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教材開発物語 フィルムケースロケット



 フイルムケースロケットは、1995年「宇宙をめざす君へ」(YACテキスト)に登場します。この年、現JAXA宇宙科学研究本部教授石井信明がロケットの推進原理などを理解させるための教材としてフイルムケースにロケットの形を与えるための展開図を作成しました。当時は「デザイン石井信明」クレジットがついていましたが、この展開図はいつの間にか元のクレジットがなくなったまま広まり使われています。

1996年相模原キャンバスの一般公開でこのロケットが快音を立ててのお披露目となりました。同年、北の丸の科学の祭典に現JAXA助教竹前俊明の努力でこのロケットが登場しました。ここでの演示は厚木分団長酒井が行いました。1997年3月、第一回のコズミックが筑波の宇宙センターで開催され、竹前が針金でつるして空中で発射させ、噴出するガスの反動で飛ぶというロケットの原理を明快に示しました。



 学校の理科教材では、ドライアイス、過酸化水素水と野菜などを使って気体を発生せさる演示を、前者は 物質の三態、後者は生きている細胞の生体反応等を理解させるためにフイルムケースを以前から使っていましたが、ロケットの原理を理解させるための目的で開発され、使われたのは1995年年頃からということになります。

 さて、名称ですが、最初は「バブロケット」でしたが当時YAC古川章博が花王石鹸(株)に問い合わせ たところ「バブ」の名を使うことにクレームがついたこともあって、的川泰宣提案の「プチロケット」と呼称してきました。

 JAXA宇宙教育センターが発足した次の年に「宇宙教材開発委員会」が発足し、ストローロケット、注射器ロケット、かさ袋ロケットなどいろいろなロケットが教材として開発されました。「プチロケット」のプチは水ロケットに対して小型である特徴を表現したものでですから意味を失ったということで、今後、飛翔するものを呼び名にしようということになり、「フイルムケースロケット」と呼称しています。燃料に発泡剤、アルコールを使う種類がある場合は、ロケット名の後に括弧書きで燃料になるものを書き加える事にしています。

思い出

 バブロケットの存在を知ったのは確かNASDA広報時代で、YACのイベントのときだったと思います。まことに残念ながら、このロケットを最初に提案・実施した人が誰かということは分かりません。ただ、このバブロケットについて、確か的川先生だったと思いますが、「バブは商品名だから名称がふさわしくないね」って仰っていたと思います。フィルムケースロケットの物語、ありがとうございました。こども達に知る喜びを分かっ てもらうために、多くの人が苦労して工夫して、こども達の目の前で展開する・・・、素晴らしいことですね。
渡辺勝巳(JAXA宇宙教育センター初代室長)

長崎での例

 2010年7月に長崎「宇宙の学校」で行ったフィルムケースロケットは、ノーズコーンの部分に台所用のスポンジを使用し、尾翼と胴体はビニールテープを使用した。ケースの底面に両面テープでサイコロ状に切り出したスポンジを貼り付けて、はみ出した部分ははさみで切り取り、円錐のノーズコーンらしい形に整えた。尾翼はビニールテープ同士を貼りあわせてケースに貼り、対角線上に切って尾翼らしくなる。あとは、胴体にテープをまきつければ、型紙で作ったのとの遜色無い出来上がりであった。

 長崎の例を参考にして、2011年から他会場でもノーズコーンをスポンジにする方式で実施を始めた。蓋を閉める時にノーズコーンを抑えて閉められるので、扱いやすいと好評であった。また、スポンジだと飛び上がって落下しても紙と違い潰れないため形が変わらないので、好評であった。