コンテンツ
KU-MAについて
入会案内
リンク
会員向け

KU-MAの
おすすめ


超巨大ブラックホールに迫る
「はるか」が作った3万kmの瞳


自然の謎と
科学のロマン(上)

Newton編集長の実験と工作動くもの浮くものの不思議

Newton編集長の実験と工作─光や電気の不思議─


小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦 太陽系と生命の起源を探る壮大なミッション


新しい宇宙のひみつQ&A


宇宙人に会いたい!: 天文学者が探る地球外生命のなぞ


宇宙の始まりはどこまで見えたか? 137億年、宇宙の旅

他にもおすすめがあります

YMコラム
2月16日「「ヴェガ」ついに発進──ヨーロッパの固体燃料ロケット」

 ヨーロッパの新しい打ち上げ用ロケット「ヴェガ」が、ついにデビューを飾りました。2月13日午前10時(国際標準時)、南米のフランス領ギアナのクールーにある発射施設から打ち上げられ(図1)、52分後に主ペイロードを分離し、70分後には、打ち上げのシーケンスすべてが成功したことが確認されました。当初1月26日に打ち上げが予定されていましたが、いくつかのトラブルのためにこの日まで延期されたものです。


(図1)「ヴェガ」1号機の打ち上げ

 この日のクールーには、厚く雲が垂れこめていました。これぐらいのことではクールーで発射に躊躇することはないはずですが、さすがに「ヴェガ」の初フライトとあって、飛行の初期の状態を視認したいということもあり、慎重に発射時刻が選ばれました。結果としてはすべて良好だったようです。主ペイロードのLARES衛星を、その分離前にできるだけ長く太陽に照らされていない状態を保つため、夜明け前という発射時刻が選ばれました。しかも来る3月9日にアリアン5ロケットでヨーロッパの3番目のISS無人補給船ATVを打ち上げるスケジュールがあるために、あまり後ろへはずらせないという事情もあって、打ち上げが急がれました。

 「ヴェガ」は、高度750 kmの極軌道に1.5トンを乗せる能力を持っており、ヨーロッパの保有する大型のアリアン・ロケット(静止軌道へ10トン)、ロシアと共同運用している中型のソユーズ・ロケット(静止軌道へ3トン)と並んで、主として小型衛星や科学衛星を打ち上げるために開発された全長30 mの固体燃料ロケットです。

 このロケットの開発には、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の加盟国やそれらの国の企業から、9年にわたって10億ユーロを超える投資がされており、かなりのハイテクを盛り込んだ開発で、日本のミュー(M)ロケットの技術も取り込んで製作されました。イタリアの固体燃料ロケットの技術者が相模原キャンパスに滞在していたし、何人ものエンジニアがミュー関係の技術者と議論するために訪れた頃が懐かしいですね。ヨーロッパの宇宙技術に新風を吹き込むものと思われます。

 「ヴェガ」は4段式ロケットです。1,2,3段が固体燃料を採用し、最終段の4段目のみ液体燃料を使っています。この4段目を燃焼停止したり再着火したりして、衛星軌道への投入のオペレーションの調整をします(図2)。


(図2)「ヴェガ」ロケットの構成

 「ヴェガ」によってこの度宇宙へ運ばれた衛星で最大のものは、イタリア宇宙機関が開発した重さ400 kgのLARES衛星で、一見ハイテクのディスコボールみたいに見えます(図3)。37 cmのタングステン製の表面は、92枚の反射板で覆われており、非常に正確なレーザー測距装置になっていて、これの回転によって生じる時空の歪みを測定して、アインシュタインの一般相対性理論を検証しようという計画です。


(図3)打ち上げ前のテストをするLARES衛星(中央)

 LARES衛星は、打ち上げ後約52分に、高度1450 kmの円軌道に投入されました。続いて2番目の工学実験衛星アルマサット1号、そしてそのすぐ後の15分後には、すべて1 kg前後の、大学等で製作した9つのキューブサット衛星が軌道に送られました。これからヨーロッパの主力ロケットの一つとして活躍するであろうヴェガ──まずは順調な滑り出しでよかった、よかった。

(YM)

TOPKU-MAについて入会案内リンク会員向け

このサイトの内容の無断転載・複製を禁止します