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5月17日「ボイジャーの今」

 1977年にフロリダを飛び立った(図1)2機のボイジャーは、地球から飛び出して最も遠いところまで到達している探査機です。外惑星の領域に飛んで行った先輩には、パイオニア10号(1972年3月2日打ち上げ)と11号(1973年4月5日)があります(図2)が、この2機はすでに1997年3月31日、1995年9月30日に、それぞれ交信を断ちました。2機のボイジャー(図3)は2機のパイオニアをすでに追い抜き、驚くべきことに、打ち上げから約35年経った今でも、地球局に観測データを送り届けています。


(図1)アトラス・セントールによるボイジャー1号の打ち上げ


(図2)海王星のあたりから振り返るパイオニア10


(図3)探査機ボイジャー

 2機のボイジャーが打ち上げられた主要な目的は、木星と土星の観測でした。木星の衛星イオに活火山を発見したり(図4)、土星のリングの入り組んだ構造を調べたり(図5)しましたね。2号はさらに天王星を経て海王星を接近観測し、海王星のリングや衛星トリトンの大気など、数々の輝かしい発見のラッシュをもたらしたのでした。まことにボイジャーは、目の覚めるようなミッションでした。


(図4)木星の衛星イオの活火山


(図5)土星のリング

 そしてボイジャー2号が海王星を接近通過した1989年以降、2機は新たな延長ミッションに入りました。この海王星接近の時は、地上局であるNASAのDSN(深宇宙通信ネットワーク)のうち、マドリード局とゴールドストーンが方向が悪くて使えなかったため、日本の長野・臼田局がキャンベラ局と協力して大活躍をしたのもいい思い出です。

 ボイジャー1号、2号が現在飛んでいるのは、ヘリオシース(太陽鞘)と呼ばれている領域で、太陽の影響が及ぶ領域(太陽圏)の一番外側です。太陽風が星間ガスの圧力を受けてスピードダウンさせられているところです。

 延長ミッションは、VIM(ボイジャー星間ミッション)と呼ばれ、はるかに太陽系の端まで探査をつづけ、できることなら太陽の影響を脱した星間空間まで旅をしようという壮大な目標を持っています。

 VIMは3段階に分かれます。最初の目標は末端衝撃波面(ターミネーション・ショック)で、次はヘリオシース(太陽鞘)の飛行、最終目標は星間空間です(図6)。ボイジャーは1989年以来ずっと、太陽磁場に支配される空間を超音速の太陽風に囲まれて飛び続け、2004年12月(1号)と2007年8月(2号)に末端衝撃波面に出会いました。星間プラズマの影響が現れ、太陽風は音速以下に減速し、プラズマや太陽磁場の向きにも大きな変化が起きました。


(図6)太陽圏と星間空間の様子

 2012年5月15日現在、1号は太陽から180億kmにあり、黄道面の北側35度の位置を3.6天文単位/年の速さ(秒速約17.1 km)で、先述したとおり、第二段階のヘリオシースを飛んでいます。一方2号は147億kmの距離にあって、黄道面の南40度、スピードは3.3天文単位/年(秒速約15.7 km)です(図7、図8)。


(図7)ボイジャーの軌道と太陽圏の様子


(図8)ボイジャーの軌道と太陽圏

 ヘリオシースは人類にとって未知の領域で、どれくらいの厚さなのかは不明ですが、恐らくは数十天文単位と考えられており、ボイジャーが通過するのに数年かかるでしょう。

 驚異的に働き続けてきたボイジャーの原子力電池も、2020年ごろが限度と推定されているので、太陽圏と星間空間の境界である太陽圏界面(ヘリオポーズ)に達して、最終目標の星間空間に到達した信号を私たちが受けることができるのかどうか、微妙な状況ですね。

 参考までに、ボイジャー1,2号やパイオニア10,11号が、どっち方面に向かって飛んでいくのかを記しておきましょう。まずボイジャー1号は、約4万年後に「キリン座」の方角1.6光年にあるAC+79 3888という名の星に出会います。ボイジャー2号は、29万6000年後に「おおいぬ座」シリウスから4.3光年の辺りを通過します。また、パイオニア10号は、200万年後に68光年離れた「おうし座」のアルデバランの辺りをめざしているし、11号は、400万年後に「わし座」の星に出会う旅です。

 最後に、海王星を過ぎてからボイジャー2号が送って来た、あの有名なファイナルショットを見てください(図9)。青い点の地球が淡い神秘的な光を放っています。“Pale, Blue Dot”ですね。

(図9)ボイジャー2号が海王星の彼方から放ったファイナルショット(地球

(YM)

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