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6月21日「中国初の有人宇宙ドッキング」

 まずは図0を御覧ください。中国は、さる6月16日午後6時37分(北京時間、日本時間では同7時37分)、北西部ゴビ砂漠にある酒泉衛星発射センターから有人宇宙船「神舟9号(Shenzhou-9)」を打ち上げました(図1)。この宇宙船には、コマンダーの景海鵬(Jing Haipeng、46)、劉旺(Liu Wang、42)と一緒に、中国人初の女性飛行士、劉洋(Liu Yang、33)が搭乗しています(図2)。この時点で、宇宙にいる飛行士は合計9人。アメリカから2人、ヨーロッパが1人、ロシアが3人──この6人はもちろん国際宇宙ステーション(ISS)にいるわけです。


(図0)中国の有人ドッキングミッション


(図1)長征2Fロケットによる神舟9号の打ち上げ


(図2)神舟9号に搭乗した3人の中国飛行士

 「神舟9号」は18日午後2時7分(北京時間)、昨年9月に一足先に軌道に乗った実験モジュール「天宮1号(Tiangong-1)」と高度343キロの軌道で自動ドッキングに成功しました(図3)。昨年11月に打ち上げられた無人宇宙船「神舟8号」が2度にわたり自動ドッキングに成功して以来7ヵ月ぶりですね。この日のドッキングは「神舟9号」が後ろの「天宮1号」との距離を狭める自動管制方式で、コンピューターがレーダー、レーザー、光を活用して遂行したものです。初の有人ドッキングに成功したことで、中国は、独自の宇宙ステーション建設への大きな足がかりを築いたことになります。


(図3)神舟9号と天宮モジュールとの自動ドッキング

 新華通信社は18日、「自動ドッキングに成功した後、宇宙飛行士の健康と神舟9号、天宮の軌道も正常」と伝えました。このように無人宇宙船とドッキングすると、無人宇宙船の内部の圧力が上がるのを少しの間待たなくてはなりません。そうなって初めてハッチを開いて移乗するのです。3人はドッキングの約3時間後、午後5時22分前後に天宮に移り、各種宇宙実験のほか、宇宙生活のための準備作業に入った模様です。最初にコマンダーの景海鵬が天宮に移り、二人の劉は非常時に備えて神舟で待機、その後劉旺、劉洋の順に天宮へ(図4)。天宮に備えてあるカメラに向かってポーズをとりました(図5)。


(図4)神舟9号から天宮への移乗


(図5)天宮に移って手を振る3人の飛行士

 3人は数日後に天宮から神舟に移った後、天宮と神舟を分離し、宇宙飛行士の手動運転で再ドッキングを試みます。これは自動制御システムの故障や地上との連絡が途絶えるなど非常事態に備えて、手動操作によるドッキングノウハウを確保するためです。手動ドッキングは、宇宙船と宇宙ステーションがともに秒速8キロに近い速度で地球の軌道を回る状況で行われる高難度技術。宇宙飛行士の小さなミスが爆発につながるおそれもあります。

 宇宙空間ではいかなる状況にも備えなければならないため、手動ドッキングの成功なしにはドッキング技術を確保したとはいえません。手動ドッキングに成功すれば、3人の宇宙飛行士は29日まで「神舟9号」と「天宮」を行き来しながら、各種科学・医学実験および地球・宇宙観測任務を10日あまりにわたって遂行します。船内では、訓練用の自転車マシーン(図6)もあり、太陽電池で動くラップトップのコンピューターをそれぞれが持ち、音楽を聴いたりゲームをやったりもできるし、ビデオ会話で家族との会話もできるということです。


(図6)天宮の自転車こぎ

 「天宮」は全長10.4 m、重量8.5トン。内部の最大直径は3.35 mで、広さは15平米。実験室と資源倉庫に分かれています。「天宮1号」は実験用宇宙ステーション。宇宙飛行士3人が同時に滞在する状況で最大20日間、酸素の供給を受けられます。「神舟9号」は29日、内モンゴルの草原地帯に帰還する予定です。

 中国は来年、神舟10号を打ち上げて再び「天宮」とのドッキング技術の確立をめざしますが、「天宮1号」の寿命が終われば、さらに発展したモデルの「天宮2号」と「天宮3号」を順に打ち上げる予定です。その後、中国は2016年頃から正式の宇宙ステーションモジュールを宇宙に打ち上げ、2020年に米国・ロシアが主導する国際宇宙ステーション(ISS)とは別の独自の宇宙ステーションを建設する計画です。以前にも書いたような気がしますが、中国が2020年ごろに建設したいとしている宇宙ステーションは、あの「ミール」くらいの規模の60-80トンクラスのもので、コア・モジュールに少し小型の2つの実験モジュールがドッキングした形のようです(図7)。そしてその先に月への有人飛行を思い描いているのです。因みに、ISSは約450トンもあり、747ジャンボジェットと同じくらいのボリュームですね。


(図7)中国の宇宙ステーション概念図

 振り返れば、中国が最初に人を宇宙に送ったのは2003年(神舟3号)、2005年には神舟5号で2人乗りの飛行を成功させ、2008年に打ち上げた神舟7号で遂に船外活動を実行しました。今回の神舟9号のコマンダーである景海鵬飛行士(図8)は、神舟7号にも搭乗していた人ですね。新華社通信によれば、女性飛行士の劉洋(図9、図10)は空軍出身。パイロットとして1680時間の飛行経験を持ち、2年間の宇宙飛行士訓練を優秀な成績で修了したそうです。既婚ですが、出産経験はないと言われています。飛行士の訓練に入ってからわずか2年で、立派にキャッチアップを果たしたそうで、よほど優れた資質を持っている人なのでしょう。子どもの頃はバスの車掌さんになりたかったようですが、成人すると空軍に入り、危機に当たっての冷静沈着な行動が注目を浴びたと言います。2010年に「愛国弁論大会」で優秀したことで一挙に有名になったと伝えられています。


(図8)神舟9号のコマンダー、景海鵬飛行士


(図9)劉洋飛行士


(図10)劉洋飛行士

(YM)

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