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3月22日「西への旅」

3月17日、18日の2日間、奈良で「宇宙の学校」特別講演会を開いていただき、3回の講演をしました。参加者が少しずつダブるということもあって、3回の内容をすべて異なるものにすることに腐心しました。タイトルを掲げておきましょう。

 第一回:3月18日(日)10:00〜12:00
        「宇宙の学校」がめざすもの──「はやぶさ」からの伝言
 第二回:3月18日(日)14:00〜16:00
        「はやぶさ」メンバーの活躍と映画「はやぶさ」のエピソード
 第三回:3月19日(月)10:00〜12:00
        「はやぶさ」を産んだ文化と新時代を築く若者たち

   小さな会場でしたが、熱気が溢れており、気持ちよく話すことができました。雰囲気作りの上手なYAC「大和まほろば分団」の人々のおかげです。大阪の方からグループで駆けつけてくれた女子中学生がいたり、宇宙関連のレゴ・ロボットづくりの成果を時間の合間に見せてくれた中学生もいたりして、奈良がいま知的雰囲気の溢れるような場所なのだと悟りました。平城京1300年を過ぎて、その盛り上がりの余波が、しっかりといい方向に定着しつつあるのを感じることができました。

 19日の午後からは、小川三夫棟梁が、栃木の鵤(イカルガ)工房から斑鳩の鵤工房まで駆けつけてくれ、20日の午前に奈良駅前で別れるまで、じっくりとお付き合いいただきました。有難いことです。訪れたのは、法輪寺、秋篠寺、極楽寺、鵤工房、薬師寺などです。

 法輪寺は、小川棟梁が、師匠の西岡常一さんから指示されて、初めて棟梁を務めた思い出の寺です。ここに案内してもらったのは2度目ですが、小川さんの、青春時代を懐かしむような表情と視線が、とても嬉しいひとときでした。

 確か、かつてはこの法輪寺の三重塔が日本最古のものでしたが、1944年にいったん雷火で焼失したのです。それを受けて、西岡棟梁が、20歳代の小川さんに命じて再建させたと聞きました。だから現在では最古の三重塔は、近くの法起寺の三重塔ですね。まあ、もともとは法隆寺の五重塔とほぼ同じ頃に創られた塔なので、非常に似ています。法起寺のものに比べると、法輪寺三重塔の方が、若干初層が大きくてずんぐりとしているかなあという印象ですね。法起寺の三重塔は、法隆寺五重塔、法輪寺三重塔とあわせて、斑鳩三塔と呼ばれています(図1)。周辺の田園風景も妙に懐かしく、聖徳太子もこれらの寺院の周りにあるような風景を見ながら散策していたのかなあと想いを巡らしました。


(図1)斑鳩三塔

 秋篠寺は、縁起によると、奈良時代末期の780年頃、光仁天皇の勅願によって建立されたもの。平城京西北の外れ「秋篠」の地に建てられたためこう呼ばれているそうです。平安時代末期に戦火のため伽藍の大部分を焼失し、鎌倉時代には今の本堂がもとの講堂の跡に再興されましたが、金堂や東西両塔の跡は雑木林になってしまっています。本堂に25体安置されている仏像の中で、目立ったのが伎芸天(重文)です。匂い立つような雰囲気を持ち、切なく憂いを含んだ表情が、一瞬にして私の心をとらえました(図2、図3)。諸技諸芸の守護神として多くの芸術家や芸能人らに慕われているのだそうです。小川さんも大好きと言っていました。


(図2)伎芸天(秋篠寺)


(図3)伎芸天の表情

 そこから、小川さんの娘さんの御主人(前田さん)が初めて棟梁を務めた極楽寺という寺に案内していただき、そこの住職さんとしばらく立ち話をしました。東北の大震災の際には、あちらにボランティアで駆けつけたのだそうで、「亡くなった人々と遺された家族を見ているうち、何でお前ら死んだんだ!」と怒りがこみあげてきた、という感想と、私たちの方を見て「いったいどうすればいいんでしょう?」と問いかける、途方に暮れた表情が印象的でした。そんなこと、お坊さんに言われてもねえ。

 その後で小川さんの鵤工房に連れて行っていただきました。すでに一日の仕事は終えて、作業場には、まだ八角形まで仕上がった段階の丸太がきちんと並べられていました。これから角をけずって十六角形になり、……というその後の作業は、栃木の工房で以前説明を受けました。工房に入ってすぐ、鼻の中にヒノキの清々しい香りが飛び込んできて、命を洗われる想いがしました。

 そこからは、小川さんの奥さんの待つお宅に立ち寄ってお茶を御馳走になり、小川さん行きつけの「まんぎょく」へ。猿沢池のそばです。ご亭主の絹谷太郎さんが、どうも宇宙オタク風でした。疲れてたせいですかね、あまり飲まなかったのに、帰る頃にはどうも……。

 翌日向かったのは内之浦。ただし午前中は小川さんの案内で薬師寺を訪問。現在東塔を修理中で、これから十年は見られないだろうというので連れて行ってもらったのですが、やはり工事現場は危ないというので、東塔の中に葉入れませんでした。

 奈良駅前からバスで1時間かけて伊丹空港へ、そして鹿児島へ。内之浦では、「網元」という店でNHKの人たちと一緒に、例によって素晴らしい山海の珍味。出てきた刺身の豪快さに、NHKのスタッフは仰天していました。翌日は、NHKのコズミックフロントという番組のロケです。糸川英夫先生の生誕100年を記念する番組です。5月24日夜10時から放映。BSプレミアムです。相模原、内之浦、国分寺、道川などをめぐりつつ、私がガイド役を務めます。乞御期待。

(YM)

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