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教材開発物語 自作縦型風洞



 縦型の風洞は、回転しながら飛ぶカエデやマツなどの果実や種子の様子を子どもに観察させたいという思いから開発されたものである。

 写真にあるのが風洞です。風洞の下の方にDC駆動のファンが入っており、その上の整流器(中にストローがたくさん縦に入っている)を通し、円筒形の筒の中に整流された空気を送ります。各部分は簡単に分解でき、また風洞本体部分はプラスチックのフィルムを丸めただけなの で、コンパクトにたたんで持ち運びができるようになっています。空気の量は真ん中にいる子供が持っているコントローラーで調整してちょうどいい風量にします。すると、カエデの「たね」がホバリングしたように一カ所に定位し回転し続けます。この装置ははじめ、簡単にできるだろうと思っていたのですが、ここまでになるのに約1年半程度かかってしまいました。

 風洞は、大きければ大きいほど、また、風の早さが早いほど安定すると言われています。持ち運びのできるようなコンパクトなサイズで、しかもカエデの「たね」を回すようなゆっくりした風を安定的に送るのは大変難しいのです。(遠藤康弘)

 この風洞は、2002年から5年間、コズミックのアドバンストコースの「飛ぶ科学」の教材として使われた。



 2006年2月ヒューストンで行われた「宇宙を教育に利用するためのワークショップ(SEEC)」に遠藤康弘がJAXAから派遣された折に日本の宇宙教育の教材の一つとして発表した。


(図3)2006年2月宇宙を教育に利用するためのワークショップ

 同年8月、筑波で開催されたエデュケーターコースに全国から参集した先生方に教材開発委員の下田治信が風洞の活用なども含めて紹介し、各地の宇宙の学校などで使われるようになった。


(図4)2006年8月エデュケーターコース

 この風洞は、業者に作成を依頼し、図5のようになり、2007年から教育センターのパック教材となって各地に貸し出しも可能になったが、 開発当時の風洞は、手作りで安価にでき、軽く、持ち運びも容易であるため、二つの風洞が各地の宇宙の学校などで活躍している。

(図5)日野市「宇宙の学校」

 ダッカでは125名の先生方が、またエナヤェットプールでも3,000人ほどの子供達や村の方々がセミナーに参加され、大変盛況で、けがをする方もなく、御蔭様で成功裏に終了することができました。
 ダッカでの教員セミナーでは、風洞実験装置が大人気で、真剣に構造を確認する先生や記念撮影をする先生方が続出し、大変刺激を受けられた様です。

安藤恵美子 記(JAXA宇宙教育センター )


 バングラデシュ宇宙教育セミナーに持ち込む前に、センター長の広浜栄二郎が、「現地に適合できようもっと簡易にならないか」と言うこともあって、空気の取り入れ口の面積を厚紙などで調整し、コントローラーを外した(図6)。このことによって、自作すれば単価2000円以下となった。図1、2、3と比較。


(図6)JAXA宇宙教育センターの「国際活動」として、実施された自作縦型風洞2011年1月バングラデシュ宇宙教育セミナーの様子。