの懸命の奮闘で、何とか解決したようですが。その努力は今も続けられているとか。気仙沼でも、瓦礫の撤去作業の進めやすいところとそうでないところがあるのでしょう。ものすごく綺麗になっている地域とそうでないところがあるようでした。

 陸前高田は、先回訪れた時に胸のつぶれるような気分になったところです。あの広大な街が一挙に水に浚われた様子を少し小高いところから眺めて、切ない思いになったのでした。ここの市役所の職員は、その4分の1が亡くなったそうです。今回訪れてみて、気仙沼に比べると瓦礫は比較的片付いています。おそらく気仙沼に比して高い建物がほとんど残っていないので、片づけやすかったのでしょうね。5月には確認できなかった、あの高田松原の「奇跡の一本松」を今回はしっかりと見届けました(図1)。気になったのは、この松の上の方が茶色になっていることです。水分や栄養分が行き渡っていないのではないでしょうか。心配です。


(図1)高田松原の一本松

 かつて毎週水曜日にMTという気象観測用ロケットを打ち上げていた綾里も通りました。数年前まで大気球観測所のあった三陸町は、今は大船渡市の一部ですが、そこは高台なのでさすがに大丈夫だったようです。その下の方に吉浜という地区があり、そこは昔の大津波の教訓から、「高いところに住め」との言い伝えがあって、すべての家がその言いつけに従っていたため、今回も難を逃れたと言います。先祖の智恵は大切にすべきなのですね。「はやぶさ」試写会の前に、大船渡の戸田公明市長にお会いし、この街の復興の状況を詳しくお聞きしました。まだまだ大変ですね、奮闘中のようです。

 「はやぶさ」の試写会を行った大船渡市のリアスホールは、実に貫録のある会場でした。雰囲気は最高。隣にお座りになっていた戸田市長も、何度も涙を拭っていらっしゃいました。上映が終わって、拍手がわきました。私が会場を去る時にも拍手が来たときはちょっとびっくりしました。

 私は小学校の頃、世の中の人がみんな幸せになるよう貢献したいという「秘かな願い」を持っていました。その頃はプロ野球の選手になりたいと本気で思っていたから、その「秘かな願い」とどのように折り合いをつけていたのでしょうかね? でも結局は「宇宙」に来て、その「秘かな願い」に再び戻ってきたのは、20世紀も終わりに近づいてきた頃でした。

 それに、こんなに日本人の心が好きなのに、世界中でつけられている綽名が“Economic Animal”なんて、という想いがあって、結構複雑でした。それが、このたびの大震災の後の東北の人たちの言動から、「日本人の節度と精神の高さ」が絶賛されるようになったときは、「わが意を得たり」という感じでした。これからの百年は、“Economic Animal”という綽名を頂戴するに至ったプロセスを総括し、絶賛されている心の上に立って、どのように私たちが「この星」の未来に寄与していくかを実現する闘いが続けられるのだと考えています。「はやぶさ」に寄せられている人々の興味の中に、たくさんのヒントがあります。

 一つの例として、私のある講演の後で寄せられた感想文をご紹介します(参考1)。講演の感想というのは割引する必要はあるでしょうが、これを私の講演ではなく、「はやぶさ」ミッションに寄せられた感想として読んでいただければ、私たちが「宇宙」で取り組むべき姿勢の一端が浮かび上がってくるのではないかと思います。どうか、虚心坦懐にそのような読み方で味わってみてください。そしてあなたの感想をお寄せいただくと助かります。



(参考)ある講演への感想

(YM)

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